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快進撃を続けるAMD RyzenシリーズとAMD Radeonシリーズ

 ゲームに、動画編集に、AIワークロードまで──高性能CPUとGPUを武器に、今やインテルに真っ向勝負を挑む存在となったAMD。2024年後半から、秋葉原のPCショップでは「AMD Ryzen™ 9000」シリーズや「AMD Radeon™ RX 9000」シリーズの人気がさらに加速。とくに自作PCユーザーからは「コスパの高さ」と「安定した進化」が高く評価されている。その人気はすさまじく、米国のAmazonベストセラーランキング(CPUの売れ筋ランキング)のTOP10AMD Ryzenシリーズが独占した。日本のCPUの売れ筋ランキングでもTOP10のうち9製品がAMD Ryzenシリーズとなっている(それぞれ2025年6月30日現在)。

 そんな人気のAMD製品を使うには、対応したマザーボードビデオカードが必要ということで、対応製品を取り扱うメーカーにオススメの対応製品を聞いた。第3回は、性能や価格だけでなく、デザインや組み立てやすさまですべてにこだわるMSI編だ。

ゲームパフォーマンスが高く、クリエイティブ用途にも強いAMD製品

 AMD製品の魅力は、ゲームパフォーマンスが高く、クリエイティブ用途にも強いことにある。その代表例といえるのが、デスクトップ向けCPU「AMD Ryzen™ 9 9950X3D プロセッサ」と、デスクトップ向けGPU「AMD Radeon™ RX 9070 XT」だ。どちらもゲーマーから高い人気を得ており、クリエイティブ用途でも高い性能を発揮する。

 「AMD Ryzen™ 9 9950X3D プロセッサ」の魅力のひとつは「AMD 3D V-Cache™ テクノロジ」(以下、3D V-Cache)を備えている点だ。この「3D V-Cache」は、CPUダイの上に高速なキャッシュメモリーダイを実装することで、3次キャッシュ(L3キャッシュ)容量を拡大させるというもの。これにより、CPUが低レイテンシーで大容量のキャッシュにアクセスでき、ゲームのパフォーマンスが向上する。

 GPUの「AMD Radeon™ RX 9070 XT」は、AMDの最新GPUアーキテクチャー「RDNA 4」を基盤としており、Navi 48コアを採用している。さらに、AI処理を担う第2世代AI Accelerator、レイトレーシングユニットの第3世代Ray Acceleratorを備えている。ラスタライズを含む高い描画性能に加えて、AI処理性能やレイトレーシングが強化されたのだ。

 AMDのゲームパフォーマンスの高さを支えている技術としては、AMD独自の超解像アップスケーリング)技術「AMD FidelityFX™ Super Resolution 4」(FSR 4)も見逃せない。AMD FSRはゲーム画面をいったん低い解像度でレンダリングした後、超解像処理してから出力するというもので、最新のAMD FSR 4では複数のフレームを生成でき、その処理にAI Acceleratorを使用するようになった。

 またゲーマーなら、AMDのフレーム生成技術「AFMF 2.1」もぜひチェックしておきたい。AFMF(AMD Fluid Motion Frames)は、ふたつのフレームから中間のフレームを生成しフレームレートを向上させるというもので、なめらかな描画でゲームを楽しめる。

エムエスアイコンピュータージャパン 中島悠太さんに聞く
AMDってこういうところがいいよね!」

――AMD製CPUの魅力やメリット、今の勢いを感じている点を教えてください。

【中島さん】 AMD製品の中でもとくに魅力なのは、ゲームキングとして絶対的な立ち位置を獲得した“X3D”が付く「AMD Ryzen™」シリーズだと思います。「AMD Ryzen™ 9 9950X3D プロセッサ」をはじめ、「AMD Ryzen™ 9000」シリーズの“X3D”ではゲームだけでなくクリエイティブ性能も向上したことで、まったく隙のないCPUになっています。

 また、「AMD Ryzen™ 7 9700X プロセッサ」や「AMD Ryzen™ 5 9600X プロセッサ」といったコストパフォーマンスに優れたメインストリームCPUも充実しており、多くのユーザーの需要をカバーできていると思います。

 個人的に一番注目しているのは、これまでPCを自作してきたユーザーだけでなく自作初心者にまで「ゲームをするならX3D」、「今自作するならAMD Ryzen™」と浸透している点で、数年前では想像もできないほどAMDの勢いが増しているなと感じています。

MSIのオススメ その1
MEG X870E GODLIKE」

 「MEG X870E GODLIKE」は、AMD X870Eチップセットを搭載するAM5対応マザーボードとしては最高峰のモデルで、まさにウルトラハイエンドと呼ぶにふさわしい逸品だ。しかも黒色とガンメタリックで統一したカラーリングのインパクトが強く、MSI製品でおなじみのドラゴンのエンブレムや要所に施されたシルバーのアクセントによって、高級感のあるデザインとなっている。フォームファクターはE-ATXで、3.99インチフルカラーLCDにはリアルタイムハードウェアモニタリング情報や時刻の表示が可能だ。

 機能面でも「MEG X870E GODLIKE」はすばらしい。AMD Ryzen 9000シリーズやAMD RadeonシリーズといったCPU/GPUの高いパフォーマンスを活かしきる強力な電源供給回路(24+2+1フェーズ。110A SPS)を採用している。このため、オーバークロック時や高い負荷が続いた状態でも電力不足に陥ることは考えにくい。

 ビデオカード用にはGen5規格のPCI Express x16スロット×2基を搭載しており、マルチGPU環境を構築できるほか、後述の拡張カード「M.2 XPANDER-Z SLIDER GEN5」を差すこともできる。キャプチャカードなどを差せるPCI Express 4.0 x4スロットも1基採用している。

 ストレージについては、Gen5対応M.2スロット×2基、Gen4対応M.2スロット×3基の計5基をマザーボード上に配置するほか、「M.2 XPANDER-Z SLIDER GEN5」を使いGen5対応のM.2 NVMe SSDを2基増設できるため、「MEG X870E GODLIKE」全体では計7基のSSDを扱えるわけだ。

 また冷却設計は、これら機能をオーバークロック時やマルチGPU環境下でも安定動作させるため非常に力を入れたものとなっている。サーバーグレードの2オンス厚銅層を用いた多層構造の基板設計で熱を分散・冷却し、曲線やうねりを加えた波状(ウェーブ)のアルミニウム製フィン「ウェーブフィン」によるCPU部とVRM部の大型ヒートシンク、銅製のクロスヒートパイプ、マザーボード裏面の銅製バックプレートを採用することで冷却効率を向上させている。またM.2スロット用に簡単に取り外しできるShield Frozr IIヒートシンクも搭載しており、マザーボード全体をくまなく冷却できる。

 ネットワーク面は、有線LANとして10GbE×1/5GbE×1の計2ポート、フル機能のWi-Fi 7(320MHz)搭載と大充実の上、Bluetooth 5.4もサポートしている。インターフェースとして背面にUSB4(映像出力対応。Thunderbolt互換)×2、USB 3.2 Gen2x2 Type-C、USB 3.2 Gen2 Type-Cを搭載するほか、USB Type-Aを8基搭載。また最大60Wの電力供給が可能なフロントパネルUSB 3.2 Gen2x2 Type-Cヘッダーを1基搭載している。

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MSIのオススメ その2
「MAG X870E TOMAHAWK WIFI」

 「MAG X870E TOMAHAWK WIFI」は、AMD X870Eチップセット採用のAM5対応マザーボードだ。基板全体のカラーをマットブラックで統一した上で、ライムグリーンのアクセントとしてTOMAHAWKロゴ、MAGロゴが映えるよう配置しており、「TOMAHAWKの伝統」につらなる高級感と堅牢感、質実剛健さを感じさせる。マザーボードに限らず、MSIは同様に洗練かつ独特なデザインを採用した製品が多く、その魅力にひかれるファンは多いはずだ。

 機能面もTOMAHAWKシリーズならではといえる充実ぶりで、MSIの技術力をふんだんに盛り込んでいる。オーバークロック時も安定した電力供給が可能な電源回路(14+2+1フェーズ)を採用しつつ、冷却機構として大型ヒートシンク、M.2スロット用のM.2 Shield Frozrを利用できるため、発熱の多い構成でも最高のパフォーマンスを維持しつつ長時間安心して運用できる。

 ビデオカード用にはGen5規格のPCI Express x16スロットを1基搭載。またGen5対応M.2スロット×2基、Gen4対応M.2スロット×2基の計4基となっており、ストレージ構成も柔軟に組める設計となっている。

 ネットワーク機能は5GbE LAN、フル機能のWi-Fi 7(320MHz)に対応し、最新世代の高速通信環境にも対応しやすい。Bluetooth 5.4も対応。背面インターフェースにはHDMI 2.1×1、USB4(映像出力対応。Thunderbolt互換)×2、USB 3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen2 Type-A×2、USB 3.2 Gen1 Type-A×3を採用。最大27Wの電力供給が可能なフロントパネルUSB 3.2 Gen2x2 Type-Cヘッダーを1基搭載している。

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MSIのオススメ その3
 「B850M GAMING PLUS WIFI」

 「B850M GAMING PLUS WIFI」は、基板からヒートシンクまで白銀カラーでまとめており、白色PCを自作したい人に最適なAM5対応マザーボードだ。クリーンなホワイト基調の中に、明るいグレー系のドラゴンのエンブレムやGAMING PLUSロゴ、エメラルドグリーンのラインをアクセントとして加えることで涼しげな印象を強めており、他とはひと味違う白色PCがほしい人は要チェックといえる。フォームファクターがマイクロATXのため、小型PCを組みたい人も狙い目だ。

 また、初めて自作PCを組む人でも挑戦しやすいよう、手間や作業ミスをなくすEZ DIY設計を採用している点にも注目してほしい。工具不要でワンタッチ操作の「EZ M.2 Shield Frozr II」「EZ‑Clip II」をはじめ、あらかじめ背面パネルを装着済みの「プリインストールIOシールド」、手軽にアンテナを設置・調整できる「EZ Wi-Fiアンテナ」など、MSIらしい初心者向けのこだわりも追求している。

 「B850M GAMING PLUS WIFI」は性能とコストパフォーマンスのバランスが取れたゲーミングエントリーモデルとなっており、AMD B850チップセットを採用し、ビデオカード用にGen5規格のPCI Express x16スロットを1基搭載。Gen5対応M.2スロット×1、Gen4対応M.2スロット×1を備え、最大2基のSSD構成が可能だ。

 ネットワーク機能は5 GbE LAN、フル機能のWi-Fi 7(320MHz)に対応し、Bluetooth 5.4も利用できる。背面インターフェースにはHDMI 2.1×1、DisplayPort 1.4×1、USB 3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen2 Type-A×1、USB 3.2 Gen1 Type-A×1などを採用。最大27Wの電力供給が可能なフロントパネルUSB 3.2 Gen2x2 Type-Cヘッダーを1基搭載している。

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MSIは、性能や品質、さらにデザインや組み立てやすさとすべてにこだわる製品が魅力

 ドラゴンのエンブレムで知られるMSIは、性能や品質だけでなく、デザインや組み立てやすさまでこだわり、初心者から上級者まで幅広い人に満足感の高い製品を提供するメーカーだ。マザーボードでは、ユーザーが予算や目的に応じて選びやすいように、最上位のフラッグシップモデル「MEG」、華やかさも特徴のゲーマー向けモデル「MPG」、シックで質実剛健なミッドレンジモデル「MAG」などを展開している。

 MSIでは、独自のゲーミング技術を積極的に開発するとともに、強力な電源回路と冷却機能の設計に力を入れ、大型ヒートシンクや高性能ファンなども惜しみなく投入している。CPUやGPUの性能を引き出しつつ安定して運用できるため、ゲーマーやクリエイターを問わず魅力的なマザーボードが多い。「MAG X870E TOMAHAWK WIFI」のように性能とコストパフォーマンスのバランスが取れたモデルも用意されており、基本性能の高さと耐久性を重視する人に定番として評価されている。  

 デザインの点ではゲーマー向けモデル「MPG」、ホワイトカラーの「B850M GAMING PLUS WIFI」が際立っている。MSI製のビデオカードPCケース、CPUクーラー、液冷ユニットなどとデザインや演出の一体感を高めているため、優れたビジュアルを求める人からの支持を集めている。見た目にこだわった「魅せる」ゲーミングPCを自作するなら、MSIの製品で統一することもぜひ検討してほしいところだ。

 また、システム全体のRGB演出や冷却制御を一括管理できる「MSI Center」「Mystic Light」も提供されており、ファン制御、電源管理、RGB同期、オーバークロックといったあらゆる設定について、初心者から上級者まで手軽かつ統合的に行えるため便利だ。

 EZ DIY設計による組み立てやすさでも広く支持されており、「B850M GAMING PLUS WIFI」で触れた工具不要の「EZ M.2 Shield Frozr II」「EZ‑Clip II」は初心者・上級者を問わず快適に感じるはずだ。小さなネジを紛失してしまったり、パーツの押し込みの失敗などをなくせるため、安心して自作PCに取り組める。ぜひMSIマザーボードを使った自作PCに挑戦してほしい。

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