
火ぶたが切られた、夏の参議院選挙。各党がしのぎを削る中、『ABEMA Prime』は政党研究を実施。今回は「参政党」をピックアップした。
その名が世間に認知され始めたのは、2022年。参院選で約177万票を比例区で獲得し、
神谷宗幣(そうへい)代表が当選、国政政党としてデビューを果たした。さらに、去年の衆院選では比例で3議席を獲得。その勢いのまま、6月の東京都議会選では3議席を初めて獲得した。
SNS戦略も功を奏した一方で、ネットでは「カルト」「差別的」といった批判の声も多い。果たして、その力をどこまで伸ばせるのか。日本をどこへ導くのか。参政党の神谷代表に聞いた。
■参政党に聞く“10の質問”
まずは、各党共通の10個の質問に回答してもらった。
Q1.党が一番大事にする理念は?
「日本の国益を守り、世界に大調和を生む」という理念を掲げている。
Q2.今回の選挙で一番の推し政策は?
消費税廃止を中心とした減税と、積極財政の推進。
Q3.党を推している人たちにはどんな人が多い?
普通のサラリーマン、主婦、バラエティに富んだ方々。あまり政治経験や政党所属経験のない方が多い。
Q4.世間のイメージの認識は?どんな党だと思われている?
「何か過激なことを言う党」「バックに何かいるんじゃないか」という噂がよく耳に入ってくる。
Q5.党として勘違いされている、誤解されている点はある?
いっぱいありすぎるが(笑)。「宗教団体が裏にいる」というのはよく言われるが、全くの誤解。

Q6.ネットのアンチに思うことは?
自分の応援したい人を一生懸命応援すればいいのであって、人の足を引っ張るようなことをやっても人生の時間の無駄だと思う。
Q7.現時点の情勢調査の受け止めは?
実際よりも高い数字が出ているように思っている。ここは気を引き締めてかからないと、本当に大きく負けてしまう。
Q8.政策的に一番近い党、手を組める党は?
マッチングでは、日本保守党さんの政策が近く出てきて、その次に国民民主党なんかが近い。
Q9.絶対に組めない党はある?(アリ・ナシで)
それはない。どの党とでも協力体制は作りたいと思う。
Q10.メディアに言いたいことは?
公正な報道をぜひお願いしたい。良いことも悪いことも両方報じていただきたい。
■今回の選挙は「3年前の反省がある」
参政党は2020年4月、「投票したい政党がないなら、自分たちでゼロからつくる。」という考えをもとに結党。衆院議員3人、参院議員2人、地方議員150人を要し、今回の参院選には55人を擁立している(全選挙区45+比例区10)。
共同通信社の全国電話世論調査(7月5、6日)によると、比例代表の投票先は自民党が18.2%(前回17.9%)、参政党が8.1%(同5.8%)で次点につけている。神谷氏は「47都道府県を順番に回り、街頭演説を毎日3、4回するが、人の集まりは過去最高。ただ、この8%までの勢いは感じられず、数字に踊らされると『あれ?』となる可能性が高いので、『気を引き締めてかかろう』と呼びかけている」と現状を分析する。

SNSで投稿されている数が圧倒的に多いのも特徴だが、「賛否両論」と冷静な見方だ。また、SNS投稿をめぐってはガイドラインを設け、他党への批判として「触れるのはOKだが政策ベースで」、討論のルールとして「批判するのは政策のみ」、参政党の姿勢として「他党のゴシップ(内部対立や不倫など)には関与しない」などと呼びかけている。
神谷氏は「叩く側は組織的に、頭を使ってやってくる。わざとケンカを吹っかけてきて、こっちが怒ると動画を撮って、『参政党の人たちは性格が悪い』と流されるわけだ。我らは素人ばかりなので、新しく入ってきた人たちにはマニュアルを教えてあげる必要がある」と説明。
また、過去の“反省”もあると明かした。「3年前は勝てるかどうかわからない選挙だったので、みんな好きにやってくれと自由放任でやっていた。そうすると後になって、『あの発言の責任を取れ』と1人国会議員になった私に全部きて、相当苦労した。一政治団体から、今は国政政党として交付金もいただいている責任が伴うので、だいぶ反省した。私たちから見ても、3年前の動画は言い過ぎていたものもある。言ってしまったことは仕方がないと思いながら、訂正したり、Xなどを使って皆さんの質問に答えたり。デジタルタトゥーは、まさにタトゥーとして背負っていくしかないと思っている」。
■「高齢の女性は子どもは産めない」発言の真意
7月3日、神谷氏のある発言が物議を醸した。「いいですか。男性や申し訳ないけど高齢の女性は子どもは産めない。若い女性が子どもを産みたい(と思わせるような)、子どもを産んだほうが安心して暮らせるという社会状況を作らないといけないのに、働け働けってやりすぎた」という第一声の、「高齢の女性は子どもは産めない」に批判が集まった。

神谷氏は「過去にも言ってきたことで、訂正するつもりはない。女性にも適齢期があって、一定の年代を超えれば産めなくなるし、母体にかかる負担が大きいことは医学的にも証明されている。“高齢出産がダメだ”と勘違いしたメッセージを多くもらったが、そういうことを言ったのではない。終わってから囲み取材でも聞かれたので説明したが、あえて切り取って記事にされたのは悪意があると思う」と主張する。
また、「働け働けってやりすぎた」という男女共同参画への提言については、「女性の社会進出は大いに結構。実際、参政党は女性議員が多いし、今回の参院選でも女性立候補者の数が一番多い。私の妻も働いているし、“女性は家にいなさい”という考え方も全くない。ただ、“女性が外に出なきゃ”とやりすぎたことで、専業主婦が社会的に価値のないことだと思い込まされた人もいた。外に出て働くこともすばらしい、家にいて子どもを育てることもすばらしい、両方の選択肢を増やそうということをずっと訴えている」と述べた。
■“日本人ファースト”に批判も 「今整備しないとますます不満が溜まる」
さらに、参政党が掲げているのが「日本人ファースト」だ。神谷氏は「グローバリズムがどんどん進み、外国の資本や労働者がたくさん入ってきた。特に問題は資本で、インフラやマンション、水源、株式などが買われていくと、日本の土地なのに日本人が入れない場所が出てきてしまう。別に“外国人はダメだから追い出せ”と言っているのではなく、数を受け入れるのであればルールも厳格にして、お金がなくなった人には帰ってもらう、犯罪を犯した人は処罰するなど、日本人が不満を感じないような法整備をちゃんとやろうということ」と説明する。

こうした発信について、Xでは「排外主義」「敵を作っている」といった批判の声があがる。「それは逆で、今のうちに法整備などきちんとしておかないと、ますます不満が溜まって、結局外国人と日本人の衝突を生むことになってしまう。(在留外国人数の比率は)3、4%でまだハンドリングできるが、これが10〜20%になれば、警察でも手に負えないような事態になる。まだルールが徹底できると思うので、早くやるべき。日本人が外国人の方と国内で争い合う状況は絶対作りたくない」と訴えた。
そのために、外国人に関する諸課題を一括して取り扱う「外国人総合政策庁」の設置を打ち出している。「問題を全てテーブルに並べて、どうバランスを取るかを決める必要がある。外国人政策は、土地や労働者、社会保障と各省庁にテーマが分かれているし、扱うと差別だと言う勢力があるので、あまり触りたくないという空気を永田町で感じている。それを払拭するためにも、外国人総合政策庁を作って、省庁横断的に、“何人はダメだ”と感情論にならないようにしないといけない」とした。(『ABEMA Prime』より)

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