
この記事をまとめると
■ジープ初となるマイルドハイブリッド搭載モデル「レネゲード e-HYBRID」が登場した
■ターボエンジンとモーターの組み合わせで街乗りからちょっとした悪路まで快適に走れた
ジープ初となるマイルドハイブリッドSUVの魅力に迫る
ジープといえばアメリカンクロスカントリーの象徴であり、世界中で根強い人気を誇る。そのなかでも「レネゲード」は、ジープブランド伝統のタフネスさや丸型ヘッドライトなど、個性的なデザインとコンパクトボディが現代のライフスタイルに見事にマッチし、2015年からの累計販売は2万7000台を超える。幅広い世代に支持されているのも特徴だ。
そして今回、新たにジープ初の48Vマイルドハイブリッドモデル「レネゲード e-HYBRID」がラインアップに加わった。伝統的な4WDイメージを持つジープが、電動化の波にどう向き合い、どんな新しい体験をもたらすのか。その答えを確かめるべく、最新のレネゲード e-HYBRIDに試乗したのでお伝えしよう。
レネゲード e-HYBRIDのエクステリアは、ジープ伝統のフロントグリルや角張ったボディラインに大きな変更はなく、フロントグリルやサイドミラー、ドアハンドルなどの一部パーツがブラック化されている。
インテリアは、第5世代の10.1インチタッチパネルモニターを採用したことで、さまざまなレイアウトを表示できる大画面により操作性と視認性が格段に向上している。従来のダッシュパネルデザインを踏襲しつつ、大型タブレットを組み合わせたデザインは違和感がなく、うまく溶け込んでいる印象だ。
ただし、ドライバーのシートポジションによっては左リヤクォーターガラスがモニターに反射して見えることがあり、環境によってはやや見づらいときもあるだろう。
ステアリングホイールには新しいスイッチデザインが採用され、従来は左右の十字スイッチの下に配置されていたアダプティブクルーズコントロールなどの操作系が、十字キー内側へ移動。親指を自然に伸ばした位置にスイッチがあるため、操作性が大幅に向上している。これはいい改良ポイントだと感じた。
一方で、少し残念なのは、ACCの制御がアップデートされておらず、時速30km以下では使えない点だ。渋滞時に30km/hを下まわると警告音とともにACCが解除されてしまう。このあたりは将来のアップデートに期待したい。
ジープらしい走りと電動化の療法を楽しめる
そして、最大のハイライトとなるのが、48Vマイルドハイブリッドシステムだ。
新開発の1.5リッター直噴ターボエンジンは最高出力131馬力、最大トルクは240Nmとなるのだが、最大トルクを1500回転で発生するため、日常生活での実用性は十分。そのエンジンに7速デュアルクラッチトランスミッション(7速DCT)が組み合わさることで、軽快な走りを生み出している。
ポイントになるのが、48Vマイルドハイブリッド用のモーターが7速DCTに組み込まれているところだ。最大出力15kW(20馬力)/55Nm、定格出力8kW(11馬力)のモーターがエンジンの有無にかかわらずアシストできるため、モーターのみでの走行も可能。その恩恵で燃費はWLTCモードで17.7km/Lを実現している。ただし、モーターだけで何kmも走れるわけではなく、回生ブレーキで貯めた電力に依存し、体感的には数百メートル程度だろう。走り出しや低回転時のアシストとして活躍する、と捉えておくほうが正解だ。
メーカー発表では時速約20kmまでモーター走行が可能とされているが、バッテリー残量が十分にあり、エアコンを弱めに設定すれば35km/hほどまでモーターで加速することもできた。さらに、高速走行中でもあまりパワーを必要としないシーンではエンジンがカットオフされ、モーター走行が可能だった。ただし、速度を保つレベルにとどまり、加速時にはエンジンが始動することを覚えておきたい。
バッテリー残量はメーター左下にゲージ表示され、ハイブリッドシステムの作動状況はメインタッチパネルでも確認可能だ。パーキングブレーキ横の「e Auto off」スイッチを押すことで、完全なモーター走行を抑制し、早朝や深夜の入出庫時に合わせてバッテリーを充電させることもできる。
ジープらしく、ちょっとしたオフロードシーンでも走らせてみた。砂利道や勾配ではモーターの初動の力強さとリニアさが楽しく、突き上げ感も少なく非常に乗り心地がいい。車高も十分だが、あくまでFFであることを忘れずに、過信しすぎないことが大切だ。家族や友人とちょっとしたキャンプに行くなら十分なパフォーマンスを発揮してくれるだろう。
レネゲード e-HYBRIDは、伝統と進化が見事に融合したコンパクトSUVだ。ジープらしいデザインに、DCTに組み込まれたハイブリッドシステムが環境性能と日常性を高め、都市でもアウトドアでも使い勝手のいい一台に仕上がっている。走り出しのスムースさや高速道路での静粛性の高さも好印象で、新たなジープの魅力を体験できる一台だ。ぜひ新時代のジープを体験してみてほしい。

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