
この記事をまとめると
■日本では近年大規模災害が頻発している
■消防車の分野で日本トップのシェアを誇るモリタがバギー型の消防車を開発
どんな場所でも走れる消防車
2025年7月5日に大津波、大地震がやって来るという予言めいた都市伝説に踊らされた人もいるかもしれない。ウワサの大元になった話では『7月に大災難がやってくる』といったもので、けっして天災と限定しているわけではないようだが、何らかの災害を意識しておくことは重要だろう。
地震や噴火のニュースは日常的になっているし、日本中のどこで起こっても不思議ではない。事実、温暖化の影響なのか、ゲリラ豪雨と呼ばれる突発的な大雨による浸水被害も珍しくなくなっている。
そして、地震や台風といった災害時には、地面が大きく変形してしまったり、土砂災害に見舞われてしまったりすることがある。そうした状況では、一般的な消防車では現場への進入が困難となってしまう。
消防車の架装メーカーとして、日本でトップシェアを誇るモリタが、そうした交通網が麻痺した状態でも現場に駆け付けられる抜群の走破性を持つ消防車をラインアップしていることをご存じだろうか。
それが「Red Ladybug」だ。
四輪車が入れないような悪路に進入するためにオフロードバイクをベースにした消防バイクが存在している。しかし消防バイクには積載量が圧倒的に少ないというウィークポイントがある。
全長3.5mの「Red Ladybug」はオフロードバイクの走破性と、軽トラの積載性を併せもつ、新しいジャンルの消防車として開発されている。「突発災害現場」へ自走で進入することが期待できる“オフロード消防車”なのだ。
まるでSFの世界からやってきたような1台
注目したいのは、さまざまなニーズに応えるべく、多彩なアタッチメントが用意されていることだ。
基本的にはオフロードタイヤを履いているが、クローラーに交換することで深い雪をものともせずに走破することもできるという。また、後部ボディユニットは入れ替え可能な設計となり、消火装置・救助資機材・情報通信機材など各種機材を容易に入れ替えできる。
クローラーでの走破性、ボディユニットの入れ替えといった言葉からは、国際救助隊をテーマにしたSF『サンダーバード』を思い浮かべるかもしれない。モリタ「Red Ladybug」は、まさしくリアル“サンダーバード”といいたくなるスーパーメカなのだ。
そんな「Red Ladybug」のベースとなっているのは、カワサキのオフロード四駆「MULE」だ。主に北米の農場などで使われているオフロード四駆で、「Multi-Use Light Equipment」に由来する名前のとおり、優れた実用性と発展性をもつマシンだ。
日本で公道走行をするには大型特殊車両としてナンバーを取る必要があるため、ドライバーの資格としては制限されるが、軽自動車とは異なり、フロントに3人がけで座ることができるのはメリットだ。
筆者は、「Red Ladybug」のベースであるカワサキMULEに試乗した経験もあるが、まさしく質実剛健といえる乗り味でタフネスの塊、完璧な道具という印象だった。四輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションが生み出すストローク感は軽トラとは別次元であり、道なき道を突き進むことができるのは間違いない。突発的な災害現場へ向かうオフロード消防車のベースとしては最適なマシンだと、あらためて思う。
「Red Ladybug」が活躍するような災害が起きない、平安が続くことに越したことはない。それでも、「転ばぬ先の杖」として、こうしたオフロード消防車が世のなかに存在しているという安心感があるのもまた事実だろう。

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