
ビザ・ワールドワイド・ジャパンは7月7日、石川県の能登地域の復興と地域コミュニティ再生支援のイニシアチブを開始すると発表。石川県内におけるタッチ決済のキャンペーン「Visa 能登のために、タッチ)))」を実施する。期間は7月10日から9月30日で、能登地域で開催される「キリコ祭り」に合わせたキャンペーンとなる。
キャンペーンでは、Visaのタッチ決済利用者に対しては1カードにつき最大1,000円(キャッシュバック率15%)のキャッシュバックをするとともに、その同額をVisaがいしかわ県民文化振興基金へ寄付し、能登の祭の支援をする。
○能登の復興に「キリコ祭り」を支援
石川県能登地域は、2024年1月の能登半島地震、9月の能登半島豪雨と災害が相次ぎ、大きな被害を受けた。Visaでは、そうした地域の復興や経済の再生、地域の繋がりや絆の復活を支援する取り組みを検討した。その象徴として、能登半島の複数の市町村で、7月から9月にかけて開催される「キリコ祭り」の復活に向けて貢献することを目的としたキャンペーンを打ち出すことになった。
「Visa 能登のために、タッチ)))」キャンペーンでは、石川県内のスーパー、ドラッグストア、美術館、交通機関、レストラン、ホームセンターなど、県民が日常的に使う加盟店から、観光客が訪れる加盟店まで幅広くカバーする。
対象店舗は300店弱。商業施設の場合は中のテナントも対応する。基本的にはクレジットカードのタッチ決済に対応した店舗で、キャンペーンサイトからクレジットカードを登録し、そのカードのタッチ決済で支払いを行うと還元対象となる。
Visaのシータン・キトニー社長は、キャッシュバックと同額を寄付する仕組みについて、「消費者自身の利益になるだけでなく、直接的に復興支援に貢献する」とアピールしている。
さらに、X上でのキャンペーンを実施し、画像をタッチするとその回数に応じてVisaが石川県に寄付をするキャンペーンも予定している。1回1円で、石川県を訪れなくても全国から誰でも支援ができるとしている。
キトニー社長は、「単にキャッシュレス・非接触決済の利便性と安全性を促進するだけでなく、即時の復興支援を超えた、長期的なポジティブな変化を生み出すことを目指している」と話し、このイニシアチブが今後の取り組みのモデルにもなることを期待している。
能登地域への支援では、産業支援や伝統工芸への支援といった取り組みも検討されたと言うが、地域へのインタビューなどを実施していく中で、受け取る側の心情に寄り添うことが重要であると判断。例年通りの祭の開催を可能にするための支援をすることで、コミュニティの絆の再興を目的とした。
能登のキリコ祭りは、巨大な灯籠である「キリコ」が街を練り歩く、江戸時代から続く伝統的な祭礼とされている。7月から9月末まで、能登の各地で開催されるが、震災と豪雨の影響で再開できていないエリアもあるという。こうした祭の支援に繋げたい考えで、キャンペーンも祭の時期に合わせて設定された。
支援総額は現時点で決めていないという。対象となるカードは複数登録することができ、それぞれ最大1,000円の還元とVisaによる最大1,000円の寄付に繋がる。現地で支払いをするという経済的な支援に加え、Visaの負担による寄付、さらにSNSキャンペーンで1回1円ながらタッチするだけで寄付になり、それぞれで支援が行えるということで、Visa側でも積極的な利用をアピールしている。
もともと同社は、大阪・関西万博に合わせて大阪エリアでの振興プロジェクトとして、タッチ決済のキャンペーンを実施している。すでに第7弾まで実施されているキャンペーンでも、登録したクレジットカードでタッチ決済をすると、一部を還元するという仕組みを提供している。
こうした地域振興の取り組みは、大阪エリアのプロジェクトを検証した上で他のエリアにも拡大していく考えだったが、今回は能登地域の災害支援ということもあり、石川県の積極的な支援の要望もあったことから、いち早く取り組みを進めたのだという。
大阪では適切なプロモーションなどでタッチ決済の利用が拡大できたとしており、こうした経験を石川県のキャンペーンでも生かしていきたい考え。これまでもVisaは、CSR(企業の社会的責任)活動として、様々な活動をしてきたというが、今回のように明示的に特定の地域に特化したことは初めてだとしている。
小山安博 こやまやすひろ マイナビニュースの編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。最近は決済に関する取材に力を入れる。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、PC、スマートフォン……たいてい何か新しいものを欲しがっている。 この著者の記事一覧はこちら
(小山安博)

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