
ポルシェ911の新型4WDモデルが予約開始
ポルシェジャパンは全国の正規販売店で、2025年7月2日より新型「911カレラ4S」「911カレラ4Sカブリオレ」「911タルガ4S」の予約受注を開始しました。これにより、911シリーズの4WDモデルは全6モデルとなりました。911カレラ4Sはクーペ・カブリオレ、911タルガ4Sは4WD専用ボディを採用し、いずれもパワートレインの大幅刷新により走行性能を向上させています。
480馬力の新型水平対向6気筒ツインターボ搭載
ポルシェジャパンは2025年7月2日より、「911カレラ4S」「911カレラ4Sカブリオレ」「911タルガ4S」の新型3モデルの予約受注を全国の正規販売店で開始した。911シリーズの全輪駆動(4WD)モデルは合計6種類となり、なかでも「911タルガ4S」は、誕生から60周年を迎えた伝統のボディスタイルであり、長年にわたり多くのファンに愛され続けてきた特別なモデルである。
この新型モデル群は、ポルシェが長年にわたり培ってきた4WD技術と最新のエンジニアリングの結晶ともいえる進化を遂げた。いずれも3L水平対向6気筒ツインターボエンジンが搭載され、911ターボ譲りのインタークーラーシステムを最適化することで最高出力は先代比で30psアップの480psを実現。また、8速PDKトランスミッションにより、トルクをロスなく4輪に伝える。
911カレラ4Sクーペでは、スポーツクロノパッケージを装着した場合、0-100km/h加速はわずか3.3秒、最高速度は308km/hに達する。ポルシェらしいダイナミズムを4WDでも損なうことなく、高速走行でも高い安定感を持続しているのが特徴である。
911らしさを支える数々の最新技術を装備
走行性能を支えるもうひとつの柱が、ポルシェトラクションマネジメント(PTM)システムである。後輪駆動をベースとしたドライビングフィールを維持しつつ、必要に応じて前輪にもトルクを配分するこのシステムは、911のスポーツ性と安全性を両立させる重要な要素である。クラッチアッセンブリーは水冷式で、電気機械制御により緻密なトルクコントロールを実現しており、ギア比にもわずかに調整が加えられている。
装備面でも今回の911シリーズは大きく進化した。20/21インチのスタッガードフィットカレラSホイールや、ポルシェトルクベクタリングプラス(PTV+)、スポーツエグゾーストシステムなどを標準装備。ブレーキはGTSモデルから受け継いだ高性能仕様で、フロント408mm、リア380mmの大径ディスクと、レッドのブレーキキャリパーが組み合わされている。とくに911タルガ4Sには、リアホイールステアリングが標準で備わっており、狭い街中での小まわり性能と高速域での安定性の両立に寄与している。
インテリアには、標準でレザーパッケージが装備され、上質な仕立てとなっている。快適装備としては、マトリックスLEDヘッドライト、電動格納式エクステリアミラー(ミラーサラウンド照明付き)、ライトデザインパッケージ、レインセンサー内蔵自動防眩ミラー、そしてワイヤレススマートフォン充電機能も標準化されている。運転支援装備では、レーンデパーチャーウォーニングも搭載され、安全性にも配慮がなされている。
911カレラ4Sクーペは標準で2シーター仕様だが、無償でリアシート付き仕様に変更が可能である。一方、カブリオレとタルガ4Sにはリアシートが標準で装備され、実用性を高めている。
誕生60周年を迎えた伝統モデル「タルガ4S」
そして、911タルガ4Sは2025年に誕生60周年を迎える。1965年に「セーフティーカブリオレ」としてIAAでデビューしたタルガは、ポルシェが米国市場におけるコンバーチブルの安全性への懸念に対応する形で開発されたモデルである。モータースポーツをヒントにしたワイドなロールバー、取り外し可能なルーフ、折りたたみ式のリアウインドウといった革新的な構造が評価された。「タルガ」という名称はイタリア・シチリア島の伝統的な公道耐久レース「タルガ・フローリオ」にちなんで名付けられたものである。
その後、1993年にはルーフの手動操作が不要な993型が登場し、2006年以降のタルガはすべて4WDモデルのみに設定されている。現行モデルでは、19秒で自動開閉可能な全自動ルーフシステムを備え、ガラス製のリアウインドウとともにスタイリッシュな変形機構を実現している。ロールバーと包み込むようなリアウインドウは、初代タルガの意匠を色濃く残しており、最新技術と伝統美を兼ね備えた唯一無二の存在感を放っている。
ルーフのカラーリングはブラック、ブルー、レッド、ブラウンの4色から選ぶことができ、個性を表現する上でも幅広いバリエーションが用意されている。また、音響システムや運転支援機能、素材の選択肢といったオプションの充実ぶりも、ユーザーのこだわりを満たすポイントとなっている。
今回発表された各モデルの価格は以下の通りである。
911カレラ4S:2352万円
911カレラ4Sカブリオレ:2606万円
911タルガ4S:2633万円
いずれのモデルも右/左ハンドルの選択が可能ある。
AMWのミカタ
ポルシェが911シリーズで4WDモデルを強化する背景には、近年の顧客ニーズの変化がある。実際に、911のSモデルを購入する顧客の約半数が4WDを選んでいるというデータもあり、全天候下での高いトラクションと操縦安定性を重視する声が多くなっていることの証であろう。とくに日本のように地域によって気候差が大きい市場では、4WDの利便性は計り知れない。
しかし4Sは安全面だけで選ばれているわけではない。PTMは「必要なときだけ前輪に駆動力を配分」する制御システムであるが、たとえばコーナー脱出時に前輪に駆動を配分することによってオーバーステアを抑制し、路面のグリップ力が高まることによって加速性能を高める効果がある。カレラSとカレラ4Sでは45kgの重量差があるが、0−100km/h加速では2駆モデルと同じ3.5秒のパフォーマンスを実現している。
標準のカレラSに対して4Sは113万円ほど高くなるが、最新技術によって守られる安心感と、妥協のないスポーツ性能を鑑みればこの値差は納得できるものなのではないだろうか。
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