
一冊の新書が、ネット上で波紋を広げることとなった。本のタイトルは、『禁断の京都カースト ー京都人があんまり言いたくないヒミツの話ー』。編集部のHPによると、これは京都内の居住地によって互いの優劣をつけ合う「京都カースト」という、タブーに踏み込んだ書籍だ。
【映像】「喧嘩売ってんの?」出身地をいじられ激怒するアレン様(実際の映像)
11行政区にゆかりのある京都人が「京都カースト」への想いや、それぞれの区の魅力を語っているそうだが、発売を前にネットには「人権意識の弱まりを象徴するような本」「差別を助長させたいのか?」「いくらなんでもセンシティブだよなあ」と批判が噴出した。これに編集部は「差別を助長するものではない」と否定。さらに、本のタイトルを『京都カーストは本当に存在するのか』に改訂することとなった。
「カースト」と表現したことが問題となったが、例えば、京都の人は「裏がある」や沖縄の人は「時間にルーズ」など、地域のイメージで人を判断する「地域レッテル」はよく聞く。そうした地域イメージでラベリングすることの是非を『ABEMA Prime』で考えた。
■「腹は立たないが、何回も言われたら飽きる」

青森出身、大学4年生の藤崎さんは、「毎日リンゴ食べてるの?」「青森ってスタバないんでしょ?」などのレッテル貼りをされた経験があり、「腹は立たないが、何回も言われたら、飽きる」と語る。
実際に藤崎さんは、都内の大学に通う大学生112人に「地方出身をからかわれたことがあるか?」を調査したことがあり、「ある」42%、「ない」58%だった。「ある」と答えた人は、「話題になって嬉しい」53%、「いい気持ちではない」9%、「何も感じていない」34%。(慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所など)
「全体的に西日本の方が嫌と思ってる人が多かった。東日本の方は、東京の大学近辺で調査したのもあって、そんな嫌な思いしていなかったという傾向はあった」(藤崎さん)
この結果に、関西出身、ジャーナリストの堀潤は、「小学生のときに関東に転校したことがあって、『なんか面白いこと言えよ』と言われて、『なんでやねん』って言ったら、『なんでやねん君』と呼ばれて、本当に悔しかった。関西人全員が面白いと思ったら大間違いだ。特に東京から言われると、ちょっと腹立たしい」と共感した。
■地方のレッテル貼りは偏見?

地方のレッテル貼りには、「東北は無口・辛抱強い」「京都は腹黒い・陰湿」「大阪は笑いに厳しい・ケチ」「九州は男尊女卑」「沖縄は時間にルーズ」などが挙げられる。
長崎出身のグラビアアイドル、麻倉瑞季は、「『さす九』ってめちゃくちゃ言われるが、うちはパパが最高すぎて、あまり実感したことがない。母が完全に父を尻に敷いてるので、そういうことが起こってない。家事を全部やって、給料を全部母にあげる父で、周りにもそういう家庭が多かった」と振り返る。
全国の県民性を研究するディグラム・ラボ代表の木原誠太郎氏は、「俗に言う九州男児と呼ばれてる文化と、福岡や長崎、大分は女性が強いという風に、率としては言われている。結果、西の方は気性が荒いのはもちろんあると思う。言いたいことは言うが、場の空気を乱されたり、いじられるのが嫌い」と説明。
レッテル貼りをされたことがある藤崎さんは、青森出身で「いい面がたくさんあった」と語る。「青森の人はそんなにいないので、自分の1つのアイデンティティ。私の知り合いで、高知の後輩がいて、最近、『ES(エントリーシート)見てください』とお願いされて見るが、高知は語るものがない。でも青森は語るものがあるから、よかったなと」。
これに対し、高知出身で「大物マダムタレント」のアレン様は、「この人、喧嘩売ってんの?」と言いつつ、「高知は四国の中でもいちばん田舎扱いされるが、(地域のレッテル貼りは)フランクな話題として、すごい楽しいものになるんじゃないかと正直思う」とコメント。
地域のレッテル貼りについて、木原氏は「適度に最初のドアノック、アイスブレイクで使う分にはいい」。研究者の山内萌氏は、「どこかの土地に何か特徴がある。それを知りたいと思うことと、差別は突き詰めると地続きにある。人を傷つけるような使い方をしないところで、興味関心をとどめておく意味ではいいんじゃないか」との見方を示した。
(『ABEMA Prime』より)

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