●個人株主数が過去最多に

 東京証券取引所など全国の4証券取引所が発表した2024年度の個人株主数が、延べ人数で前年度比924万人増の8359万人となり、過去最多を更新した。

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 2024年1月から開始した新NISA(少額投資非課税制度)の影響が大きいと見られる。

 保振(証券保管振替機構)の調査では、2024年6月末で個人株主の49.5%を60歳以上が占めているが、2014年3月の54.1%からは減少していることから、20~50代の投資家が増えている。

 個人株主数は、1人の名義で5銘柄の株を持っていると5人でカウントされるが、同じ名義の人をまとめた株主数(名寄せ人数)も2024年度は前年度から74万人増えて、1,599万人であることから、投資を始める人そのものが増えている。

 若い世代を中心に貯蓄から投資の流れが順調に進んでいるのだろうか?

●投資先は?

 個人株主数の増加は、11年連続となる。アベノミクスからの流れが続いている。

 個人保有比率が高い業種はJAL日本航空)やANA(全日空)などの空運業や証券・商品先物業だ。株主優待制度や高い配当金などが好まれていると考えられる。

 買いやすさも重要視されているようで、株式分割を実施した会社が大幅に増加しており、ソフトバンクセブン&アイ・ホールディングスなどが人気だった。

●伸びは鈍化傾向も?

 日本証券業協会の月次調査では、口座開設数は増加傾向ではあるが、その伸びは鈍化傾向にある。全体の株式保有金額は前年度比6.0%減となっている。

 3月末のトランプ関税による株価下落が原因と見られており、下落が原因で株式投資への熱が冷めてしまった可能性も否定できない。

 個人株主が増加しても、外国法人の保有比率は32.4%で過去最多となり、事業法人は過去最低となったものの、まだ18.7%もある。

 個人の保有比率は17.3%に過ぎず、個人保有比率が3割を占めると言われている米国から比べると、まだまだ乖離があり、伸びしろがある。

 金融庁が検討している高齢者向けNISAや未成年のNISA利用などが実現すれば、個人株主数はさらに増えることが期待される。

 ただ急激な個人株主数増加は投資ではなく、複数の株式を短期売買する投機が増えていることを示すことも考えられ、手放しでは喜べないかもしれない。

個人株主数が過去最多に、その意味することとは?