
概要:BMWがサブスク『BMWオールイン』の提供開始
ビー・エム・ダブリューと同社100%出資子会社のビー・エム・ダブリュー・ジャパン・ファイナンスは6月より、BMWの全モデルを対象にリースやメンテナンス、保険や税金などをパッケージした、いわゆるサブスクとなる『BMWオールイン(ALL IN.)』の提供を開始した。
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一般的に残価が変動して買取が可能『オープンエンドリース』に対し、BMWオールインは従来からあるリースプランの『クローズドエンドリース』がベースで、契約満了時に残価が保証されるも買取はできない。
含まれるのは車両代、BMW新車保証やBMW新車延長保証、緊急サポートのBMWエマージェンシーサービス、メンテナンスに役立つBMWサービスインクルーシブ、その対象を広げたBMWサービスコンプリートをセットにしたBMWケア、BMW自動車保険や税金などである。
BMWは、自動車を所有せずに利用を求めるニーズにもBMWオールインによって柔軟に応え、ユーザーは定額費用を支払うことで、所定条件はあるものの、追加費用もなく最新モデルへ乗り換えてBMWライフを満喫できる。
本質:自動車ユーザーの現状と所有から利用への兆し
近年、一般化したサブスクとは、サブスクリプションサービスの略で、リースとの定義上の違いが明確には存在せず、ユーザーがサブスク事業者と契約して定額費用を支払うことで、製品やサービスの利用権利を得るビジネスモデルである。
トヨタの『KINTO』、ホンダの『楽まる』など、同様のサービスを各自動車ブランドや、オリックス、ナイル(カルモくん)やMIC(ニコノリ)などが提供している。
自動車におけるサブスクは、ユーザーが所有せずに利用するシェアカーやレンタカーと同じモビリティサービスのひとつで、一括購入やオートローン等による所有と区分される。
時代に先駆けた存在と言えるKINTOは、アルファードを始めとしたトヨタの人気モデルを納車待ちせずに乗れるメリットなどを背景に、2025年3月期の当期純利益が7億9500万円と、2019年の設立後初めて黒字を確保。モビリティサービスへの業界変革を象徴している。
ビジネス視点では、『所有』が販売後に車検や点検等のアフターサービスと代替を促すのに対し、『利用』は契約後にユーザーから定額費用を徴収、乗り換えを促すビジネスで、ファイナンスや中古車の事業視点では特に好ましい。
期待:サブスクがもたらす新しいカーライフ
自動車の魅力や価値を一概に論じることはできず、新しいほど良いとは限らぬものの、少なくとも進化が続いている安全、特にアクティブセーフティや環境の性能においては最新モデルこそが最良だ。
すると、新しいモデルに乗り続けることによって最良の安全や環境の性能を手に入れることができるため、定期的に代替が伴うサブスクは、それらを望むユーザーニーズに合致する。
あくまでも自動車が移動手段ではなく、エモーショナルに感性を刺激する『駆けぬける歓び』をスローガンに掲げるプレミアムブランドのBMWがサブスクを打ち出したことは、走りの面でも最新のモデルを堪能し続ける、新しいカーライフの選択肢が増えた意味でも魅力的で価値がある。
ソフトウェアのアップデートにより常に進化するスマホでもハードの機種交換を必要とするように、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)と称され自動車が進化できたとしても、必ずハードの代替は必要になってくる。
今後、サブスクによる新しいカーライフの提供によって最新モデルを乗り続けるユーザーが醸成されれば、契約満了車による中古車相場が安定化。自動車業界全体への効果も期待できるというわけだ。

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