
鹿児島県のトカラ列島で、地震が相次いでいる。最大震度6弱を観測した十島村の「悪石島(あくせきじま)」とは、どういう場所なのか。YouTuber「野食ハンター」の茸本朗さんが、その風土について語る。
茸本さんは全国各地を旅して、野生のグルメをハンティングしている。そして2025年1月、4日間かけて悪石島を訪れた。屋久島から南に約120キロ離れ、断崖絶壁に囲まれた、周囲13キロの孤島だ。鹿児島港から週2便運航される「村営フェリー」で、約11時間かけるルートが、島に渡る唯一の手段だ。
島民は89人で、農業と漁業、畜産を主な産業としている。小中学校をあわせた学校は1校(十島村立悪石島学園)のみで、売店も1軒。タクシーや飲食店はない。村のホームページによると、民宿は5軒ある。
茸本さんのYouTube動画では、宿泊や滞在中の様子が伝えられている。「ネットが速い。光回線が通っている」「すぐそこに温泉設備がある。海中に温泉が湧き出している」。さらに、地熱を利用した“天然蒸し風呂”もある。「砂蒸し風呂は、一般的に砂に埋もれるが、熱すぎるので砂の上にゴザを敷いて横になるだけ。岩盤浴と砂蒸し風呂のいいとこ取り。海が近いので、さわやかな風が抜けていく。すごく良かった。寝てしまう」。
島最大の魅力といえば、珍しい魚だ。動画では「見たことないタイプの“オジサンフィッシュ”」などを釣り、悪石島の住人が好むというニンニクを漬け込んだしょうゆとともに、刺身で食べていた。
「悪石島」の名前の由来は諸説ある。「島のあちこちに大きな岩が転がっていて、崖から石が落ちてくる険しさを示している」「平家の落人が、追っ手を遠ざけるために、わざと悪い名前を付けた」とも言われている。
島には琉球文化と大和文化が交差する土地ならではの不思議な伝統行事も残る。仮面神・ボゼが現れる「ボゼ祭り」だ。異様な姿で現れるボゼは、子どもや女性を追いかけ、無病息災をもたらす神として、人々の暮らしに息づいている。
そんな悪石島が不安に包まれている。「皆さん、ものすごく親切かつ人懐っこい。もちろん離島だからお店が開いている時間が短いなど、僕ら外から来た人間が困るシーンはある。そんなときも気軽に声をかけてくれたり、助けてくれたりする。不便さもある中で、助け合って生きている。その島でよくしていただいた皆さんが、今この瞬間も地震の恐怖のさなかにあるのは、すごく心配だ」(茸本さん)。
(『ABEMA的ニュースショー』より)

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