鬼の力を持つ高校生・乙木守仁(CV.鈴木崚汰)と、魔女修行中の幼馴染・若月ニコ(CV.川口莉奈)。古い盟約に従い同居することになった2人が巻き起こす奇想天外マジカルコメディウィッチウォッチ」(毎週日曜夕方5:00-5:30、MBS系ほか/ABEMA・ディズニープラスFODHuluLeminoTVer)。その第14話が7月6日に放送された。今話では、OPからAパートまで丸々アニメ内アニメ「うろんミラージュ」がジャック。ファジーすぎる世界観も相まって視聴者を困惑させ、関連ワードがXのトレンド入りを果たす“お祭り回”となった。(以降、ネタバレが含まれます)

【写真】視聴者を困惑させた「うろミラ」、ファジーすぎるバトルシーン

■突如展開されるあいまいな学園ファンタジーバトルアニメ

秋月空(CV.白石涼子)、浪崎朧(CV.吉野裕行)、草間狭霧(CV.下野紘)、ザックバラン(CV.杉田智和)は、ファジーが潜伏する廃ビル――かつて何らかの研究をしていた何らかの施設を訪れる。東棟にザックが、西棟に狭霧が潜入することになり、待機を命じられた空と朧は不満を漏らす。その時、ファジーがザックを急襲し、ザックは奥義を繰り出す前に食われてしまう。さらにはファジーの群れが現れるが、狭霧は空と朧にその場を任せ、自らはザックの捜索へ急ぐのだった。

何を言っているのか分からないと思うが、これはニコたちがテレビで観ているアニメ「うろんミラージュ(以下「うろミラ」)」第119話のストーリー。登場人物のセリフも設定もあいまいなまま、物語はブリーフ一丁のザック十字架に吊るされる場面で幕を閉じる。「あいまいでよくわからないところがウケている」というニコの説明に、モリヒトが「全然わからん」とつぶやいたのも納得のファジーすぎる内容だった。

OPも含めて前半が丸ごと「うろミラ」という振り切った構成に、SNSには「全然違うアニメが始まってて困惑した」「こんなにセリフに意味のないアニメ初めて見た」「何度も自分が間違ってないか疑った」「ブラフに見せかけたデコイって何」と困惑&混乱する声が殺到。

一方で、空たち4人をアニメ「SKET DANCE」のメインキャストが演じていることに気づいた視聴者からは、「うろミラの声優さんボッスンヒメコ・スイッチ・椿で昇天…!」「うろミラの声優、聞き馴染みある人達ばっかだと思ったらSKET DANCEメンバーじゃん!」「声優がスケダン声優ばかりでうれしみ」など、喜びのコメントが多数寄せられた。中盤のEDで流れるキャストはフェイクで、本編最後に流れるキャストが“本物”という遊び心にも唸らされた。

■オタクすぎる教師と推し絵師の生徒が漫画コンビを結成

Aパートの「うろミラ」回がフリとなり、Bパートでは1年3組の担任・真桑悠里(CV.小松未可子)と嬉野久々美(以下、クック/CV.小原好美)による、「うろミラ」を通じた友情ストーリーが紡がれた。“電撃メロン”名義でSNSでも推し活に励む真桑は、生徒であり推し絵師でもあるクックと、ファミレスでオタク談義に花を咲かせる。しかし、真桑はクックとの世代間ギャップを肌身で感じており、身に染みついたオタク特有のリアクションで嫌われることを恐れていた。

ところが、クックから漫画を描き始めたと告げられ、「推し絵師が漫画に挑戦だ!おいら死んじまうぜい!」と心の声がバグるほどに大興奮。どうにか冷静を装うが、クックが取り出したネームはあまりに神々しく、真桑は思わず拝礼しながら受け取ってしまう。いざネームを読んでみると、クックには漫画の作法が身についていないことに気づく。脳内に渦巻く膨大な分析を口に出すことなく、真桑は良い所を褒め、SNSでもっと多くの人に見てもらうことを勧める。

クックがSNSにネームを投稿すると、すぐに“電撃メロン”から長文のアドバイスが届く。その翌日、学校の屋上でクックと話していた真桑は、「電撃メロンさんって先生でしょ」とさらりと言われて絶叫。さらには漫画の原作まで依頼され、激しく動揺する。真桑がSNSに一度だけ投稿した小説が大好きだというクックは、「その妄想を私が漫画にします」と宣言し、真桑は感動からへたり込む。教師と生徒という異色の漫画コンビが、ここに結成されたのだった。

第5話以来の推し絵師回は大反響を呼び、SNSには「先生と推し活とかちょっと羨ましい」「こんなに語り合えるオタ友が欲しいだけの人生だった」と2人の関係を羨む声も。オタクであることを引け目に感じながらも、推し絵師へのリスペクトを持ち、クックを絵師として成長させた真桑に対して、「スタンスから性格まで理想のオタクすぎる」と絶賛するコメントも見られた。

■アニメスタッフの壮大な遊び心に反響続々

オープニングテーマはWho-ya Extendedの「Bitter end」、エンディングテーマはALIの「FLASHBACK SYNDROME」という豪華すぎる布陣と、今話のためだけに描き下ろされたOP&ED映像。「うろミラ」に始まり「うろミラ」に終わった今話、Xでは「ウィッチウォッチ」「うろミラ」「うろんミラージュ」がトレンドの上位を席巻した。

遊び心というにはあまりにも度を越した内容に、「スタッフの愛がすごい」「作中漫画のアニメ化に主題歌作るな」「Who-ya ExtendedとALIでもう呪術」「そんな甘栗むいちゃいましたみたいなテンションで気合い入れてOPを!!」などSNSも大盛り上がり。放送終了後もその勢いはとどまることがなかった。

◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)

アニメ「ウィッチウォッチ」第14話より/(C)篠原健太/集英社・ウィッチウォッチ製作委員会・MBS