
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回は(2025年7月5日~7月11日)、高成長を遂げるITシステムのAIOps/運用自動化市場、ランサムウェア被害企業の「身代金支払い」の実情、国内製造業におけるSBOM(ソフトウェア部品表)の理解度や導入率、動画配信アプリの利用実態についてのデータを紹介します。
AIOps/運用自動化の国内市場予測。2024年度は前年度比19.8%増(86億4800万円)、続く2025年度も同18.9%増と高い成長を見込む。大規模化/複雑化するシステムの運用負荷増大が課題となる中、「運用効率化」と「トラブル予防」のニーズが市場成長を牽引する。中でも「AI活用異常検知」などの分野で成長率が高い。提供形態別では、SaaSが高い成長率を示しており、2025年度にはパッケージを上回ると予測している。
⇒ ITRのアナリストによると、AIOpsは、システム運用の現場がこれまで抱えてきた「業務負担の増加、運用コストの増加、運用プロセスの属人化という“三重苦”」を根本的に解決するソリューションとして導入が拡大しているとのこと。AIに強く期待する背景は、ほかの業務領域とも変わらないですね。
17か国のITセキュリティリーダー3400人を調査対象とした「ランサムウェアの現状レポート2025年版」より。ランサムウェア被害を受けた企業の約50%が身代金支払いを選択し、これは過去6年間の調査で2番目に高い割合。ただし、身代金支払額の中央値は、前年の半分の「100万ドル(約1.5億円)」と大きく減った。さらに、身代金を支払った企業でも、53%は「要求額より少ない支払額」に抑えており、その71%が自社または第三者機関による「減額交渉」を実施していた。また、侵入した攻撃者がデータ暗号化を実行する前に攻撃を検知し、阻止した企業は44%と、過去6年間で最高の割合となった。
⇒ 「もはやランサムウェア攻撃は回避できない」と言われていますが、身代金支払額の減額、被害発生阻止など、今回の調査からは「企業がランサムウェアの影響を最小限に抑えることに成功しつつある」(同社)明るい兆しも見えています。“攻撃影響を最小限に抑える”という視点から、ランサムウェア対策を見直すべきでしょう。
欧米の法規制対応で必須となる「SBOM(Software Bill of Materials:ソフトウェア部品表)」について、国内製造業の設計開発/品質管理担当者1000名を調査。85%が「知らない」「聞いたことはある」と回答し、「詳しく理解している」はわずか7%。導入状況も「導入予定はない」が79%で、「導入済み」は7%にとどまった。
⇒ 米国「国家のサイバーセキュリティの向上に関する大統領令」(2021)、EUの「欧州サイバーレジリエンス法」などにジュkyoするにあたって、SBOMの整備は不可欠です。よく理解したうえで「導入しない」判断を下した、というならよいのですが……。
アプリ市場分析サービス「App Ape」のデータに基づく「動画配信アプリ市場調査レポート2025」より。2025年4月時点で、MAU500以上(月間ユーザー数500人以上)の動画配信アプリは237個存在する。ユーザーあたりの動画配信アプリの月間平均利用個数は2.3個、月間平均利用時間は「289.7分」、1日あたりでは「22.1分」。利用時間帯は全世代で20~22時にピークを迎えるが、10代は朝にもピークタイムがあるという。また、スマホユーザー全体の性/年代別割合と比較すると、動画配信アプリ利用割合は「60代以上男性」が高く、「60代以上女性」が低い。
⇒ 別の調査によると、日本人の平均スクリーンタイム(スマートフォンの利用時間全体)は1日あたり3時間弱、月間で80時間強とのこと。「YouTube」「TikTok」などの社会的影響力が目立ちますが、スクリーンタイムに占める割合は意外に少ないと感じました。皆さんはどのくらい動画配信アプリを見ていますか?

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