
花街育ちの薬師・猫猫が、宮中で巻き起こる難事件を次々と解決していく姿を描いたTVアニメ「薬屋のひとりごと」第2期(ABEMA・ディズニープラス・FOD・Hulu・Lemino・TVerほかで配信)が遂に先日最終回を迎えた。第2期からは子翠、翠苓といった新キャラクターも登場するなど、ますます盛り上がりを見せた本作。今回WEBザテレビジョンでは、主人公・猫猫を演じる悠木碧と壬氏を演じる大塚剛央にインタビューを実施し、第2期の振り返りや登壇したイベントについての思い出話を伺った。(以下、本作のネタバレを含みます)
【写真】悠木&大塚も驚き!熱気に包まれたマチ★アソビ「薬屋のひとりごと」ステージ
■「キャストによって話の見え方が違っていた」エピソードも
――先日、第2期最終回が遂に放送されました。アフレコを終えていかがでしたか?
悠木碧(以下、悠木):第1期に比べてキャストも多かったのですが、収録はとても和やかに進んでいきました。最終回では禁軍や子の一族のガヤを皆で賑やかにアフレコしたのも印象に残っています(笑)。猫猫としても、後宮から離れて花街で薬師として過ごす姿が描かれ、「これが猫猫の日常だったな」と懐かしくもホッとした気持ちになりましたね。
大塚剛央(以下、大塚):第1期のときは現場でお会いできなかった方々も含め、第2期ではメインキャスト全員で録り終えることができてうれしかったです。第2期最終回の収録後には、スタッフの方がお花を用意してくださったのですが、それがキャラクターごとにイメージしたお花でとても素敵でした。その後に皆さんで食事に行ったりもして、すごく空気感の良い現場だったなと思います。
悠木:「薬屋のひとりごと」の魅力って、作中にキュンとするような場面がたくさんちりばめられているのにもかかわらず、“2人(猫猫と壬氏)の距離が一切変わらない”ところにあると思うんですよね。「何があってもこの人たちって変わらないでいられるんだ」というのは、第2期の収録を終えてより強く感じました。
――第1期放送時、周囲からの反響がかなりあったとお伺いしています。第2期の放送時はいかがでしたか?
悠木:なんなら第2期の方がよく言われるかも(笑)。ストーリーもより壮大になっていますし、老若男女問わず各所から「面白いね」と声をかけてもらっています。
大塚:第2期でも皆さんの楽しみにしていたシーンがそれぞれあったみたいで、その盛り上がりをとても感じていました。また、僕の家族や友人だけではなく、お仕事をご一緒している方からも作品の話題が出ることがあって、そういうときにより一層「観ていただけているんだな」と実感します。
悠木:わかる(笑)。業界の方から直接お声がけいただくことってなかなかないので、そういったことが起こると「ヒットしているんだ」って思います。
――アフレコ時の印象的なエピソードを教えてください。
悠木:43話「祭り」は猫猫と子翠がお祭りに行くいわゆる“デート回”なので、瀬戸(麻沙美)ちゃんに「デートだね♪」って話しかけたら「最後のデートですね……」と言われたことですかね(笑)。
一同:(驚愕)
悠木:私は猫猫を演じてる身として、「このお祭りは、猫猫が里の文化やそこで暮らしている人たちの温度を感じるもの」という感覚でいたんですけど、子翠にとっては「私が見るこの里の最後の景色だ」ということを思っていて、キャストによって話の見え方が違っていたんだなと感じました。
――確かに。全て録り終えた今だからこそ、そう思えるということですよね。
悠木:そうなんですよ。確かに子翠にとっては結構切ない景色なのか……と思えた瞬間でしたね。もちろん先の展開も知っていたのですが、その視点は衝撃だったのを覚えています。他には、全体的に作品のお話をしながら収録に臨んでいたので、「このシーンは原作を読んでいたときから見たかったよね」といった話で盛り上がることの多いアフレコ現場でした。
大塚:作中に登場する武器・飛発(フェイファ)について羅半が話す場面があるのですが、豊永(利行)さんが読み方をアフレコ前に調べていたら候補の一番上に「ハンドキャノン」って出てきたみたいで。さすがにハンドキャノンではないだろうと現場で正しい読み方を聞いていたのですが、その後のテストで羅漢役の桐本(拓哉)さんに唆されて、無理やりハンドキャノンと尺にねじ込んでいたのが印象に残っています(笑)。
悠木:最高(笑)。
大塚:「きっとやるだろうな」って思っていたんですけど、壬氏のセリフの前でぶち込んでくるとは(笑)。面白かったです。
■第2期では“積み重ねてきた関係性”を感じる展開に
――ここからは第2期のエピソードを振り返りながら進めていければと思います。原作ファンが楽しみにしていた場面として、35〜36話の「滝壺の洞窟」でのシーンが挙げられると思いますが、演じてみていかがでしたか?
悠木:洞窟のシーンって、やや下ネタが組み込まれていると思うんですけど、「薬屋のひとりごと」はそういう話をしても下品にならないんですよ。硬派さを保ちながらも、下ネタをしっかりと描くところにすごく作品らしさを感じていて。それこそ薄着で男女が抱き合っているのにそういう風には見えない、なんなら清潔に描写されているところが素敵だと思いました。
大塚:これまでにもお姫様抱っこやバックハグなどのシーンがありましたが、その積み重ねもあって「これどうなっちゃうの!?」と感じた方が特に多かったのではないかなと思います。印象的なセリフもたくさんあって、視聴者の皆さんがかなり盛り上がってくださったのを感じています。そんななかで、悠木さんが話していた“何があっても変わらない”という2人の関係性が安心しますし、改めてすごく良い距離感だなと思います。壬氏的には耐えられないかもしれないですが…(笑)。
――そして40話「巣食う悪意」からは、猫猫と子翠が森の奥の里へと連れて行かれてしまい、子翠の正体が楼蘭であることも明かされます。ここでは子翠及び楼蘭を演じる瀬戸さんの演じ分けも見どころだと思うのですが、実際に本編を拝見したときの印象は?
悠木:原作を読んでいるときは、子翠と楼蘭をどうやって同一人物だと表現するのか疑問に思っていたのですが、瀬戸ちゃんが楼蘭にキャスティングされた段階で「なるほどな」と思いましたね。瀬戸ちゃんって声質がすごく大人っぽいのですが、喋ってみると本当に天真爛漫な人で。その反面、突然芯をついたことを言ったりするところに子翠らしさがあるんですよね。さらに楼蘭のクールで冷静な一面も持ち合わせているので、作中で正体が明かされたときは、彼女のお芝居をようやく皆と共有できる喜びでいっぱいでした。
大塚:僕は当時アフレコ現場にいなかったのですが、45話「蟇盆」で、猫猫がなんて呼ぶか迷いながらも「子翠」と呼ぶシーンは観た瞬間に「これは現場で聞きたかったな」と思うくらい素敵なお芝居でした。第1期では瀬戸さんの出番は息などのリアクションが中心でしたが、明確に「この人が演じているのではないか?」ということを感じさせずにキャラクターを作り上げていた印象があります。僕自身も、子翠と楼蘭の二役をどのように表現していくのか楽しみにしながら収録に臨んでいました。
――一方、44話「砦」の終盤では、壬氏が本来の身分を明かすことについて決意を固める場面も見受けられました。大塚さんはどのような気持ちで演じましたか?
大塚:自分の身分に対する思いや葛藤については作中で語っているカットもあるのですが、「覚悟を決めるときが来たようだ」というセリフが全てなんじゃないかなと思いながら演じていました。
――46話「禁軍」では遂に猫猫と壬氏が再会を果たします。久々の掛け合いになったかと思われますが、アフレコの際はいかがでしたか?
悠木:逆に“いつも通り”なことが2人にとっては重要なのかなと感じられる場面でした。猫猫は命令1つで首が飛ぶかもしれないド平民で、壬氏は自分の命令1つで誰の首でも飛ばせちゃう高貴な立場。でも、2人でいるときはお互いが“素”でいられるという関係性が表現されているシーンだと思いました。恐らく猫猫自身は「大冒険だった」と思っていますが、壬氏からしてみれば「お前どこ行ってたんだよ」「心配したじゃん!」ってなっている感じが、非常にいつも通りで良いですよね(笑)。
大塚:猫猫があまりにもいつも通りなので、演じている身からしても面白い空気感だなと思っていました。少しやり取りするだけでいつもの空気感がすぐ戻ってくるということに、2人がこれまで積み重ねてきた関係性みたいなものを感じました。
――終盤ではこれまでの伏線が回収されたりと、本編を観ていてこちらもワクワクさせられました。おふたりは台本や映像を観たときにどのような気持ちを抱きましたか?
悠木:内容自体は原作を読んで知っていたのですが、アニメでは作画や音などならではのこだわりが感じられて、毎話想像を遥かに超える映像が上がってくるんですよね。なので、台本を読んだときもワクワクしましたし、いちファンとしても楽しませていただきました。全てのキャラクターに感情移入できるバランスでアニメも制作されていて、スタッフさんたちの技術力に驚かされました。
大塚:僕は終盤あたりの台本を読みながら、原作を少し膨らませた演出が印象的だなと思いました。台本を読むときは、アフレコで流れる映像も一緒にチェックしているのですが、改めて一通り観終わった後には、「本当にこの作品は面白いな」ということをひしひしと感じています。
■徳島で開催された「マチ★アソビ」ステージの思い出話も
――悠木さんは以前の収録の際、「(壬氏に)もっと冷たくしてください」というディレクションを受けたと伺っています。この姿勢は第2期でも変わりなく……といった感じでしょうか?
悠木:そうですね(笑)。私としては少しくらい猫猫も振り向いてくれていいんじゃないか……という気持ちが声に乗ってしまう瞬間があるんですけど、「もっと雑に扱ってください」「情は捨ててください」といったディレクションを度々受けています。流石にこれは残酷では……と感じるときもありますが、この変わらなさが関係性の証だと思うので、心を鬼にして演じています(笑)。
――おふたりは5月に開催された「マチ★アソビ」のステージにも登壇していたと思います。ステージの雰囲気や印象的だったことを教えてください。
悠木:本当に「アニメのファンの方がこんなにいるの!?」と思うくらい街中に人があふれていて驚きました。声優って頻繁にテレビに出ているわけでもないですし、まだまだニッチな存在だと思っているので、徳島中……いや、徳島県外からもたくさんの方々が集まってくださって、アットホームな空間にすごく感動しましたね。ご飯も美味しかったですし、また絶対行きたいです!
大塚:悠木さんと同じく、たくさんの方がいたことが心に残っています。猫猫と壬氏のコスプレをしている方もお見かけして、いろんな方がいろんな形で楽しんでくださっているのがうれしかったです。
――アニメ「薬屋のひとりごと」は続編制作も決定したということで、ファンの方へメッセージをお願いします。
大塚:ここまでアニメを楽しんでくださったことに、感謝の気持ちでいっぱいです。そして、続編の制作が決まったということで、皆さんの応援が本当に励みになっていることを強く感じております。ぜひこれからもご覧いただけたらうれしいです。
悠木:続編決定ということで、変わらず皆さんのそばにいられることを本当にうれしく思っています。今後も末永くお芝居を続けていけたらいいなと思いますし、続編が放送されるまで少しお時間をいただきますが、その間にもイベントやさまざまな企画がたくさんあると思いますので、これからも引き続き応援していただけたらうれしいです。
◆取材・文=渡辺美咲

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