ベルナルド・ベルトルッチ監督の代表作のひとつで、1970年代最大のセンセーションを巻き起こした「ラストタンゴ・イン・パリ」。傑作と呼ばれた映画の裏側で何があったのか、を出演女優の目線から社会に問いかける問題作「タンゴの後で」の新たな場面写真が披露された。

【フォトギャラリー】「タンゴの後で」場面写真

第77回カンヌ国際映画祭に正式出品され、今なお世界中で問題とされるエンタテインメント業界における権力勾配、搾取について鋭い視線を投げかけた問題作で、大胆な性描写と心理描写が大きな反響を呼んだこの作品の陰にあった、ひとりの女性の怒りと葛藤を描く。

19歳のマリア・シュナイダーは気鋭の若手監督ベルナルド・ベルトルッチと出会い、「ラストタンゴ・イン・パリ」で一夜にしてトップスターに駆け上がる。しかし、48歳のマーロン・ブランドとの過激な性描写シーンの撮影は彼女に苛烈なトラウマを与え、その後の人生に大きな影を落していく…。本作は「70年代最大のスキャンダル」と言われた作品の舞台裏で一体何が起きていたのか? 映画の撮影現場での問題について声を上げた最初の女性の一人である、マリア・シュナイダーの波乱に満ちた人生に焦点を当てる。マリアを演じるのはベネチア映画祭金獅子賞受賞作「あのこと」のアナマリア・バルトロメイ。そして、マーロン・ブランド役をマット・ディロンが演じている。

監督はベルトルッチの「ドリーマーズ」(2003)の現場でインターンを経験し、ベネチア映画祭での受賞経験もあるジェシカ・パルー。彼女は、マリアのいとこであるヴァネッサシュナイダーが記した「あなたの名はマリア・シュナイダー:「悲劇の女優」の素顔」(早川書房刊)と出会い、マリアの人生を映画化することを決意する。

「あなたの名はマリア・シュナイダー:「悲劇の女優」の素顔」では、"70年代最大のスキャンダル"で失意のどん底に突き落とされ、薬物依存に陥りながらも、演じることを続けたマリアの人生を、本人、家族、そして最後までマリアの味方となったアランドロンブリジット・バルドーの言葉や、後年のベルトルッチの謝罪やブランドとの信頼関係にも言及している。#metoo運動がおこる中でマリアのインタビューが掘り起こされ、届かなかった彼女の叫びと訴えに注目が集まった。そして、今フランスでは、彼女の復権とエンタメ業界の問題の改善が取り組まれている。

映画は9月5日からTOHOシネマズシャンテほか全国公開。

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