
今秋にデビュー20周年を迎える韓国のマルチエンターテイメントグループ・SUPER JUNIOR(以下、スジュ)。彼らはソロ活動も活発で、歌はもちろん、バラエティ、ミュージカル、ドラマ、映画、映像制作など、個性を生かした様々なジャンルで活躍中だ。その中で、本名のイ・ドンヘ名義で俳優としても活動しているドンヘの2023年の主演ドラマ「男と女~7年目のジレンマ~」が、7月11日(金)よりCS「衛星劇場」にて放送される(毎週金曜夜11時から2話連続放送。全12話)。
【写真】黒のスーツでパフォーマンスするSUPER JUNIORのメンバーたち
■7年目のカップルの関係性をリアルに描写
本作は、同名の大人気ウェブトゥーンが原作。主人公は、ある事をきっかけに自分たちの今後について考え始めた交際7 年目のカップル。“離れられない男”と“別れられない女”のやり取りをリアルに描いていく。
ヒョンソン(イ・ドンヘ)とソンオク(イ・ソル)は、学生時代から付き合い始めて7年目のカップル。ヒョンソンはファッション、ソンオクはジュエリーのデザイナーとして、ブランド“H2”を立ち上げたが、世間のトレンドより自分のセンスを優先する彼の商品はほとんど売れず、生活の為にソンオクはデザインを諦めて就職し、今ではヒョンソンが1人で“H2”を続けている。ちなみに“H2”という名前は、「ヒョンソン」とソンオクの苗字の「ハン」、頭文字がどちらも「H」である事から付けられた。
交際当初はそのようにキラキラして、お互いへの愛が永遠に続くと信じて疑わなかったが、気付けばトキメキも気遣いもなくなってしまった。最近は気持ちのすれ違いが増えてきたが、ズルズルダラダラと関係を続けていた。
そんなある日、“H2”に最大手の通販サイトへの出店の誘いが。大チャンス到来に胸が高鳴る2人だったが、契約に行ったヒョンソンは、どうしても譲れない条件があり出店を断ってしまう。それはソンオクを想っての決断だったが、理由を知らない彼女は相談もなくチャンスを棒に振った彼に「私たちの未来を真剣に考えた事あるの?」とブチギレ。売り言葉に買い言葉でヒョンソンも感情的になり、大ゲンカになってしまう。
その夜、それぞれ飲みに行ったヒョンソンとソンオクは、モーテルのエレベーターでバッタリ。お互いに誤解し合ったまま、2人の関係は最大のピンチを迎える。そしてこれをきっかけに、彼らはこれまで敢えて向き合おうとしてこなかった2人の関係について考え始める…。
■女性も男性も共感ポイントが多数あるドラマ
私より男友達や仕事を優先。話しかけても生返事だし、私からの連絡はスルーするのに仲間とのトークルームには即レス。いつのまにか“お家デート”ばかりだし、結婚を考えている様子もない。ないがしろにされてる感じが日に日に募る…。彼は私の気持ちがわからず、ピントのずれた機嫌取りをしてきて、それが更にイラつく――こんなソンオクに共感する女性は多いはず。
一方、カノジョが怒っている理由がわからないまま、何とかこの場を収めようとして裏目に出てしまったり、言いたい事をつい飲み込んでしまうヒョンソンが自分と重なる男性も多いだろう。
最初はそれぞれの立場に共感して観ているが、相手側の事情がわかるにつれ、言葉足らずで溝を深める2人がもどかしく、せつなくなる。それぞれに感情移入しながら、最終的に2人がどんな結論を出すのか見守ってほしい。
また、本作は友人たちの恋愛模様も描かれる。中学時代からの腐れ縁の女友達を、ある日突然異性として意識してしまうミンヒョク、過去に恋愛で傷ついたせいで女性を信じられず遊びの関係を繰り返すシフ、背が低い事がコンプレックスのヒョンソプなど、こちらもリアルなケースばかりで、彼らの恋の行方も見どころポイントだ。
■「こんなに泣く大人の男性を初めて見た」
ドンヘは、オファーを受けて原作のウェブトゥーンを読んだ際、大いに共感して「これは演らないと一生後悔する」と思い、すぐに出演を決めたそう。自身が考えるヒョンソンとのシンクロ率は「65%」。自分のやりたい事に情熱的な姿や恋愛初期の優しい姿が似ているとの事。ファッションが好きな点も共通しているが、専門的な知識はない彼は、ファッションに詳しいスジュのメンバーに尋ねたり、関連する映画を片っ端から観て、役作りに生かしたそうだ。
彼をキャスティングした監督は「イ・ドンヘは、虚勢、マッチョ(男らしさ)、自由な魂、いたずらっ子のような面など、いろんな姿のヒョンソンが込められそうだった。全てを生かしてくれた彼は、原作から飛び出したのかと思うほどぴったりだった」とシンクロ率を称賛した。
7年越しの恋人の雰囲気を自然に表現する為に、彼と“ソンオク”役のイ・ソルはとにかくコミュニケーションを取り合ったそう。食事も常に共にし、撮影後も電話でヒョンソンとソンオクの関係について話し合い、彼が海外ツアーの時にはビデオ通話で台本を読み合った。そのおかげで、撮影期間は3ヶ月だったが、「本当に7年間を過ごしたようだった」とドンヘは振り返っている。
イ・ソルも、「恋人よりも兄妹役をするべきだったのでは?」と思うほどの相性の良さを感じたようだ。また、ドンヘについては「とても感受性が強い人。よく笑いよく泣き、自分の感情に素直で、そんな姿を見ているのが楽しかったし、私もいろいろ何かしてみようと思った。学ぶ点がたくさんあった」と語り、彼が演技の時だけでなく彼女のクランクアップの時にも泣いていた事を明かした。涙の理由を尋ねると「あまりにも胸がいっぱいで…」と答えたそう。イ・ソルは、「こんなに泣く大人の男性を見たのは初めてだったから不思議だったけど、ファンにとっては有名な事らしいですね(笑)」と、インタビューで笑いながら振り返っていた。
ドンヘは、イ・ソルだけでなく、ヒョンソンといつもつるんでいる友人役の俳優たちとも交流を深め、「愛する兄と弟」のような仲になったそう。「ブロマンス(単なる友情を超えた男性同士の強い絆)を演じたい」と思っていた彼は、本作で念願が叶ったのが嬉しく、とても楽しく撮影をした様子。一番の思い出は、徹夜で重要なシーンを撮った後、早朝に皆で隣の食堂へ行き、“骨ヘジャンク(酔い覚ましとしてよく飲まれるスープの一種)”をシェアして食べた事だとか。彼は「あの瞬間は絶対忘れられない」と語っている。
■オーディションの“イケメン部門”で1位に
ドンヘは、1986年生まれの38歳。2001年に韓国の“4大事務所”の1つであるSMエンターテインメントの公開オーディション「青少年ベスト選抜大会」のイケメン部門で1位となり、事務所入り。その後、SUPER JUNIORのメンバーとして、2005年に正式デビューした。
現在では大所帯のグループは珍しくないが、2005年当時、12人組の彼らの登場は衝撃的だった。当初は期間限定の予定だったが、メンバーもファンも活動の継続を望み、恒久的なグループとなり、「SORRY,SORRY」の世界的な大ヒットや「美人(BONAMANA)」の台湾のチャート連続60週以上1位の記録など、ワールドワイドな人気で“K-POP第2世代”を代表するグループの1つとなった。この「美人(BONAMANA)」で2011年に正式に日本デビューも果たしている。
ドンヘは、ダンス、ボーカル、ラップ、どれもOKのオールラウンダー。メンバーの兵役中には、不在のメンバーのパートを代わりに担当し、見事にカバーした。作詞作曲もこなし、プロデュース能力にも長けている。
2011年には、同い歳で仲も良いメンバーのウニョクと“SUPER JUNIOR-D&E”を結成。2012年に日本でも正式デビューして、以降、兵役中とコロナ禍以外はほぼ毎年のように日本でコンサートを行うなど精力的に活動している。日本語の実力も年々向上中だ。
俳優としては、2010年のドラマ「大丈夫、パパの娘だから」でキャリアスタート。今回紹介した「男と女」をはじめとして、「パンダさんとハリネズミ」や「オー!ヨンシム-帰ってきた初恋-」などラブストーリーへの出演が多いが、「神のクイズ シーズン4」では、変わり者の天才監察医というクセ強な役を印象的に演じた。
■「スパショ」スピンオフ公演もオンエア
「衛星劇場」では、「男と女」の他にも、2024年6月23日に韓国のKSPO DOME(オリンピック体操競技場)で開催された「2024 SUPER JUNIOR<SUPER SHOW SPIN-OFF:Halftime>in SEOUL」を7月19日(土)に放送する。
メンバーたちのアイディアから生まれたこの公演は、新曲(当時)「Show Time」を披露したり、ユニークな組み合わせで披露したユニットチェンジステージ、カバーステージなど、見どころ満載。
迫力のステージからメンバー同士の息の合ったトーク、パフォーマンスや映像まで、彼らの魅力がたっぷり詰まった内容となっている。
また、最新ツアー「SUPER SHOW 10」は、8月のソウル公演を皮切りに、全世界16か所で開催予定。日本では、12月に愛知・Aichi Sky Expo、2026年3月に埼玉・ベルーナドームでの公演が決定している。
◆文=鳥居美保

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