
コミックの映像化や、小説のコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、くらげバンチにて読み切り掲載されている類家海さんが描く『ストロベリークォーツ』をピックアップ。
類家海さんが5月2日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、約1万件の「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、類家海さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
■いちごの髪ゴムをくれた少女との思い出
一人っ子のさやが初めて“悪意”に触れたのは幼稚園の頃。それまで家族に可愛がられ、お母さんとおそろいだと思っていた自慢の髪の毛を「ほうき」と言われたことが最初だった。
悪口を言ってきた子はもちろん、今まで好きだった自分の髪が嫌だと思った自分も、どちらも嫌で仕方がなかった。そんな時、違うクラスのまっすぐな髪の毛の子にトイレで出会い、さやの髪の毛を可愛いと褒めてくれる。さらに、彼女がつけていたいちごの髪ゴムでさやの髪を一つ結びにしてくれるのだった。
成長したさやは、髪をストレートにし、誰にもからかわれることがなくなった。しかし、今の自分でもあの頃のいちごのゴムをくれた子は可愛いと言ってくれるのか、と不安になっていた。
すると、駅でロリータファッションを身にまとった見覚えのある少女とすれ違う。突然記憶によみがえった、いちごの髪ゴムをくれた少女の名前。さやは思い切って彼女を呼び止めるのだった…。
作品を読んだ読者からは、「宝石のようにキラキラした物語だった」「何度読み返しても色褪せない素敵な作品」など、反響の声が多く寄せられている。
■作者・類家海さん「思い出を振り返るように読んで頂けたら嬉しい」
――『ストロベリークォーツ』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
大学の時の「文章」という授業で書いた作文に少し手を加えて漫画にしました。前半はほぼ実体験で、あの子は今どうしているだろうという想像が膨らんだ結果できた作品です。
――本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
ノスタルジックな雰囲気にしたかったので、鉛筆っぽいタッチで描きました。、モヤがかかっているようなふわふわした絵が少しずつハッキリしていきます。思い出を振り返るように読んで頂けたら嬉しいです。
――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
主人公がj初めて人の悪意に触れるシーンが気に入っています。小さい頃感じたことを大人になった今の視点で描けたことがとても面白かったです。気に入っているセリフは「可愛い」です。作品内の過去から現在を通して揺らがず変わらない気持ちを表す言葉です。
――Xの投稿には「出会えたことに感謝」「心の真ん中にまっすぐ突き刺さりました」など、多くのコメントが寄せられていますが、特に印象に残っているコメントがあればお教えください。
特にこれ!というのではないのですが、子供の頃感じた新鮮なときめきを忘れてしまうことに対する悲しさ、寂しさなどに共感している声が多かったです。「みんな同じ思いを抱えて大人になっていくんだな、みんなで素敵な大人になろうね!」という気持ちになったのを覚えています。
――類家さんの別作品『けがわとなかみ』の最終巻が7月に発売されますが、最後に最終巻の見どころと共に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。
幸運なことに、素晴らしい縁に恵まれてここまで描いてこれました。読者の皆様、けがわとなかみに携わってくれたすべての方々に感謝しても仕切れません。1話1話私も成長してこれました。私、きつねとうさぎ、たくさんの動物たちの集大成、見届けて頂ければ幸いです。

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