
日本弁護士連合会(日弁連)は7月10日、障害年金の不支給が増えている問題を受け、障害認定基準等の見直しと公平な制度構築を求める会長声明を発表した。厚生労働省の調査で2024年度の精神障害の非該当割合が前年の約2倍に増加したことを受けた措置で、「不適切な判定がなされていたことが疑われる」と指摘している。
厚生労働省年金局が6月11日に公表した調査報告書によると、2024年度の新規請求のうち非該当割合は13.0%と過去最高水準を記録した。精神障害では2023年度の6.4%から2024年度は12.1%と約2倍に増加し、精神ガイドラインの目安より下位に認定された割合も44.7%から75.3%に増加した。
●「医学モデルに依拠し、障害者の生活実態からかけ離れた障害認定基準」日弁連は声明で、「今回のような恣意的な不支給であると疑われる事象が発生した根本的な要因の一つは、医学モデルに依拠し、障害者の生活実態からかけ離れた障害認定基準にある」と指摘。「本来受給権を有する者の受給権が不当に侵害されている現状を早急に改善するよう」求めている。
日弁連は国に対し、「厚生労働省内に障害認定基準等の様々な課題について検討する専門家検討会等を設置」し、「障害年金の判定の透明性が確保され、支給・不支給が恣意的判断に委ねられることなく、障害年金の受給権が不当に侵害されることのない公平な制度を構築することを強く求める」としている。

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