
世界を翻弄する相互関税いわゆる“トランプ関税”。日本への関税は今後どうなるのだろうか。専門家に話を聞いた。
4月に発動され一時停止状態となっている相互関税。その停止期限となる7月9日が迫っている中、トランプ大統領は12~15の対象国へ向けた関税率を通知する書簡に署名し、送付・発表を行うとした。
「関税率は60%か70%から、10%、20%の関税までさまざまになると思う」(トランプ大統領)
また気になる日本に対する関税率については、「こちらの要求に応じないのなら30%でも35%でも、こちらが決めた税率を払ってもらう」と述べている。
発言どおり35%の関税が課されることになれば、日本経済に大きな打撃を与える可能性がある。
今後の日本への影響について、第一生命経済研究所主席エコノミストの西浜徹氏は以下のように分析する。
「今、日本では自動車の輸出価格は下がっており、企業が影響を受けてしまったため、価格を上げた時にどれくらい売り上げが減るのかはなかなか見通しにくい上に、当然、生産計画にも影響してくる。雇用にも影響してくるところがあるため、当然ながら日本国内の経済にもとても影響がある。もう一つ、アメリカに依存しすぎている体質にリスクバランスしていかなければいけないだろう」(西浜徹氏、以下同 ※「浜」は正式には「まゆはま」)
また今後、日本が行うべきことについては以下のように述べる。
「今後、アメリカとの交渉をしつつアメリカ以外の国に対して、どう輸出を増やしていくのかはCPTPP(=環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)などの話も並行していく必要性は高いだろう。時間はかかるがすでにある枠組みのため、CPTPPやRCEP(=地域的な包括的経済連携協定)、使えるものをふんだんに使っていくのが必要なのだろう」
アジア新興国から学ぶべき教訓とは?

一方、7月2日にトランプ大統領がSNSで発表し、新たにアメリカとの貿易協議に合意した国がベトナムである。
ベトナムからアメリカへの輸出品には、当初課すとしていた46%の関税を20%に引き下げ、ベトナムで積み替えてアメリカに出荷される製品に課す関税は40%に。一方、ベトナムがアメリカの製品に課す関税はゼロにするという、「不平等」な内容となった。
なぜベトナムはこのような“不平等な合意”に至ったのか。
西浜氏は「ベトナムにとって今、アメリカは最大の輸出相手先。これに打撃が加わると、経済成長率目標8%へのハードルが上がってしまう。それを避けるためにもなんとか早めに決めたかったのではないか」と分析する。
では、アジア各国の対応などから日本が学ぶべき教訓とは何だろうか。
「“是々非々”が意外に大事だと思う。アジアの中だとインドが面白い交渉をしている。自動車関税に対して報復関税を出したり、鉄鋼製品に対する追加関税に関してもWTO(=世界貿易機関)に提訴したりした。交渉を裏でやりつつも“是々非々”で、おかしいと思うことにはおかしいと、国際条理にも訴える対応をしている。日本も、やられっぱなしなのではなく、『おかしいことにはおかしい。ただし飲めるとこは飲める』と、交渉していく必要性が高いと思う」(西浜徹氏)
(『ABEMAヒルズ』より)

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