俳優の佐々木希さんが日本テレビ系のトーク番組『1周回って知らない話 2時間SP』(7月2日)に出演し、テレビで初めて家族の不倫に言及した。配偶者に不倫されても、再構築を選んだ苦しみと前向きな佐々木さんの言葉は大きな反響を呼んでいる。

複数の女性との「多目的トイレ不倫」を報じられた夫でお笑いコンビ「アンジャッシュ」渡部建さんについて、佐々木さんは騒動当時、離婚するかどうか夫婦で話し合ったことを明かしたうえで、「いまだにまだ許してはいないです」など複雑な心境を包み隠さず語る。

2017年に結婚したが、2020年6月に不倫が報じられた。佐々木さんが離婚を選ばず、不倫報道から3年後の4月、第2子が誕生した際は世間を驚かせた。

配偶者の不貞行為に傷つけられた多くの夫婦を近くで見てきた原口未緒弁護士もまた佐々木さんの言葉に感銘をうけたという。ただ、不貞→再構築→出産を経ても、やはり結局は離婚を選ぶ夫婦も少なくないと指摘する。

(佐々木さんの主な発言は記事後半で)

●自分で決意して乗り越える

——佐々木さんの発言を受けて、離婚問題を扱う弁護士として注目したことは

これまで弁護士として、佐々木希さんのように離婚や夫の不貞、家族のことなどに、死ぬほど悩み苦しんできた女性たちを、本当にたくさん見てきました。

番組で佐々木希さんと同じ事務所の先輩の木村佳乃さんが「私ができたのは彼女の話をただ聞くだけ」などとおっしゃっていたように、死ぬほど悩み苦しんでいる女性たちの横で、私たち弁護士も、いったい何ができるのだろうと悩み苦しむことが数多くあります。

この番組で、佐々木希さんは「いまだにまだ許してはない」とおっしゃっていました。

その言葉のように、最終的には、その人自身の強い思い、心、決意といったようなものに、私たち弁護士は寄り添わせていただいて、その方が決意した方向を法律に基づいて、お力添えをさせていただいてるのだな、と改めて思いました。

当時の佐々木希さんのように悩まれていらっしゃる方はとても多いと思いますが、どうか、佐々木希さんのように、自分で決意して、乗り越えて、強くあっていってほしいな、と思います。

●「恨みは根深い」結婚当初の不倫を許せず子育て後に離婚した妻

——依頼者のなかには、不倫発覚後に再構築→妊娠・出産→結局離婚を選ぶ妻はいましたか

はい、もちろんいらっしゃいます。

子どもを思う気持ちと、配偶者に対する気持ちとは別、という方もいるでしょう。

結婚当初の不倫をずっと許せないまま、しかしお子さんには父親が必要であると考え、お子さんを育て切った後に離婚をした方もいらっしゃいました。

夫婦関係に危機があっても「子どもが欲しい」「もう1人、子どもが欲しい」という気持ちがわくことがあっても不思議ではありません。佐々木希さんも、不倫問題を乗り越えた後に、「もう1人、子どもを授かりたい」という気持ちになったのではないでしょうか。

子どもを授かった以上、その子のために、その人なりに全力で「母親」を全うしたい、と思うのが、母性と言われるようなものなのかもしれませんね。

佐々木さんの言葉からはそんな覚悟を感じました。改めて、母は強し。そう思いました。

●【佐々木さんの番組での主な発言】

・「(騒動当時)子どもがまだ1歳半過ぎだったので、なるべく明るくしてた」

・「子はかすがいです、本当に」

・「友達からは『離婚も一つの手じゃないか』と何回も言われました」

・母親や事務所からは、最後は佐々木さんが決めることと言われた。

・「(離婚の話し合いをしたことに触れて)子どもが寝た後に話しあったり」「ちょっと話そうかと」「すごい怖かったと思いますよ」「(渡部さんは)本当にすみませんしか言わなかった」

・「(結果として離婚を選択しなかったが)最初はどうしようって思った。(離婚が)ちらつきました。本当に子どものことを考えた時に、目の前にいる子どもの前ではすごくいい父親だった。子どもの世話もしてたしかわいがってた。もし離婚しちゃって、子どもがいつかそのことを知った時に、近くにいるパパか、離婚して離れちゃっているパパ、どっちがいいかなと考えた時に、近くで自分を見てくれてたパパの方がいいって思うんじゃないか。離れててその事実を知ったらすごく憎くなるんじゃないか(と考えて、すぐに離婚しないことを決めた)」

・「いまだにまだ許してはない。経過観察中で。どこかは許せない自分がいる。許した方が自分が楽になるのかなと思うけどまだちょっとあるしな」

・「絶対に悪い」「あいつが悪い」(と半ば笑い話にしながら振り返った)

・渡部さんに対して「子ども2人を授かってチームで子育て頑張っていきましょう」と声をかけた。

・VTRで出演した木村佳乃さんの発言 「私ができたのは彼女の話をただ聞くだけ」「私も一緒に泣いて」「自分で立ち向かって上がって行った。彼女の足で乗り越えて進んで行った。本当に尊敬している」

【取材協力弁護士】
原口 未緒(はらぐち・みお)弁護士
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)
事務所名:弁護士法人C-ens法律事務所
事務所URL:https://c-ens.jp/

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