「北くんがかわいすぎて手に余るので、3人でシェアすることにしました。」(毎週火曜夜11:00-11:30、フジテレビ系FODTVerにて配信)の第2話が7月8日に放送され、東子(志田未来)の両親が娘の“同棲相手”の北くん(岩瀬洋志)に会いにくる顛末が描かれ、深い溝のあった父娘の関係の修復が視聴者の感動を呼んだ。 (以下、ネタバレ含みます)

【写真】見てるこっちもドキドキ!北くん(岩瀬洋志)が西野(増子敦貴)に壁ドン

■“北くん”を男女3人でシェアして暮らす、異色ラブコメ

本作は、榊こつぶの同名漫画が原作。結婚、仕事、家庭環境…それぞれの人生の岐路に立ち問題を抱える男女3人が、全ての価値観を受け入れてくれるナゾの美青年“北くん”に恋をして、彼を交えた4人での同居生活を送る事から起きる騒動を描く異色の“シェアラブコメディー”。

■東子の両親が北くんに挨拶に来ることになり、大慌て

ある晩、東子が自分の部屋で母・初江(羽野晶紀)が電話で話している最中に、北くんが「お腹すいちゃって…」と入ってきた。31歳の娘に早く結婚してほしいと望んでいる初江は、その声を聞き逃さず「この時間に居るという事は同棲中?」と、すぐにでも挨拶したいとテンションアップ。週末に高知から会いに来ることを一方的に決めてしまった。同棲中には違いないが、非常に複雑な状態であることはとても親には言えない…。

東子は北くんに事情を話して土曜日に家に居てもらうように頼んだ後、南(本田翼)と西野(増子敦貴)には、両親が来ている間だけ家を空けてほしいと懇願した。だが南は、東子が自分たちを出し抜いて北くんと結婚する気なのでは?と勘ぐり始め、西野も「親に加勢してもらって結婚になだれ込む魂胆なのか」と疑う始末。いくら東子が否定しても2人は聞く耳を持たなかった…。

■北くんが帰ってこない非常事態

そして当日。朝の散歩から帰宅した北くんは、マンションの外で知り合いに誘われて釣り堀に行ってしまう。いつもならとっくに戻ってきているはずの彼がおらず、焦る東子。このまま北くんが居ないとなれば、実家に強制送還になってしまう!と追い詰められる。

そんな彼女に「ライバルが減るし、ありがたい」と言う西野。だが東子は「もし自分が居なくなれば、高い家賃を南と2人で支払うことになる上、絶妙なバランスで成り立っている現在の関係が崩れてクセ強の南とやっていけるのか」と迫り、西野を動揺させた。そして、そうならないために、と北くんのフリをすることを承諾させた。

家にやって来た初江は、北くんとして振る舞う西野に大満足。3人で和気あいあいと過ごしていると、帰ってこないはずの南が帰宅。あれほど東子が否定したのに、北くんとの結婚話を進めるに決まっていると思い込み、見張りに帰ってきたのだった。東子は、とりあえず初江には南を“隣人”として紹介。そして、改めて、結婚するつもりはなく、そもそも北くん本人が居ないので話を進めようもない、とブチギレながら南を説き伏せた。

4人で食卓を囲みながら、初江は東子が楽しく暮らしていることに安心したと語った。父・隆(マギー)と大ゲンカして家で同然で上京したため、心配していたのだ。

隆は典型的な昭和のガンコ親父で、一家の“王様”。モラハラ気質で、東子曰く「自分の言いなりになる娘が欲しいだけ」。東子が焼いたパンも一度も食べてくれず、「おまえの夢なんか一生認めない」という意思表示だと彼女は受け止めている。東子が地元での仕事を辞めて東京のパン屋で働くことにしたときも大反対で、以来、ほとんど口をきいていない。

■「幸せかどうかなんて、本人以外にはわかんないよ

そんな話を東子がしていた頃、隆は釣り堀に居た。初江と共に東子のマンションの最寄り駅まで来たのだが、些細なことでヘソを曲げ、「帰る!」と言って初江と別れてしまったのだった。そこで、偶然北くんと会い、もちろんお互いに「北くん」「東子の父」とは知らないまま、話をしていた。

隆は“娘”の話を北くんにした。成績優秀で、地元の良い会社に就職してちゃんとした男性と結婚して、順風満帆で幸せな人生を送るはずだったのに、突然、東京へ行きたいなどと「バカなこと」を言い出した、と。「挙句の果てには、同棲。ろくでもない男にだまされて、不幸になるに決まってる」と、いちいち否定的な言い方をする隆。

北くんは、正面を向いたまま「幸せかどうかなんて、本人以外には分かんないよ」と、少し鋭さのある口調で言った。表情も、いつものフワフワした北くんではなかった…。

それを聞いた隆は、「そうかもしれないな…」とつぶやいた。きっと娘は幸せなのだ。だが、娘の人生に自分はもう必要ないと認めるのが怖いのだ、と言って嗚咽した。北くんは、そんな隆の背中を黙って優しくさするのだった。

■東子の北くんへの想い

マンションでは、帰り支度を始めた初江に東子が、北くんと居ると幸せなのだと改めて告げた。一緒に居ると、仕事も生活も、今まで何とも思っていなかったことが輝いて見えて、何もかも頑張れるのだと。どこまでも優しくて、みんな北くんを好きになる。「優しすぎて困ることもあるけど、ずっと一緒に居たい」と、思いを打ち明けた。

東子は初江に自分が焼いたパンを渡しながら、小さい頃に食べていた“ぼうしパン”が好きすぎて、パン屋さんへの夢が生まれたのだと南たちに説明した。東子は初江がいつも買ってきてくれたと思っていたが、実は隆が買ってきていた、と聞かされてビックリ。隆はパンが好きではなかったが、好き嫌いが多かったが“ぼうしパン”だけは喜んで食べた東子のために、仕事帰りに遠くの店まで買いに行っていたのだ。

初めて知った事実に胸がいっぱいになる東子。そして、父が居る駅まで行き、焼いたパンを差し出した。だが「要らん」と言って立ち去ろうとする隆。そんな父親の背中に向かって、東子は「お父さんのおかげで、パン屋さんになるって夢が持てた。ありがとう」と告げた。そして、仕事がつらくて何度も夢を諦めようとしたことを語り出した。気力も体力も限界でベンチに座りこんでいたところに北くんが通りがかり、「いい匂い」と言って東子が焼いたパンを食べ始めた。思わず手が触れた時に、ガサガサの彼女の手を「おいしいモノを作る人の手だね」とほほ笑みながら言ってくれて、彼女は「まだ頑張れる」と思えたのだった。

「いつかお父さんに認めてもらいたい」と言う東子からパンを受け取って食べ始め、何度も頷きながら「うまい」と言う隆。そして「たまには、帰って来い」とぶっきらぼうに言って、初江と共に帰っていった。

■父との溝を埋めた東子

両親を見送った東子が家に戻ると、北くんが釣り堀で「優しいおじさん」から貰った“ぼうしパン”をみんなで食べていた。隆は、東子に渡そうと持ってきていたのだ。不器用な父親の愛情が感じられてグッとくる。

東子と隆のやり取りは、SNSでも「泣ける」「ウチの父と重なった」などと感動コメントがあふれていた。父親との長年の溝を埋めることができた東子は、一歩前に進めた。西野も抱えている過去と向き合って、早く前進できることを願う。

◆文=ザテレビジョンドラマ部

娘の“同棲相手”の北くんに会いに、東子(志田)の両親が急遽上京/(C)カンテレ