
火ぶたが切られた、夏の参議院選挙。各党がしのぎを削る中、『ABEMA Prime』は政党研究を実施。まず最初は「公明党」をピックアップした。
1964年、当時の池田大作創価学会会長のもと誕生した公明党。自民党とタッグを組んで以来、20年以上も“老舗政党”として与党の一翼を担ってきた。代表として長きに渡り率いてきた人物といえば、山口那津男氏。去年、代表を引退し、石井啓一氏へ代替わりすることになったが、去年の衆院選で石井氏がまさかの落選。現在は斉藤鉄夫氏が代表を担っているが、先月の東京都議選でも安定していたはずの得票数が取れなかった。
果たして、参院選ではその存在価値をアピールできるのか。『やると言ったら、やり切る。』をキャッチコピーに掲げるが、一体何をやりきるのか。幹事長の西田実仁参院議員に聞いた。
■公明党に聞く“10の質問”

まずは、各党共通の10個の質問に回答してもらった。
Q1.党が一番大事にする理念は?
公明党の立党精神は、「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」、理念としては、<生命、生活、生存>を最大に尊重する人間主義を掲げている。
Q2.今回の選挙で一番の推し政策は?
奨学金返済のために苦労してる方々の奨学金減税。何か施策をやる時はすぐに財源の話が出るが、財源を単に見つけるだけではなく、財源を作り出すという考え方から、新たに政府系のファンドを作ることも検討していく。
Q3.党を推している人たちにはどんな人が多い?
生活実感が非常に伴う現場密着の方々であるとともに、「どうしたらもっと良い社会にできるのか」と、大変熱い思いを持って支援してくださる方が多い。
Q4.世間のイメージの認識は?どんな党だと思われている?
平和の党とか福祉の党、あるいはクリーンな政治、政党というイメージをいただいているのではないかと自負している。
Q5.党として勘違いされている、誤解されている点はある?
組織政党だということで、どの議員も同じではないかと金太郎飴的に思われているが、決してそういうことはない。YouTubeのサブチャンネルを見ていただくとわかるように、侃侃諤諤、いろんな議員がいる。
Q6.ネットのアンチに思うことは?
やはり公明党の真の姿をもっと知ってもらえるように、我々も努力しなければいけないと思っている。公明党サブチャンネルでいろんな方と交流しながら、それを伝えるようにしている。
Q7.現時点の情勢調査の受け止めは?
序盤から中盤に入ったので、これからがいよいよ本番という思いで頑張る決意。
Q8.政策的に一番近い党、手を組める党は?
どういう組み合わせかということよりも、何をするかが一番大事。そういう意味で、今は自民党との連立政権を組んでいる。
Q9.絶対に組めない党はある?(アリ・ナシで)
何をするかなので、それはない。
Q10.メディアに言いたいことは?
私もメディア出身なので、どんどん取材していただければと思う。
■SNS発信に注力「チャレンジしないと“本当の姿”をわかってもらえない」
今回の選挙について西田氏は、「いろいろなメディアの報道で、与党は厳しいと見られていると思う。ただ、楽な選挙はこれまでに一度もなかった。皆さまに説明をしていく中で、最終的に目標が達成できるように頑張りたい」とコメント。

学習院大学非常勤講師でZEN大学客員講師の塚越健司氏は、「支持母体である創価学会の人の高齢化が進み、相対的に票が落ちていくのでは、と言われている。関係ない人を取り込んでいくためには、SNSが大きな力になると思う」と、情報発信の仕方を問う。
これに西田氏は「昨年の衆議院以降、一番党として力を入れてるのはまさにこの話。公明党の公式チャンネルとサブチャンネルを作り、後者ではある程度自由に、議論の過程も見せたりしている。『日本一嫌われている人』とか、103万円の壁の時に『裏切り者』といったタイトルを付けられたり、本当にシナリオなしに作ったりしていく中で、興味を持ってくれる方がいる。いろんな人との対談やトークを載せることで、(議論で)やられたりすることもあるが、ある意味でタブーをなくそうとしている。幹事長なのでドキドキすることもあるが、チャレンジしていかないと本当の姿もわかってもらえない」と返した。
今回の選挙の推し政策にあげたのが、奨学金減税だ。「『We connect』というアンケートで寄せてもらった12万件以上の声を、AIで分析して、政策を作っていくという手法を取った。その中で一番多かったのは物価高で、2番目が奨学金。すでにある代理返還制度でも、企業は損金算入でき、返済者も所得税に課税されない・社会保険料に反映しないということで、広く言えば奨学金減税ではある。ただ、今回はそれに加えて、残高の0.7%が所得控除される住宅ローン減税と同様に、奨学金もローン残高について所得税控除することを提案している」と説明した。
■『やると言ったら、やり切る。』の実現性は?
公明党のキャッチコピー『やると言ったら、やり切る。』について、実業家・TikTokerの岸谷蘭丸は、「結構重い言葉だと思う。与党ならやれるわけで、“やり切る”と言って全然やっていなかったら責任が問われる」と厳しい言葉を向ける。

これに西田氏は、「“やると言ったらやる”というのも考えた。しかし、そうしなかったのは、すぐにできることもあれば、大きなテーマだとそうもいかないという時間軸の中で、やれるまでやるという意味での“やり切る”だ」と説明。
公明党は参院選の物価高対策として、「18歳以下の子どもや住民税非課税世帯の大人に1人4万円、そのほかは1人2万円給付」「所得税減税で、今年の年末調整で99%の納税者が2万~4万円減税(「奨学金減税」の創設、ガソリンの暫定税率の廃止なども)」「最低賃金を5年以内に全国加重平均で1500円に引き上げ」などを掲げている。
「賃金以上に物価が上がり、実質賃金がマイナスになっている足元の状況でまずやらなければいけないのは、給付。賃上げあるいは減税に直接関係のないお子さんには4万円、住民税非課税の方に大人1人4万円、それ以外は1人2万円。例えば、子ども2人の4人家族であれば12万円の給付が受けられるという内容を提案し、これは年内に実現したい」
一方、「住民税非課税世帯の多くは高齢者だ」「中には困窮していない人もいるのでは」との指摘には、「フローのお金は少なくても、ストックのお金がある人は確かにいる。資産を把握するインフラが日本はまだなくて、それができないために不公平感があるというのは、ずっと指摘されてきた。その仕組みづくりは、選挙が終わったらすぐにやったほうがいいと言っている」と答えた。
その上で、「消費税の軽減税率を下げていくと最初から公約で言っていたのは、我々だけ。自民党も財務省も『ノー』と言っていたが、それでも連立を組んでいたわけだ。3年かけてようやく実現したものだが、やり切るというのはそういうこと。いろんな関係者がいるけれども、粘り強く最後までやり切るというのは、(今後の)消費税についても同様だ」と主張した。(『ABEMA Prime』より)

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