
電動ドライバーとしてはかなり小型で、普通のドライバーと同じような感覚で使えるのが、ベッセルの「電ドラボール」。トルクが2.0N・mと低いため、インパクトドライバーのように強くは回せません。
では、使い物にならないかというとそうではなく、最後の締め付け、もしくは最初の緩めるところは手回し、それ以外の早回しを電動でできるのが便利なところです。
電ドラボールにはいくつか種類があり、毎分280回転でUSB Micro-B充電の「電ドラボール」(以下、初代)、回転数を毎分1200回転まで高める代わりにトルクが0.4N・mになった「電ドラボールハイスピード」(以下、電ドラハイスピード)、3段階の回転数切り替えとUSB Type-C充電に対応した「電ドラボールプラス」(以下、電ドラプラス)などがあります。
今回紹介するのは、この電ドラボールのシリーズに新しく加わった、ベッセルの「電ドラボールⅡ」(実売4900円前後〜)です。最大の特徴は、トルクが2.0N・mから3.0N・mへと強化されたこと。これにより、小型のネジなら手回しなしで締め付けることも可能となりました。
この新型電ドラボールの試用機を貸してもらえたので、実際に試してみました。
●PD対応充電器でも充電可能に!
ボールグリップの採用、側面スライドスイッチで正転/逆転切り替え、LEDライトの装備、スリーブを引っ張るだけでビットの交換が可能なチャックなど、基本的な部分は初代からずっと変わっていません。
ちなみにビットは、溝から端まで約13mmあり、六角対辺6.35mmの一般的な製品を利用可能。手持ちのビットがそのまま使えるのが便利です。
大きく違うのが、充電に使うUSB端子がMicro-Bではなく、Type-Cになっていること。初代~電ドラハイスピードまではMicro-Bでしたが、電ドラプラスからはType-Cとなりました。
ただし、初期の電ドラプラスは両端Type-Cケーブルでの充電、つまり、USB PDの充電器を使うと充電できないという悩みがありました(今では改良され、充電できるようになっています)。電ドラボールⅡでは、最初からUSB PDの充電器で充電できるのがうれしいところです。
製品の位置づけとしては、初代モデルとほぼ同じ。不満を感じやすかったトルクの強化と、充電端子が変更された、改良モデルといった感じです。
●毎分280回転って遅い?早い?
ハイスピードやプラスを見てしまうと、「毎分280回転はかなり遅いのでは?」と思ってしまいますが、そんなことはありません。計算してみるとわかりますが、1秒当たり4回転以上となりますから、手で回すよりも断然高速です。
試しに30mm長、5mm径のネジをナットに通してみたところ、約8秒で奥まで到達しました(動画参照)。手回しドライバーで30mmのネジを外すことを考えれば、これはかなり高速だとわかるでしょう。
もちろん、毎分1200回転のハイスピードや、毎分400回転モードのあるプラスと比べれば遅いですが、十分実用的な速度です。
もうひとつ、トルクが強化されたという点もチェックしてみました。これは、以前電ドラプラスで試したのと同じテストを行うことで比較。具体的には、4.5mm径の木ネジが2×4材にどこまで入るか、というものです(連載記事「電動×手動で使う「電ドラボールプラス」は充電端子がUSB Type-C!」)。
電ドラプラス(2.0N・m)では約6mmしか入りませんでしたが、電ドラボールⅡでは、約10mmまで入りました。
また、3.8mm径の25mm木ネジは最後まで締めることができました。電ドラプラスだと3mm径の15mm木ネジでも締めきれませんでしたから、かなりの強化と言えるでしょう。
これだけ強ければ、小さなネジであれば手回し不要で締められそうですね。
●初代からの買い替え先として魅力的
正直、初代との違いは充電ポートの変更とトルクの強化くらいで、大きく変わりません。
しかし、この2点がとても大切。とくに充電ポートはイマドキのUSB Type-Cへと変更されただけでなく、電ドラプラスと同じくボールグリップ部に移動。USB PDに対応した充電器でも充電できることもあり、かなり使いやすくなりました。
また、トルクの強化は今回試してわかったように、小さなネジであれば電動だけで締め付け可能になったのがいいところ。初代で不満に思うであろう部分がアップグレードされ、普段使いのツールとして、完成度がより高くなりました。
仕様を見比べるとほんの少しの差と思ってしまいますが、新規はもちろん、初代を愛用しているという人の買い替え先としても、かなり満足できる製品といえるでしょう。
ラインアップは、本体のみの「No.220USBC」(実売4900円前後)、ビットが1本付属する「No.220USBC-1」(実売6600円前後)、ビットが5本付属する「No.220USBC-5」(実売8100円前後)。手元にビットがあるなら本体のみ、なければ5本セットを選ぶとよさそうです。
なお、ビットはドライバーだけでなく、ドリルも装着可能。既に持っている初代はドリルビットを付けて下穴用、電ドラボールⅡはネジ止め用といったように、用途別で2本持ちするのも便利そうです。
●お気に入りポイント●
・USB PD対応の充電器でも充電可能
・小さいネジなら締め付け可能な3.0N・mのトルク!
・手回しなら12N・mまで耐えられる

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