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 日本プロレス界の至宝・武藤敬司が25周年を迎えるプロレスリング・ノアの過去と現在、そして未来について語った。三沢光晴との秘話や昨今のノアを席巻する”OZAWA現象”、さらにはグローバル化するプロレスの未来について、鋭い“武藤節”が炸裂した。

【映像】武藤敬司、NOAHの現在と未来を語る

ーー今年はNOAH25周年になります。今日(インタビューが実施されたのは6月13日)たまたまなんですけど、 三沢さんの17回忌になる日になるんです。 まず、三沢さんで真っ先に思い出すことって、何か思い出はありますか?

武藤 思い出すこと? 恵比寿のウェスティンホテルで密談したことがあるよ。俺がノアの東京ドームに上がった時に。向こう持ちだったからさ、美味しいもの食わせてくれたよ(笑)。

ーー三沢さんはどんな人でした?

武藤 決断力というか、ウジウジはしていなくて、しっかりピシッという方だったんです。

ーー今更ながら、武藤vs三沢のシングルが実現する“歴史にイフ”があればなと改めて思いますが。

武藤 俺もありますよ。この前だって、蝶野と四天王の何人かとのイベントとか年に一回やってて、そこに三沢光晴がいたら「どんな会話になったのだろうな?」と想像したりするもんね。盛り上がったのか盛り上がらないのか、脱線してちょっとエロっちい話になるのかどうかとかね(笑)。本当に想像したりするよね。

ーー25年が経ちまして、武藤さんから見て今のノアはどう映っていますか?

武藤 今年になってから凄い調子良さそうですよね。ちょっと離れたところから見てるから、本当に感じますよ「盛り上がってるなぁ」と。あと、ちょっと離れて見てると言っても、なんか全体的なチームワークの良さも感じるよね。

ーーお客さんの変化みたいなのを感じることはありますか?

武藤 きっと新しいファンを獲得してると思うけど、その中でKENTA選手とかまた戻ってきてて、また古い人たち(ファン)も応援してきてくれてるのかなって。戻ってきてくれてるのかなって思ったりしますよね。

ーー(今のノア)リングの上とかを見てても面白く感じるものですか?

武藤 俺たちがやってた時のプロレスと比べて、ちょっと近代的になってきてるなって感じはしますよ。SNSで(情報を)飛ばしたりとかさ。あと、昭和のプロレスと違ってさ、喋りが上手いよ。俺たち昭和の時代なんて、みんな吠えてるだけだから。長州力とか前田(日明)さんとか、みんな何も理解できないのにさ、勢いだけで言ってるからさ、本当に犬の喧嘩と一緒ですよ。今は、それがちゃんとお客さんに伝わってるから、素晴らしいですよ。

ーーズバリ、今のOZAWA選手、武藤さんから見ていかがですか?

武藤 いいと思うよ。最初名古屋で、清宮(海斗)を裏切るとこから見てるからさ。あの時点では、まだ疑問符がついてたよ。まだ数年しかやってない中で、想像以上にリングの上もしっかりしてて、一つひとつの技も説得力があるよ。あと無理してやってないよ、派手な技でも本当に運動能力があってできてる。ほんと無理して「危ない」って思わないもんね、彼の技は。

ーーパフォーマンスの面は? ダンスを踊ったり、鼻くそをほじったりとかするじゃないですか。ああいうのは武藤さんどう映ってるのかなと。

武藤 昭和のプロレスで、猪木さんとか長州さんがやってた時にあんなことやったら、俺らはリングにもう二度と使ってもらえないような感じだった。もう時代が違うし、これはプロレス界だけじゃなくて、社会全てが変わってきてるわけだから。今のスタイルのプロレスじゃないの。

ーーやっぱりOZAWA選手が「新しいお客さんを呼んでるっていう風には見えますか?

武藤 いや、それはプロレスラーって一人でやるわけじゃないから、今は憎まれているけど清宮もいるし、清宮もやっぱりしっかりしたプロレスもしてるわけだから。対戦相手あってのレスラーですから、そうやって総合でよくなってきてるんじゃないか。あと全体的に若返ってるからね。若返ってるじゃん、なんか全体的に。やっぱりね、どんな素晴らしい50代のレスラーがパーフェクトなプロレスしても、20歳の女の娘はキャーキャー絶対言わないから。未熟でも(若い選手が)夢を頑張っている姿に絶対共鳴すると思うし。心なしか女性のファンの方が増えてるような気がするもん。やっぱり若いからだと思うよ。

ーー今のノアを三沢さんが見たらどう思うでしょうかね。

武藤 今急に見たら「なんじゃこりゃ」って思うかもしれないけど、 俺たちは進化の過程を見てるわけだから。

ーーこれからのノアに期待することはありますか?

武藤 ノア自体がもっと大きくなってほしい中で、世界のグローバルなところで勝負していってほしいよなぁ。プロレスってたぶん、絶対無くならないと思うんですよ。ノアは無くなるかもしれないけど(笑)。俺、先月だってオーストラリア行って、その前までラスベガスに行って、8月はシャーロット、ノースカロライナに行って、その後、ニュージャージ行って、サイン会だよ。今度は10月にクウェートに呼ばれて中東で俺のサイン会だよ? 11月にもまたニューヨーク行くんだけど、世界中にプロレスファンっているんですよ。プロレスってあるんですよ、絶対に。だから絶対無くならない。ノアは無くなるかもしれない(笑)。一生懸命やらないと。そういうグローバルなところで、WWEの向こうを張るみたいな感じでやってほしいよな。

「(三沢光晴さんが見たら)“なんじゃこりゃ”って思うかもしれないけど…俺たちは進化の過程を見ている」武藤敬司、25周年のプロレスリング・ノアの“現在地”を語る