「何乗ってんの?」「GT-R」「あぁ日産の……」ちょっと待て! トヨタにもマツダにもメルセデスにもBMWにも「ジーティーアール」はあるんだぞ!!

この記事をまとめると

■日産意外にも「GTR」を名乗ったモデルがある

いすゞマツダなどの「GTR」は日産「GT-R」のライバル的な存在だった

■海外のメーカーでも「GTR」はレーシングモデルなどに使用された

かつては数多くのモデルが「GTR」を名乗った

 クルマ好きの間で、「何のクルマ(車種)に乗っているの?」と聞かれたときに、「GT-R」と答えられるのは、スカイラインGT-R(ハコスカ、ケンメリ、R32、R33、R34)か、日産GT-RR35)のオーナーぐらい。下手をすると「GT-R」をさらに略して、単に「R」(アール)と答えることさえ許されている⁉

じゃない「GTR」をまとめたら意外にリスペクトされていた

 しかし、「GT-R」は日産車だけの固有名詞ではなく、国内外でいくつかの車種に採用された実績がある。
そこで、日産車以外の「GT-R」にもスポットを当ててみることにしよう。

いすゞベレットGTR

 スカイラインの初代GT-R、ハコスカGT-R(PGC10)と同じ、1969年にデビューしたもう一台のGT-Rが、ベレットGTR。ベースのベレットGTは、「和製アルファロメオ」と呼ばれるほどの本格的な「GT」で、スカイラインよりも早く、日本で最初に「GT」を名乗ったクルマ(ベレットGTの発表はスカイラインよりも早かったが、発売はスカイラインGTが1カ月早かった。GT-Rスカイライン1969年の2月でベレットは、同年の11月発売)。

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 ベレットGTRは、ベレットGTに117クーペのエンジンだった、ミクニ製ソレックスキャブ2連装の1600ccDOHCエンジン、G161W型エンジンを載せた高性能モデル。レースなどでも活躍し、GTRの名にふさわしいパフォーマンスをもっていた。

トヨタのGT-Rたち

 意外かもしれないが、トヨタGT-Rというグレードが好きなメーカーだった。セリカ (AA63, ST162など)、カリーナ(AA63)、コロナ、コロナクーペにGT-Rグレードを設定。セリカなどは、スカイラインのライバル的存在だったのに(?)、いやライバルだからこそ正面対決を選んだのかもしれない(4WDモデルにGT-Rはなかったが)。

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 このなかでとくに印象的だったのは、3代目カリーナAE86などのエンジンでおなじみの4A-Gを搭載したカリーナGT-RAE86の4ドアセダン的な位置づけで、国産初のDOHCターボ(3S-Gターボ)を積んだカリーナGT-TRも同時デビューだった。

特別な価値観をあたえる車名として大切に使われている

マツダのGT-Rたち

 マツダは2代目サバンナRX-7FC3Sと、7代目ファミリア(BG型)に「GT-R」を設定。

 初代のハコスカGT-Rと、初代のサバンナRX-3は強力なライバル関係にあり、ハコスカGT-Rのレースでの50連勝記録を阻止し、49連勝でストップをかけたのがマツダサバンナ。そのサバンナの正統後継車であるFC3Sがデビューしたのは1985年で、日産の第2世代GT-R(R32)が復活する4年前。FC3Sの走りの最上級モデルはGT-Xと名付けられ、GT-Rはベーシックグレードの名称だったところに因縁の深さを感じさせる。

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 さらにいえば、R32GT-Rの開発中の社内呼称は「GT-X」だった! 両社が両車を意識していたのはほぼ間違いないだろう。

 もう一台のBGファミリアは、コンパクトなボディにDOHCターボ+フルタイム4WDというパッケージで、ラリー界でのハイパー4WDの先駆けとなったモデル。輸出名は「323GT-X」でWRCでも大活躍した。そのファミリア戦闘力をさらに高めるために、ターボチャージャーを大型化し、インタークーラーを前置きにして210馬力にパワーアップしたホモロゲート・ミートバーションとして投入されたのが「GT-R」。

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 こちらはGT-Rの名にふさわしく(?)、文句なしの最強モデルで、3連パワーバルジのエンジンフードと、大型フォグのついた専用バンパーが特徴だった。

海外のGT-Rたち

 国産車以外のGT-Rとなると、マクラーレンF1 GTRが有名。1988年、セナ・プロストのコンビで16戦15勝の記録を達成した名車マクラーレンMP4/4のデザイナー、奇才ゴードンマレーが、世界最高のロードカーを目指して開発したのがマクラーレンF1で、そのレーシングモデルがGTRルマン24時間レースでも優勝している(1995年 日本の関谷正徳もドライブ)。マクラーレンではほかにも、「P1」や「セナ」のレース仕様にも「GTR」の名前が与えられた。

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 それから、メルセデス・ベンツCLK-GTRもスペシャルな一台。メルセデス・ベンツAMGがFIA GT選手権参戦用に開発したモデルだが、ロードカーも25台製作され、1999年に約2億5000万円で販売された。

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 また、BMWのM3にもGT-Rがあった。AMLS(アメリカン・ル・マン・シリーズ)にレース参戦するために、E46のM3をベースに10台限定でヨーロッパで発売された、ホモロゲート ミートバージョン。ドライサンプの4リッターV型8気筒エンジン(387馬力)を積んで、外装品にはカーボンを多用。約2700万円だった。

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 その他、ランボルギーニ ディアブロのワンメイクレース用のモデルだった、ランボルギーニ ディアブロGTR(30台限定)なども知られている。

 いずれの「GT-R」も(FC3Sを除いて)、ベース車よりもハイパフォーマンスなモデルで、特別感を出すために「GT-R」の名前を使っていることがよくわかる。

 スポーティかつラグジュアリーな長距離ドライブに適したクルマ=「GT」(グランツーリスモ)に、レーシングの頭文字「R」を加えただけなのに、特別な価値観をあたえる「GT-R」。世界共通で大事にしていることがわかる3文字だ。

じゃない「GTR」をまとめたら意外にリスペクトされていた

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「何乗ってんの?」「GT-R」「あぁ日産の……」ちょっと待て! トヨタにもマツダにもメルセデスにもBMWにも「ジーティーアール」はあるんだぞ!!