【元記事をASCII.jpで読む】

 パソコンならでの高解像度高画質でゲームをプレイしたり、ゲームプレイなどを録画配信したり、音楽を楽しんだりといったさまざまな用途に、自分の好みでマシンを組み立てられるPC自作。あれこれ考えながら、パーツを選定するのは楽しいが、ある程度の知識が必要になる。

 そんなパーツ選びは、YouTubeの動画を参考にして構成するのも良いが、パーツショップの店員に勝るものはない。ゲームやクリエイティブ作業といった用途に、LEDで魅せるPC、静かなPCなど、さまざまなPC構成の相談を受け、その場で提案しているからだ。そこで、秋葉原の主要パーツショップ店員におすすめの自作PCの構成(レシピ)を毎月お届けしていこう。

 ”パーツ選びには自信がない”、”最新のパーツ構成で組みたい”、”いまどんな構成が良いのか検討がつかない”などといった人に、是非参考にしてもらいたい。

インテル 200S ブーストで性能アップも狙える!

 人気となっているRyzen X3DシリーズとGeForce RTX 50シリーズの在庫が安定し、徐々に値下がりしている。さらに、Core Ultra 265K/KFの大幅な価格改定、性能と価格のバランスが優秀な6万円前後のミドルクラスビデオカードRadeon RX 9060 XT 16GBの登場と、ゲームやクリエイティブ向けの最新PCを組むのに、ベストなタイミングが到来中だ。

 今回は動画編集をメインにしたクリエイターをターゲットにするとともに、”久々に自作する人&はじめてのPC自作に挑戦する人”に最適な構成を、自作レシピおなじみのTSUKUMOeX. 6階スタッフの紅谷さんに提案してもらったので、紹介していこう。

 本自作レシピのポイントのひとつは、”組み立てやすさ”にある。とはいえ、自分で組むのは自信がない人もいるだろう。そこで、TSUKUMOeX.(ツクモ本店でも実施中)では組み立て代行サービスを行なっている。昨年末から年明けのモンハンワイルズ需要時は、数ヵ月待ちにもなっていた人気のサービスだ。

 熟練スタッフの手による組み立ては、細かなケーブル配線を含めて、秀逸の一言だ。難易度の高いMini-ITX規格かつハイエンドビデオカードを搭載したコンパクトゲーミングや、配線の取り回しが難しいLEDファンを満載したPCでも、自分好みのパーツで構成した自作PCをしっかりと組み上げてくれる。

Core Ultra 7 265Kで組む動画編集PC

 CPUの売れ筋は、ゲーミングシーンはRyzen 7 9800X3DとRyzen 7 9700X、同価格帯のクリエイティブシーンではCore Ultra 7 265Kと、用途で良い感じに分かれているという紅谷さん。

 今回の動画編集をメインにしたクリエイター向けレシピでは、Core Ultra 7 265K/KFをベースにしたインテルLGA1851プラットフォームで構成している。

 CPUは内蔵GPUを搭載しないKFモデルなら5万円を切っているが、紅谷さんはせっかくあるUSB Type-Cポートによる映像出力機能「DisplayPort Alternate Mode(DP Alt Mode)」を活かすために、GPU内蔵のCore Ultra 7 265Kをチョイスしている。

こだわり満載! 動画編集メインのクリエイターは狙い目

 Core Ultra 7 265Kを搭載した紅谷さん推しのクリエイター向けレシピ。Core Ultra 200Sシリーズの新たな機能として注目を集めているのが、ゲーミング性能を向上させる「インテル 200S ブースト」だ。これを利用できるインテルZ890チップセット採用マザーボードに、GeForce RTX 5070 Ti、PCIe5.0×4対応の1GB/秒超えストレージなどを組み合わせている。

※価格は7月7日調べ。店頭価格ならびに在庫を保証するものではありません。

インテル 200Sブーストが使えるZ890マザーボード

 マザーボードは、インテル LGA1851向けのなかでは最上位に位置し、200S K/KFモデルで200Sブースト機能を活用できるインテルZ890チップセット採用モデルからチョイスだ。

 ここで組み合わせたのは、最新スペックや組みやすさを網羅し、3万円台弱の特価が出ているGIGABYTE「Z890 EAGLE WIFI7」を選んでいる。

 最新、最速の無線LAN規格となるWi-Fi 7に、PCIe5.0対応のビデオカード拡張スロットPCIe5.0×4接続に対応するM.2拡張スロットUSB4、2.5ギガビット有線LANポートなど、いま欲しいと感じる機能が搭載されている。

 さらにSSDヒートシンク、SSDをツールレスで着脱できるギミックなど、組み立てやすさも備えるマザーボードとなっている。

 メインメモリーは、高速な6000MHz駆動をサポートするcrucial「crucial PRO DDR5-6000」の64GBモデル(32GB×2枚)になる。容量64GBで動画編集だけでなく、さまざまなクリエイティブな用途に対応できる。

動画編集シーンで効く高速ストレージ

 メインストレージには、主流のPCIe4.0×4を上回る読み出し、書き込み速度を発揮するPCIe5.0×4インターフェース対応NVMe M.2 SSDを組み合わせている。

 1万4000MB/秒台を発揮するPCIe5.0×4最速クラスはコストが大幅アップするが、読み出し速度1万MB/秒台のセカンドクラスなら、2TBで2万円近くも価格を抑えられるという。

 ここでは読み出し速度1万MB/秒、書き込み速度8200MB/秒を発揮し、2TBで2万7000円台となっているKIOXIA「EXCERIA PLUS G4 2TB」を選んでいる。

 PCIe4.0×4 SSDからは、5000~7000円アップするが、ストレージからの読み書き速度が比較的影響する動画編集シーンでは、十分メリットがあるという。

静かに冷やせる360mmラジエーター水冷クーラー

 CPUクーラーは、オーバースペック気味ではあるが、360mmサイズラジエーターを採用した簡易水冷クーラーだ。

 数あるなかから、紅谷さんが選んだのは、LEDギミックを搭載しないシンプルデザインに、高い冷却性能と静音性に手ごろな価格と魅力いっぱいなCORSAIR「NAUTILUS 360 RS」になる。

 アドレサブルRGB搭載モデルとともに、ここ最近の定番簡易水冷クーラーと言えるだろう。

動画編集からAI、ゲームまでひと通りできる

 ビデオカードには、容量16GBのビデオメモリーを備えるNVIDIA GeForce RTX 5070 Tiビデオカードを組み合わせだ。

 ゲームがメインでコストを抑えるなら、Radeon RX 9070 XTという選択肢もあるが、AIを含めたクリエイティブシーンでは、GeForce RTX50シリーズでキマリだ。動画編集系では上位GPUGeForce RTX 5080に迫るパフォーマンスを発揮する。GeForce RTX 5070 Tiは第9世代NVENCエンコーダーを2基搭載しているのもポイントで、AV1形式の動画に対応する「DaVinci Resolve Studio」でも、しっかりとそのパフォーマンスを発揮する。

 そんなGeForce RTX 5070 Tiビデオカードには、PNY「GeForce RTX 5070 Ti Overclocked Triple Fan」を選択している。RTX 5070 Ti搭載ビデオカードの最安クラスに位置しながら、3スロットを占有するトリプルファン大型GPUクーラーを装備し、保証期間も3年間のロング保証。動画の書き出しや、AIでの画像生成など、長時間に渡ってGPUに高負荷が掛かる作業に用いても安心だ。

デザインと組みやすさを備えるAntec定番PCケース

 PCを組み慣れたTSUKUMOeX. 6階スタッフが、組みやすいと推すのがAntecのミドルタワーPCケース「FLUX」になる。

 人気の木材をフロントに配したデザインに、最大9基のファンを搭載でき、標準で5基のファンを備える高エアフロー仕様だ。

 ケース裏面側にファンハブを備え、5基のファン配線済みとなっているほか、ラジエーター取り付け工程が断然ラクになるケーストップのフレームを取り外し可能となっている。

 電源ユニットには、定番と言えるCORSAIR製電源ユニットの「RM850x -2024」を組み合わせている。容量850Wで、詳細なテストが行なわれるCybeneticsのGOLD認証を獲得している。

 Cybeneticsは静音性も7段階で認証しており、「RM850x -2024」は最上位「A++」から数え、3段目のランクとなる「A」を獲得している。そのほか、ファン回転数を背面のダイヤルで調節できる機能や、ケーブルを取り回ししやすいフラットタイプケーブルの採用、安心の10年保証が付属しているのも高評価できるところだ。

【今月の自作PCレシピ】Core Ultraで組む動画編集におすすめの1台!