●ホワイトボードに返信「愛があれば何でもいい」
“死者の声が聞こえる”という役に立たない特殊能力を持つ男・緋山鋭介(藤原丈一郎)が主人公のドラマ『ロンダリング』(カンテレ 毎週木曜24:15~/フジテレビ 同26:15~ ※FOD先行配信)。緋山にロンダリングを依頼する不動産会社の社長・天海吾郎を演じるのが、大谷亮平だ。撮影秘話や見どころなどを聞いた――。

○藤原丈一郎&菅井友香は「きっちりしてる」

――藤原丈一郎さん、菅井友香さんとの共演はいかがでしたか?

藤原くんも菅井さんも、「きっちりしてるな」という印象が強かったです。おふたりの雰囲気がすごく爽やかで、礼儀や挨拶がしっかりしていて、人間として気持ちがいい方々でした。役に対する集中力や、向き合い方も真っすぐだなと思いました。

藤原さんは、感情を表に出すときのパワーがすごいです。霊の声が聞こえてもがく緋山を、僕が鎮めるシーンがあるのですが、そのときの感情を出し方を間近で見ると、下手に触れてはいけないと思いました。それほどエネルギーを発していて、彼のすごさを感じました。

菅井さんは、「この子がアイドルグループのリーダーをしていたのかな?」と驚くくらい、おしとやかな印象でした。役柄はクールなのですが普段はとても静かで、「そんなに穏やかなのに、どうやってグループを引っ張っていたの?」と今度お会いしたら聞いてみようと思います(笑)

――撮影現場では、藤原さんがホワイトボードに「差し入れ何がいいですか?」と書いたところ、大谷さんが「愛があれば何でもいい」と書いたそうですね。

単なる思いつきです(笑)。「ありがとうね」という思いを込めて書きました。軽食から、入浴剤などの日用品までいろいろとありますが、何でもうれしいですね。僕は甘いものをよく食べるので、シュークリームがめっちゃ好きです。

○地元・大阪での仕事は「うれしい気持ち」

――撮影は大谷さんの地元である大阪で行われたそうですが、いかがでしたか?

ロケをしたのが、僕の高校の近くでした。すぐそばに、部活の集まりでよく行った中華料理屋さんがあったりして。人生で一番濃い時間を過ごした高校だったので、そんな思い出深い場所で俳優として仕事をしていることがすごく感慨深かったです。あの頃は、そんなこと想像もしませんでした。撮影していると、街の皆さんが手を振ってくれたり、和やかに見守ってくださっていました。最近は、大阪でお仕事をすることが増えてきて毎月のように行っているのですが、やはりうれしい気持ちがありますね。

――撮影で苦労したことはありますか?

3人ともセリフがすごく多かったので、「大変ですよね」と、よくその話をしていました。僕は、長いセリフを覚えるのは大変ながらも楽しいタイプなんです。現場では、ずっとセリフを話しているほうがリズムがつかめますね。特に、天海が経営する不動産屋の会議室でのセリフが多くて、「ここはセリフ部屋だな」と僕が言うと、みんなそう呼ぶようになりました(笑)

僕が長ゼリフを言っていると、2人が応援しながら見守ってくれたり、言い終えたら拍手してくれたり、お互いに褒め合いながら何とかやっていました。大変ではありましたが、和やかな雰囲気でしたね。

登場人物の中で最も裏表があるキャラクター
――天海吾郎の魅力について、どう感じていますか?

登場人物の中で最も裏表があり、闇の部分を感じるキャラクターだと思います。しかし、ドラマの後半にかけて最初に見せていたのとは違った彼の人間性が徐々に明らかになっていきます。それを逆算しながら、終盤にかけてイメージを裏切っていくことを意識していました。天海の隠されていた部分が明らかになるところに、ドラマを引っ張っていく魅力があるんじゃないかと僕は思っています。

――天海に共感するところはありますか?

天海は恨まれる立場ではあるのですが、「その状況になったら、そう立ち回るしかないよな」と感じるところはあります。僕は天海について否定的に捉えることはなく、すごく正直な人間味があると思います。ただの冷酷な人間にはしたくないと思って演じていますね。

天海と僕の共通点はあまりないのですが、あえていうなら“不動産好き”ということくらいでしょうか(笑)。間取りを見るのが好きで、物件を選ぶときは多くの条件を吟味します。ほぼ毎日スーパーに行くので、徒歩圏内にあるかどうかとか。今住んでいるところは、毎日とんでもない西日が差し込んでくるので、「日当たりをもっと考えなければいけなかった」と反省しているところです。
○「どんな場所でも事故物件じゃないか」

――「事故物件」が重要なドラマの重要なキーワードですが、大谷さん自身は不動産を選ぶとき気にしたことはありますか?

考えたこともなかったです。僕は霊感はないし、特殊能力とかは疑ってみてしまうところがあります。天海は、心霊現象に関して何かしら利用しようとする立場の人間なので、緋山たちとは少し見方が違っていますね。

もし、若くて生活に余裕がないときに賃料の安い事故物件に出会っていたら、躊躇(ちゅうちょ)なく入居していた可能性はありますね。歴史を振り返ったら、どんな場所でも事故物件じゃないかと思ってしまうんです。もしかしたら、ここだって大昔に侍が切腹していたかもしれないですから。

――最後に、作品の見どころを教えてください。

撮影中も、台本が面白いとキャスト同士でよく話していました。先の台本がくるのが待ち遠しかったくらい、謎に迫っていくストーリーが非常に面白い作品です。僕自身、最終話に行き着くまで謎解きをしている楽しさがありました。簡単には解けない謎ですが、随所に散りばめられているヒントや、主人公の緋山の力で真相が暴かれていくのを楽しんでもらえたらと思います。

都田ミツコ とだみつ 1982年生まれ。編集者・ライター。編集プロダクションでの勤務を経て、フリーランスに。 この著者の記事一覧はこちら
(都田ミツコ)

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