
健康を維持するためには、食事の中でさまざまな食品から栄養素を摂取する必要があります。栄養素は単体で働くのではなく、さまざまな種類が組み合わさることで効率よく働く性質があります。
実は、栄養素の中でも相性のいいものや悪いものがあるので、栄養素同士の相性を知って、毎日の食事で意識して取り入れてみるのもよいでしょう。
この記事では相性のいい栄養素の具体例や食事方法、栄養が足りてるか不安なときに試したい食事の工夫などについて解説します。
○■相性のいい栄養素の組み合わせって?
炭水化物やタンパク質、脂質やビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素がある中でも、相性のいい組み合わせは、体内での吸収率を上げたり、一方の栄養成分の働きをサポートしたりするなど相乗効果のあるものが存在しています。
○<一緒に摂るとより効果的に!>
栄養素の相性の良さとは、複数の栄養成分を一緒に摂取することで吸収や働きを高めることをいいます。相性がいい栄養素同士は、単体で摂取するよりも複数を組み合わせた方がより効率的に栄養成分を補えるなどのメリットがあります。
相性がいい栄養素には、体内での吸収をサポートしたり、成分の酸化や分解を阻止したりするものがあります。食事から摂取しにくい栄養素を補いたい方や食事量を減らすようなダイエット中の方は、特に栄養素の組み合わせに意識しておくとよいでしょう。
○■相性のいい栄養素5選
健康や美容にうれしい成分で相性のいい栄養素を5つ紹介します。単独では効率的に体内で吸収されにくいものや失われやすいものなど、栄養成分によって性質はさまざまなので、特徴を理解した上で相性のいい栄養素と組み合わせるとよいでしょう。
○<ビタミンC×鉄分>
ビタミンCは鉄分の吸収を高めてくれる働きがあるので、組み合わせて摂取するのがおすすめです。特に体内での吸収率が低い「非ヘム鉄」から鉄分を補いたい場合は、ビタミンCが豊富な食材と組み合わせるとよいでしょう。
ビタミンCは野菜類や果物類、いも類に多く、非ヘム鉄は野菜や豆類、海藻類などの食品に多く含まれています。これらの食材を組み合わせて調理したり、食事のデザートとしてビタミンCが豊富な果物を付けたりするのもよいでしょう。
○<ビタミンD×カルシウム>
ビタミンDは腸内でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素です。カルシウムは他の栄養素の影響を受けやすい成分でもあるので、より効率よく摂取するためにもビタミンDが豊富な食材と組み合わせるとよいでしょう。
ビタミンDは脂溶性ビタミンなので、油と一緒に調理することで吸収率が上がるメリットがあります。カルシウムが多い食材と組み合わせて、炒めたり焼いたりする調理法を取り入れるのもよいでしょう。
○<n-3系脂肪×ビタミンE>
DHAやEPAなどのn-3系脂肪酸は酸化しやすい性質を持つため、強い抗酸化作用があるビタミンEと一緒に摂取することで効率よく栄養を補えるメリットがあります。
DHAやEPAなどのn-3系脂肪酸は、生活習慣病予防や認知機能の維持などの効果が期待されている成分です。酸化しやすい性質があるため、加熱をしない調理法を取り入れるとよいでしょう。ビタミンEが多い食材と一緒にサラダやマリネ、和え物などに使用するのもおすすめです。
★おすすめレシピ
【材料(2人分)】
・サバ缶(水煮)……1缶(70g)
・アボカド……1個
・レタス……1/2個(200g)
・ミックスナッツ(砕いたもの)……10g
・オリーブオイル……大さじ1
・レモン汁……小さじ1
【作り方】
(1) サバ缶は水気を切って軽くほぐす。アボカドは皮をむいてひと口大に切る。レタスは食べやすい大きさに手でちぎる。
(2) 大きめのボウルにオリーブオイルとレモン汁を混ぜ合わせる。
(3) (1)を加えて全体を混ぜ合わせる。
(4) 皿に盛り付けて、砕いたナッツを上からのせる。
○<ビタミンE×ビタミンC>
ビタミンEとビタミンCはどちらも抗酸化作用を持つ栄養素なので、一緒に摂取することで互いの働きをサポートしてくれます。美容意識の高い方や喫煙や飲酒の習慣がある方は、ビタミンEとビタミンCを組み合わせることを意識しておきましょう。
ビタミンCは熱に弱く、水に溶け出す性質があります。そのため、ビタミンEとビタミンCが多い食材を組み合わせて調理する際は、サラダなど加熱が不要なものや加熱を控えた調理法として取り入れるとよいでしょう。
○<ビタミンA×亜鉛>
ビタミンAと亜鉛は皮膚や粘膜の健康維持を助けたり、免疫機能を維持したりする働きがある栄養素です。組み合わせて摂取することで互いに作用を高め合えるため、肌トラブルに悩んでいる方や風邪を引きやすい方はビタミンAと亜鉛を一緒に摂取するのもよいでしょう。
ビタミンAは脂溶性ビタミンなので、油と一緒に摂取すると吸収率が上がります。また亜鉛自体は吸収率が低い傾向があるため、肉や魚、卵などの吸収率の高い動物性食品から補うとよいでしょう。
栄養素にはさまざまな性質があるため、相性のいい栄養素と組み合わせることで相乗効果が期待できるものも存在しています。健康的な食生活を送るためにも、不足しがちな栄養素や意識して補いたい栄養素に関しては、相性のいい栄養素も考えられるといいですね。また、食事だけでなく、サプリメントを摂るときの参考にもしてみてください。
谷岡友梨 たにおかゆり 管理栄養士として保育園で勤務後、クリニックにて栄養指導等にも携わる。現在は栄養相談や離乳食のレシピ開発、記事執筆などを行う。 この著者の記事一覧はこちら
(谷岡友梨)

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