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 「トムとジェリー」は、ネコのトムとネズミのジェリーが追いかけっこを繰り広げるアメリカの人気アニメーションシリーズ。その歴史は古く、誕生したのは1940年。現在でも、カートゥーン・ネットワークで「まいにちトムとジェリー」が放送中です。

 そんなトムとジェリーの本編に一瞬だけ出てきた、「さかな」がXを中心に話題になり始めています。

 きっかけは、あるXアカウントが「こいつ流行らせたいんで良かったら使ってください」と、作品の中に出てくる「さかな」の画像を投稿したこと。そこから、この「さかな」に「トムやジェリーに関係するわけでもなく、魚らしくもない、素っ頓狂なことを言わせる」という謎のネットミームとしてバズり始めたのです。

 先ほどから「さかな」と呼んでいますが、そもそも、このキャラクターは名前すらなく、本編の中でトムが食べようとしていた魚でしかありません。

 ジェリーが友達のオットセイにプレゼントするためにその魚を盗もうとしたところ、トムに見つかってしまうものの、ジェリーがさも生きているように動かしてトムの目をあざむく……というエピソードがあり、そこに出てきただけの「さかな」。登場(?)時間は1分たらず。まず、生きてすらいないのです。

 ところが、トムとジェリーの公式側が、どういうわけかその流行を察知。Xの公式アカウントで「この子は、トムとジェリーのエピソード『可愛い逃亡者』(1952)に登場する【さかな】です。皆さん改めてよろしくお願いします!」と紹介しました。

 登場キャラクターでもなんでもない「さかな」を公式が紹介するという唐突な流れに、Xでは「70年前の数十秒からミームができるのほんま草」「トムとジェリーってほんとにおもしろいなぁ」という意見や、「1950年代でこんなクオリティのアニメーション作ってたのエグいな」と作品そのものにあらためて感動する声があがるなど、不思議な注目が集まっています。

 その影響は小さくないようで、語学学習アプリの「デュオリンゴ」の公式Xアカウントが自社のキャラクターを「さかな」に似せた画像を投稿するなど、すっかりネットミームとして定着しつつあるようです。

 トレンドの移り変わりが激しいインターネットとはいえ、70年以上前のアニメに1分ちょっとしか出ていない「さかな」がミームとして流行するというのは、誰にも予想できなかったのではないでしょうか。公式も、よく反応できたと思います。何しろ注目されたのは、トムやジェリーが活躍しているシーンではなく、本当にただの「さかな」なのですから……。

 本編でしゃべってすらいない(何しろ生きていないので)「さかな」ですが、公式側から今後の供給はあるのか、グッズ化などの可能性もあるのか……。ある意味、目が離せない展開になっています。

「トムとジェリー」に一瞬だけ出てきた「さかな(魚)」、70年以上の時を経て突然ネットミーム化し話題に