にじさんじタレントが選挙啓発に抜てき 活躍の幅/100万登録達成速度も増すVTuber

 にじさんじの社築と魁星が、横浜市長選挙の啓発キャラクターへ抜てきされた。これまであまり見られてこなかった、VTuberの選挙広報起用である。

(関連:【画像】VRChatでの配信を行った雪花ラミィ

 ポスターや横断幕、PR動画などに登場し、投票すればオリジナルデザインの投票証明書が入手できる、大掛かりなタイアップである。若年層の投票率が課題になる昨今、こうした若年層向けの施策としてVTuberがカギとなるケースも出てくるかもしれない。

 様々な場所へ進出が続くVTuberだが、一つの大台とされる「チャンネル登録者数100万人達成」の速度は年々加速している。直近では、個人勢の結城さくなが約2カ月で達成した。そして、これまでの最速ラップは、壱百満天原サロメの14日だ。

 この記録が先日、大幅に塗り替えられた。英語圏VTuberのsaba samekoだ。その日数、デビューからわずか3日である。

 驚異的な速度の記録達成となるが、その理由は、配信を見てみればなんとなく察せられるだろう。おそらくだが、似たような“スタートダッシュ”は今後も増え続けるだろう。

■育成プロジェクトが活発化 後進育成の動きが強まるVTuber業界

 にじさんじ運営ALYCOLORはタレント育成プロジェクト「VTA」が、3つの新部門への入学オーディションを発表した。

 部門はそれぞれ、ストリーマー、ゆめかわ、そしてお笑いコンビ。この動きを見るに、にじさんじは少し前に告知されたスーパーエリート、およびマスコットのような、特化ジャンルのタレントを集める方向へ舵を切ったのだと思われる。いずれも、当たるところには当たるジャンル。今後どのような逸材がデビューするか、期待がかかる。

 一方、2000万ダウンロードを達成したアバター配信プラットフォーム/メタバースの『REALITY』でも、バーチャル配信者の育成プロジェクトが始動した。VTuber・渋谷ハルプロデュースの「VVVV学院 feat.渋谷ハル」だ。

 同プロジェクトでは渋谷ハルを講師に迎え、8月より『REALITY』公式YouTubeとアプリ内にて番組を配信する。選出された4名が出演し、渋谷ハルとともに企画やトークに挑む内容になるとのことだ。すでに『ネオポルテ』で後進育成の実績がある人物を講師として迎えるのは手堅い。今後、実績豊富な先達による後進育成企画も、徐々に増えていくだろうか。

雪花ラミィのVRChat配信は、企業VTuberのベンチマークとなるか

 ホロライブの『VRChat』活用がさらに進んでいる。7月1日雪花ラミィが初の『VRChat』配信に臨んだ。

 配信内容は晩酌と雑談。注目したいのは、一般の視聴者を雪花ラミィが配信をする空間へ招いたことだ。VRChatユーザーはもちろん、VRChat系配信者では比較的多く見られる光景だが、ホロライブという大手VTuber事務所が挑んだのは大きな一歩だ。

 企業所属VTuberにとって、一般ユーザーのいる空間で行うVRChat配信は、“よからぬユーザー”との遭遇リスクが重くのしかかる。権利的に危ういアバターや、視覚的な荒らしを行うアバターを持ち込まれると、配信やチャンネルがBANされる恐れがあるからだ。

 今回の雪花ラミィの配信では、自前で用意したワールドを会場としつつ、雪花ラミィが配信をする区画への入室時には、同意の上で視聴者向けのアバターに切り替える措置が取られた。

 配信区画内でアバターを切り替えると、区画外へスポーンする仕掛けも施され、アバターによる妨害リスクも排除していた。この体制は、企業所属VTuberが客入りでVRChat配信を行う上で、一つのベンチマークになりそうだ。

■BABYMETALがメタバースに進出 『VRChat』に公式提供のダンスワールドを公開

 権利的な危うさは、ときには一般ユーザーにもつきまとう。ゲーム作品からのリッピングデータや、権利侵害の可能性があるダンスモーションや音源を用いるワールドが、『VRChat』には少なからずある。そうした事実を知らないまま訪れ、SNSで共有してしまうリスクは、静かに眠っている。

 このリスクへの抜本的アプローチは、「公式コンテンツの提供」だろう。先週、このアプローチに名乗りを上げたのは、メタルダンス・ユニットのBABYMETAL。世界的評価も得ているユニットが、『VRChat』と『Roblox』に公式コンテンツ展開を発表したのである。

 『VRChat』に公開したコンテンツは、BABYMETALの楽曲で踊ることができるワールド。曲を選択すれば、アバターが収録済みダンスモーションで踊りだす。本家と同様に、最大3人がステージ上に立ち、踊ることができる。現在は2曲のみの収録だが、本物の音源が使用されている点は大きい。

 これまで、こうしたコンテンツが「バーチャルマーケット」などの期間限定コンテンツとして登場したことはあるが、このワールドはおそらく恒常公開だ。クリーンなオフィシャルコンテンツとして、アバターを好きな楽曲で踊らせることができるワールドは、配信者はもちろん、一般ユーザーも安心して楽しむことができる点で評価したいポイントだ。

 なお、ワールド名は「Avatar Dance Stage」となっており、BABYMETALに限定されたコンテンツではない可能性もある。様々なアーティストの楽曲・モーション提供により、「クリーンなダンスワールド」として発展させていく展開も期待できそうだ。

(文=浅田カズラ)

7月7日のニュースたち