
日々の食費を切り詰め、レシートとにらめっこ……。そんな涙ぐましい節約をしているのに、なぜかお金が貯まらない。一体なぜでしょうか? 家計を崩壊させる本当の原因は、毎日の小さな出費ではなく……。本記事では、伊達有希子氏の著書『夫婦と子ども2人、世帯年収650万円。どうしたら家が買えますか?:マンガでわかる!一生お金に困らないライフプランのつくり方』(大和出版)より、簡単なステップで黒字化させるプロの家計管理術を伝授します。
「節約しているつもりなのに…」
「節約しているつもり」「贅沢はしていない」と思っていても、家計が崩れる……という世帯年収1,000万円の夫婦の場合、日々の食費などは節約を意識して、贅沢はしていないのですが、それ以外の出費が大きいのです。
「それ以外」とは、具体的にいうと「ボーナスで大きなお買い物をする」「買い物の単価が高い」「自分へのご褒美が頻繁」などを指します。年収1,000万円あって日々を倹ましく暮らしていても、ボーナスのたびにドーンと車や最新家電、ジュエリーなどを購入していたら家計は崩れてしまいます。
ボーナス(賞与)というのは毎月の収入とは別に入る収入ですね。夏・冬2回、もしくは年1回という方が多いと思います。毎月の支出ではない買い物は「特別支出」に該当します。ボーナスのたびに、この特別支出を無計画に繰り返していると、家計は回らなくなります。
そこで、改善ポイントをお伝えしますね。
まずは、年始もしくは年度初めに昨年の「特別支出」を洗い出す
特別支出とは、毎月の支出ではないけれど、年に1~2回などかかるお金のことです。固定資産税や自動車税など、年間でまとめて払う税金、年間でまとめて払う生命保険料、冠婚葬祭にかかる費用、家族の誕生日の費用、家電の買い替え費用などがこれに該当します。これらが昨年、いつの時期にどのくらいかかっていたかをまず把握しておきましょう。ちなみに特別支出を洗い出すタイミングは、年始や年度初めがベストです。
また、生命保険は月払いより年払いにすると保険料が少し割引になりますので、年払いを選択されている方も多くいらっしゃいます。その場合は、毎月に換算するといくらになっているのかを把握しておくといいでしょう。外貨建ての保険の場合は、円で支払う年払い保険料も為替レートで変わっています。契約時と大きく違う場合は継続したほうがいい保障か、保険自体の見直しも必要かもしれません。
お金と向き合うことから逃げない
昨年の特別支出の合計金額を算出できたら、それを予算の土台にします。さらに、今年予定されている入学式や両親の還暦祝いなどのライフイベントにかかる費用をプラスし、1年~5年間の特別支出の概算額を把握しましょう。
金額がわかったら、2人の収入から毎月どのくらい準備したらいいかを割り出します。そして特別支出用の口座を準備し、2人の収入が入ったら特別支出用の貯蓄をしていけば、普段、節制して暮らしているのに家計が回らなくなるということはなくなるはずです。
2つのケーススタディのどちらも原因がわかってしまえばすぐに改善できるものです。でもお金と向き合うことから逃げ、いつまでも面倒がって家計管理を先送りにすると、漠然とした不安をずっと抱えることになります。何事も少しずつできることから取り組んでみましょう。
また支出の1つ1つを節約することに注力するのではなく、未来に向けての貯蓄を「先取り」して順調に資産を増やす「しくみ」をつくってくださいね。そうすれば、ただでさえ子育てで忙しい毎日の終わりに、レシートとにらめっこしながら家計簿をつけるという作業をしなくてもお金は自然に貯められると思います。
伊達 有希子
フィナンシャル・プランナー

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