7月4日から7月6日までの全国映画動員ランキングが発表。下半期に突入してもその勢いは増すばかりの『国宝』(公開中)が、2位以下を大きく突き放す観客動員&興行収入をマークし、今週も1位の座をキープ。公開3週目に首位浮上を果たして以来、3週連続でトップを飾った。

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■『国宝』旋風のまっただなかに、新たな吉沢亮主演作が登場!

公開5週目を迎えた『国宝』の週末3日間の成績は、動員が前週比107%の43万9840人。興収は前週比106%の6億4586万9500円。公開2週目から続いている前週末を上回る“右肩上がり”の成績を今週も継続しており、4週連続での達成は社会現象級の大ヒットを記録した『ボヘミアン・ラプソディ』(18)以来。2000年以降の東宝配給作品としては初めての偉業となる。

すでに公開から1か月が経過しているわけだが、この週末3日間の成績を公開初週末3日間の成績と比較してみると動員は180%、興収は187%という驚異的な伸び方。しかも6月30日から7月3日までの平日4日間の成績も、動員が43万2289人で興収が5億6939万4900円。7月1日がサービスデーだったこともプラスに働いたようで、ついに1日あたりの平均動員が平日でありながら10万人を超えてきた。

そしてこの週末までの公開31日間の累計成績は、動員が319145人で興収が44億8322万2200円。昨年夏に興収59億6000万円の大ヒットを記録した『ラストマイル』(24)が公開32日間で動員315万人&興収45億円だったので、それに匹敵する数字。むしろ公開5週目の3日間成績だけでみると『国宝』は『ラストマイル』の186%の動員と、大幅に上回ることが予測できる。

とはいえ次々週末には2025年の映画界における最大の目玉作品ともいえる『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(7月18日公開)が待機。多くの作品が上映スクリーンを大幅に減らさざるを得ないこととなり、主力の客層が異なる『国宝』においてもそれは例外ではないだろう。文字通り“鬼のいぬまに”、どれだけ数字を伸ばすことができるのか。次週末の成績にも注目は尽きない。

さて、『国宝』と同じ吉沢亮主演作『ババンババンバンバンパイア』(公開中)がこの週末に公開を迎え、初日から3日間の動員は10万人、興収は1億3500万円で5位に初登場を果たしている。この成績は、吉沢主演のコメディ映画の直近作である『ブラックナイトパレード』(22)との比較で60%強。同じ浜崎慎治監督がメガホンをとった『一度死んでみた』(20)を上回る(こちらは2020年3月という微妙な時期の公開だったが)初動成績となる。

当初はテレビアニメ版の放送期間中の2月に公開される予定だったものの、諸事情によって延期となり、期せずして“『国宝』後”、それもこのような大ヒットの最中に公開となったわけだが、かたや小説原作の芸道映画で、かたやマンガ原作のコメディ。同列に並べて語るのは少々難しいところ。“『国宝』旋風”を受けて興行的なポテンシャルという物差しで吉沢を測るのならば、ここではなく今後の作品が適当であろう。

■実写洋画が軒並み絶好調!『M:I』は興収50億円目前に

公開2週目を迎えたブラッド・ピット主演の映画『F1(R)/エフワン』(公開中)は、週末3日間で動員17万6000人、興収3億1000万円を記録し2位をキープ。

これで累計成績では動員57万1334人&興収9億7182万円を突破。これでヒットの目安となる興収10億円突破が確実なものとなったわけだが、同作がそれを達成すると2025年上半期に公開された洋画作品では8本目。2025年の作品として集計される昨年末公開の『モアナと伝説の海2』(24)と『ライオン・キング:ムファサ』(24)を含めると10本目となり、“洋画不況”といわれた昨年一年間の興収10億円超え本数に上半期分だけで並ぶことになる。

3位にランクインしたディズニー実写版リロ&スティッチ』(公開中)も、その10本のなかの1本。この週末3日間で動員16万7000人、興収2億2500万円と前週対比約80%の成績を記録しており、累計成績は動員183万人&興収26億円を突破。最終的にはオリジナルのアニメ映画の興収29億1000万円を上回り34億円以上に達すると見込まれている。

また、公開8週目を迎え7位にランクインしている『ミッション:インポッシブルファイナル・レコニング』(公開中)は週末3日間で動員7万4399人、興収1億1706万円を記録し、累計では動員316万人&興収49億円を突破。シリーズ8作中7本目の興収50億円突破という快挙が目前まで迫ってきており、2025年公開の洋画作品の首位を独走中。夏以降も注目の洋画作品が多数控えており、いよいよ洋画完全復活となりそうだ。

ランキング内のほかの作品では、公開4週目を迎えた長澤まさみ主演の『ドールハウス』(公開中)が週末3日間で動員12万4000人、興収1億5800万円を記録し、前週に引き続き4位となり、累計成績は動員88万人&興収11億円。6位の『フロントライン』(公開中)は累計動員99万人&興収13億円を突破。どちらも動員100万人に王手をかけている。

そして、グローバルボーイズグループJO1のドキュメンタリー映画第2弾『JO1 THE MOVIE「未完成」-Bon Voyage-』(公開中)が9位に初登場。7月4日からドルビーシネマ上映劇場限定の来場者特典の追加配布がスタートした『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX』(公開中)が、公開9週目にしてトップテン圏内に返り咲きを果たした。

以下は、1~10位までのランキング(7月4日7月6日)

1位『国宝』

2位「映画『F1(R)/エフワン』」

3位『リロ&スティッチ

4位『ドールハウス』

5位『ババンババンバンバンパイア

6位『フロントライン

7位『ミッション:インポッシブルファイナル・レコニング』

8位『映画 それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』

9位『JO1 THE MOVIE『未完成』-Bon Voyage-』

10位『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ TABOO NIGHT XXXX』

今週末は、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」などで知られるジェームズ・ガン監督がアメコミヒーローの原点である「スーパーマン」を描く超大作スーパーマン』(7月11日公開)、『サンダーボルツ*』(公開中)のセバスチャン・スタン主演、A24製作の不条理スリラー『顔を捨てた男』(7月11日公開)などが控えている。

文/久保田 和馬

V3達成の『国宝』、興収44億円を突破!/[c]吉田修一/朝日新聞出版 [c]2025映画「国宝」製作委員会