【元記事をASCII.jpで読む】

 サムスン電子は9日(現地時間)にニューヨークで新製品発表会を開催。薄さを極めた折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold7」を発表した。グローバルでは7月9日から予約開始、7月25日に発売となる。価格は1999.99ドル(約29万4000円)から。なお、日本でも販売が予定されている。

重量わずか215g、普通のスマホと変わらぬサイズのGalaxy Z Fold7

 Galaxy Z Fold7は折りたたみスマートフォンとは思えぬサイズの薄型軽量化を実現した横折りスタイルのスマートフォンだ。本体カラーはジェットブラック、シルバーシャドウ、ブルーシャドウの3色。オンライン限定色でミントも提供される。

 本体の形状は前モデル「Galaxy Z Fold6」までと大きく変わり、全体的にサイズアップした。閉じたときのディスプレーサイズは6.5型、本体サイズは約72.8×158.4×8.9mmとなる。ディスプレーの横幅が広がったことで、閉じた状態でも使いやすさが増した。フロントカメラは上部に1000万画素を内蔵する。

 背面には2億画素の広角カメラ、1200万画素の超広角カメラ、1000万画素の3倍望遠カメラを搭載する。広角カメラはフラッグシップモデルとなる「Galaxy S25 Ultra」と同じ画素数となった。防水防塵はIP48に対応。バッテリーは4400mAhとなる。

 閉じた状態を横から見ると、折りたたみスマートフォンとは思えぬ厚さだ。8.9mmという厚みは2025年2月に発表した当時世界最薄モデルのOPPO「Find N5」の8.93mmより薄い。なお、現時点での世界最薄モデルはHONORの「Magic V5」の8.8mmだが、Galaxy Z Fold7との差は0.1mm。ほぼ同じだ。

 Galaxy Z Fold7を実際に持ってみると、一般的な多くのスマートフォンよりも軽く感じる。215gという重量は、Magic V5やvivo「X Fold 5」の217gよりも2g軽い。重量は谷折りスタイルの折りたたみスマートフォンとしては世界最薄クラスだ。

 Galaxy Z Fold6と厚みを比較した。Galaxy Z Fold6は閉じた厚みが12.1mm、重量は236gであり、Galaxy Z Fold7との厚さの差は歴然としている。Galaxy Z Fold7を一度手に持ってみると、Galaxy Z Fold6がかなり重く感じるほど。

 一般的な「折りたためない」スマートフォン、Galaxy S25 Ultraと比べてみよう。Galaxy S25 Ultraは厚みが8.2mm、重さは218gだ。厚さに関してはほぼ変わらず、手で握ってみるとGalaxy Z Fold7のほうが横幅が細く握りやすい。

 発表会会場には本物のはかりが設置されており、手持ちのスマートフォンを実際に乗せて重量を比較することができた。Galaxy Z Fold7はGalaxy S25 Ultraより軽いのだ。

メインディスプレーは8型に大型化
開くと4.2mmの激薄サイズ

 本体を開くと8型のディスプレーが現れる。Galaxy Z Fold6まで数世代続いた7.6型よりひと回り大きくなった。フロントカメラは1000万画素と画質が高まったが、アンダーディスプレーカメラは廃止され一般的なパンチホールとなった。

 開いたときの大きさは約143.2×158.4×4.2mm。過去モデルより大きくなったものの、薄く軽いため持ちにくいとは感じられない。

 開いた状態の厚さは究極まで薄く、底面側から見るとUSB Type-C端子がギリギリのところで納まっている。開いたときの厚さも前述したMagic V5が4.1mmで、Galaxy Z Fold7とは0.1mmしか差がない。

 カメラ部分は台座+レンズと2段階に出っ張っている。本体の厚みに比べるとカメラの出っ張りサイズのほうが大きいほどだ。薄い本体に対してカメラの出っ張り度合いは高いものの、カメラバンプは縦長の最小限に抑えていることもあり、本体を握っているぶんにはこの出っ張りはあまり気にならない。

 本体を薄くするためにフレーム構造の変更など、基本設計に大きな手が加えられた。ディスプレーサムスンディスプレイ社の改良フォルダブルOLEDディスプレーを採用。Ti-プレート、OLEDパネル、超薄型ガラスが改良されたことで、ディスプレーそのものも薄くなっている。

 ヒンジ部分も設計を大幅に変更し、前モデルと比べてさらに小型化が図られた。ディスプレーのヒンジ部分の裏側空間を広げることで、薄い本体でもディスプレーを折り曲げたときの「伸び」の部分を無理なく収納することを可能にした。

 ヒンジ部分の改良により、ディスプレーの折り目もより目立たなくなった。それでいながらも従来モデルに劣らぬ強度を保っている。

 ディスプレーを好みの位置で止めて使えるフレックスモードも健在だ。他社の折りたたみスマートフォンの中には薄さとのトレードオフで、開閉角度が狭いものもある。Galaxy Z Fold7は閉じる側、開く側、どちらも余裕ある角度でディスプレーを止めておける。

 メインディスプレイーのフロントカメラを使ったオンライン会議や、本体を机の上に置いて操作するときなど、開いた側でもある程度の角度が欲しくなる。Galaxy Z Fold7のフレックスモードはその要求に十分対応できるだろう。

フラッグシップクラスのカメラ性能

 Galaxy Z Fold7のカメラは前述したように、広角が2億画素、超広角が1200万画素、3倍望遠が1000万画素となる。広角カメラはGalaxy S25 Ultraと変わらぬ「ウルトラ級」のカメラであり、幅広い撮影シーンを気にしない。標準では1200万画素での撮影が可能で、5000万画素、2億画素撮影への切り替えもワンタッチだ。

 発表会会場ではカメラ性能を細かく試すことはできなかったが、8型と大きくなったメインディスプレーでプレビューしながらの撮影は快適だ。細かい部分を確認しながら撮影できるも便利である。なお、この状態で背面側になるカバーディスプレーのプレビューをONにしての撮影もできる。被写体側が自分の姿を見ながら写真を撮ってもらうことができるわけだ。

 本体を曲げたままカメラを起動すると、上半分だけがプレビュー画面となるフレックスカメラが利用できる。三脚不要で撮影ができる便利な機能だ。

7世代のOSアップデート対応、AI機能も十分

 SoCはクアルコムのSnapdragon 8 Elite for Galaxyを搭載。メモリー/ストレージ構成は12GB+256GB、12GB+512GB、16GB+1TBとなる。OSはAndroid 16ベースのOneUIを採用する。

 本体を開いたときの分割画面表示などの使いやすさは、他社の折りたたみモデルより一日の長がある。OSアップデートは7世代までに対応。SIMカード構成はnano SIM+eSIMnano SIM+nano SIMなど販売国により異なる。

 Galaxy AIも機能が強化されているが、使い勝手などは、今後日本販売モデルを入手してから細かくレビューする予定だ。

 Galaxy Z Fold7を発表会会場で1時間ほど触った感想は、折りたたみスマートフォンが一般的なスマートフォンの完全なる代替となり、上位機種としてメーカーの真の「顔」になりうる製品に進化したということ。

 本体サイズと重量、さらに使い勝手の増したディスプレーサイズなど、今までの折りたたみスマートフォンの概念を大きく変える製品だ。日本での発売も大いに楽しみである。

折りたたみなのに開くと4.2mm、閉じると8.9mmと極薄の「Galaxy Z Fold7」