今年、TOHOシネマズの全国17劇場がアニバーサリーを迎えることを記念し、現在TOHOシネマズ株式会社によるお客様への感謝を込めた“アニバーサリーキャンペーン”が実施中だ。MOVIE WALKER PRESSでは対象の17劇場のスタッフへの取材や当時の資料を徹底リサーチ!オープン当初の貴重な裏話、その映画館ならではの魅力やトリビアなどを深掘りする連載コラムを展開中。第8回は、創業5周年の「TOHOシネマズ 池袋」についてご紹介。

【写真を見る】アニメ作品の人気が凄まじいTOHOシネマズ 池袋!『名探偵コナン 隻眼の残像』応援上映(全国一斉上映)も大盛りあがり

当劇場がHareza池袋内に開業したのは2020年7月3日。池袋はアニメやサブカルチャーなどオタク文化の聖地だが、TOHOシネマズ 池袋はコロナ禍でかなり苦戦を強いられたそう。開業時は副支配人、その後支配人となり合計3年間、当劇場に勤めていた元支配人によると「実は、とあるアニメ作品で劇場ジャックをする予定でしたが、大々的に宣伝告知ができない状態での開業となりました」と苦労を口にしつつ「ようやくいまは様々な舞台挨拶などのイベントが催されるようになりました」と安堵する。

全10スクリーンに最新のレーザープロジェクターを導入した当劇場。TOHOシネマズ独自規格「プレミアムシアター」となるスクリーン6とスクリーン10は、スクリーン「TCX」、サウンド「カスタムオーダーメイドスピーカー」、シート「プレミアボックスシート」と3つの要素を兼ね備えており、さらに、スクリーン10は、2024年7月12日に「ScreenX with Dolby Atmos」を導入している。

元支配人によるとスクリーン2の「轟音シアター」もおすすめだそうで「サブウーハーが通常の1.5~2倍ぐらい発揮されます。私は『トップガン マーヴェリック』を、通常版、Dolby AtmosIMAX、轟音で観ましたが、轟音で観ると戦闘機が飛び立つ瞬間の空気の震え方が尋常じゃなかったです。自分の体にまで振動が伝わり、ほかにない映画体験ができました」と興奮しながら語る。

コンセッションの人気ランキングは、「チュリトス」「ポップコーン」「スナックじゃが」などが上位となった。また、3階と5階のお手洗いが広くて空いているという耳寄りな情報も。劇場周辺のおすすめグルメとしては、オムライス専門店やタピオカミルクティー、生ドーナツなどのほか、池袋はラーメン激戦区で名店も数多いそう。

サブカルチャーの街、池袋ではアニメ作品が圧倒的に人気!

秋田、日本橋、札幌、八千代緑が丘と、日本全国のTOHOシネマズを経て、5館目に池袋に配属されたという元支配人は「いままでの常識が通用しない劇場でした」と明かす。「池袋はサブカルチャーの街、とりわけ女性向けアニメの聖地という地域性は開業前から理解していたつもりですが、いざ開業してみると、他館では集客が少ない作品でも満席になるんだ!と、その影響を実感しました」。

日々TOHOシネマズ 池袋にお越しになるお客様の情報を収集・研究し、その情報を基に組んだスケジュールが功を奏し、満席となるスクリーンも出てきた。

当劇場で一日の上映回数が最も多かった映画は、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20)や『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(23)、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』など。一番チラシの減りが早かった映画は6,000~8,000部ほど、追加で発注依頼したという『劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師』(24)や、こちらでも『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』というラインナップ。

公開前に反響が多かった映画は、グッズや入場者特典等のお問い合わせが多かった『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』(22)や、公開初日にイベントが控えていた『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』(24)、池袋が聖地なので注目度が高かった『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』(公開中)と、やはり圧倒的にアニメ作品が人気のよう。

また、映画の鑑賞前や鑑賞後にアニメファンが立ち寄るマストスポットが、2024年3月に世界最大のアニメショップとして、ギネス世界記録にも認定された「アニメイト池袋本店」だ。「アニメ作品を観てグッズを購入する方が多いので、アニメイトさんは外せないです。僕も休憩時に行ったりしますが、ほぼ女性客なので、スーツで行くとすごく浮いてました」と苦笑い。

■コロナ禍での開業を乗り越えた先に待ち受けていた、胸が熱くなる景色

コロナ禍での開業当時、映画館を支えたのは、間違いなく興行収入日本1位の404.3億円を記録した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』だろう。「コロナ禍では新作映画がほとんどなくて、座席は間引きでの上映で、飲食売店では販売できる商品も限られていました。そのなかで『鬼滅の刃』初の映画化作品ということで、各上映回が満席になることもありました。グッズも基本は初日にすべてを完売しますが、追加で発注もしましたし、とにかくお客様の熱気をすごく感じました」。

その後、世界的パンデミックが少しずつ終息へと向かっていくなかで、支配人は久しぶりに声出しOKとなった応援上映の回が忘れられないと言う。上映作品は大ヒット作『THE FIRST SLAM DUNK』(22)と『名探偵コナン 黒鉄の魚影』(23)で、「名探偵コナン」シリーズとしては約4年ぶりの発声可能応援上映となった。「コロナ禍ではずっとできなかったので、ようやく開催できたその日はスクリーンが満席になり、お客様が一丸となって声を出して応援している姿を見られてとても胸熱でした。ようやく日常が戻ってきたんだなと実感しましたが、それは映画館で働いていたからこそ見られた光景だったかと」。

また、もう1つ、元支配人にはとても印象深い思い出があるという。それは池袋でロングランヒットしていた『チェリまほ THE MOVIE 〜30 歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい〜』(22)の最終上映日での出来事だ。「最終日に満席となり、上映が終わったあとに拍手が鳴りやまなかったんです。本当にイレギュラーなことですが、私は舞台に立ちまして、一言だけご挨拶をさせていただきました。そうしたらお客様から『ありがとう!』という声と共に大きな拍手もいただけたんです。本当に私も感極まるところがありました」としみじみ語る。

現在は舞台挨拶や応援上映などのイベントも目白押しで、最近では邦画や洋画だけではなく、K-POPのライブ作品やアニメ作品でもScreenX仕様の作品が増えているため、動員は年々右肩上がりだ。また、グッズ売り場が拡大され、便利なモバイルチケットも導入されたので、きっと今日も多くの映画ファンを笑顔にしてくれているに違いない。

なおTOHOシネマズの全国17劇場で開催中のアニバーサリーキャンペーンでは、4月から12月の9か月間にわたって、様々なサービスを展開していく。対象劇場は、今回紹介した池袋のほか、同じく5周年の⽴川⽴⾶、10周年の新宿、ららぽーと富⼠⾒、アミュプラザおおいた、15周年の上大岡、20周年の府中、ひたちなか、⽔⼾内原、津島、⼆条、直⽅、25周年の浜松、ファボーレ富⼭、岐⾩、泉北、⼤分わさだだ。ぜひ最寄りの場所や気になっている映画館をチェックし、お目当ての映画を観に行っていただきたい。

取材・文/山崎伸子

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