
ダンスボーカルグループ・原因は自分にある。が、7月12日・13日の2日間に渡り東京・国立代々木競技場 第一体育館にてワンマンライブ「ARENA LIVE 2025 序破急」を開催した。
【写真】原因は自分にある。が2デイズワンマンライブ「ARENA LIVE 2025 序破急」で2万人を動員
■デビュー6周年、初の2デイズ公演で最新アルバムの楽曲を披露
同グループは2019年に活動を開始した7人組グループ。7月7日にデビュー6周年を迎えた。同会場での2デイズ公演は、本公演が初となる。
合計2万人を動員した本公演では、4月にリリースした最新アルバム「核心触発イノベーション」の楽曲を中心に、グループの世界観を強調する演目を披露した。客席にトロッコで乗り出して“観測者”と呼ばれるファンの間近に迫る場面も見られた。
ライブタイトルの「序破急」とは、能や雅楽などに見られる緩急ある三部構成の概念のこと。「見に来る全ての人々を一気に引き込むような公演にしたい」という7人の思いからつけられた。
同公演では、7人を地上に舞い降りた天使になぞらえてライブストーリーを構築。それらを元にした、グループ史上最大規模の演出が行われた。
■ライブ開幕、“序”ブロックの様子
開演時刻になるとステージ全面に貼られたLED上で白い羽根が舞い、壮麗なオーケストレーションをBGMとしたオープニング映像が流れだした。大きな白い羽をつけたメンバーの姿が映しだされると、直後に映像から抜け出てきたかのように、白いマントのフードをかぶって「無限シニシズム」を歌う7人を乗せたゴンドラが上空から降りてくる…という演出が行われた。
神殿を思わせる背景とともにステージへと着地して、ゴンドラから降り立った7人は、地上に召喚された天使をイメージしたパフォーマンスを執り行う。
世の不条理や矛盾を冷笑する「無限シニシズム」でグループの個性が際立つ世界観を叩きつけながら、ヘヴィロック曲「Museum:0」が始まるとマントを脱ぎ捨て、天使の羽を思わせる白いフリルシャツがのぞく、シックな黒のセットアップ衣装を露わにした。打ち鳴らされる重低音と食らいつくようなダンス&ボーカルで、ライブ全体の空気感を強調する。
「in the Fate」の歌唱では、7人が“We are GNJB”と名乗りを上げ、ラップを高速で口ずさむ場面も見られた。火花が散り、レーザー光線が飛び交い、ファイヤーボールが打ち上がる激しい演出の中で、ステージ頭上のLEDに「序破急」の文字が浮かび上がり、ライブの“序”パートが本格的に始まった。
エレクトロな4つ打ちダンスチューン「0to1の幻想」では躍動的なシンクロダンスを披露。最年少の桜木雅哉が「代々木、ぶちかまそうぜ!」と力強い叫び声を上げる場面も見られた。
クライマックスでは、アリーナ客席を貫く花道を通ってセンターステージへと移動し、細かくフォーメーションの角度を変えながら「嘘から始まる自称系」のパフォーマンスを行った。
長野凌大を皮切りに、花道で小泉光咲、メインステージで大倉空人、吉澤要人と順にソロダンスを披露。杢代和人がライブ冒頭から掛けていた眼鏡を外すと、観客席からは歓声が上がった。さらに武藤潤、桜木と続き、.ENDRECHERI./堂本剛が提供したアルバム曲「LLL」につなぐ。
ファンクなトラックに乗って“君を愛している”とささやくパートや、武藤が“I love you forever”と甘いロングトーンを放つパートを含む同楽曲は、これまで哲学的・抽象的な楽曲世界を歌ってきたグループにとって、直球のラブソングは新鮮な1曲。ファンもメンバー7人のカラーを灯したペンライトで、7人の送る“愛”に応えた。
■人間に擬態した天使たちの恋愛模様…“破”ブロック開幕
ここでスクリーンには、2つ目の映像が流れ始める。自由を求めて人間界に降り立った天使たちが、さまざまな人々と、さまざまなシチュエーションで邂逅する……というストーリーのもと、公演は“破”のブロックに突入した。
6年間で培ってきた豊富な楽曲レパートリーを用いて、さまざまな恋愛模様を描き出していく同ブロック。“人間に擬態した天使”をイメージしたカジュアルな服装に着替えた7人は、ドールのようにアクリルボックスに収められた状態でステージに出現。
長野と吉澤はメガネ、大倉と桜木はサングラスを装着した姿を披露。普段は見ることができない姿に、観客席からは大きな歓声が上がった。
「フィナーレ」で情熱的な恋情を表した後は、続くスローテンポな「蝋燭」で、揺れ動く感情を繊細に表現。三角関係を夏の星空になぞらえた「夏の二等辺大三角形」で憂いある物語を描くと、スクールラブソング「方程式は恋模様」では一転。桜木が可愛らしい歌い方を披露する。ステージから放たれる光でピンクに染まった客席に、7人はトロッコで乗り出して、ファンたちとコンタクトしていく。大サビ前では「みんなモニター見て!」と予告した大倉が、カメラに抜かれて投げキスする場面も。
アリーナの最後方まで到達してから、初日は「ギミギミラブ」で観測者たちとおなじみのコール・アンド・レスポンスを繰り広げ、2日目は「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」でロマンティックな空気を振りまいた。
「推論的に宇宙人」では「僕たちに会いたかった人!」と杢代が問いかけ、会場中から“はーい!”と返事が来る……という場面も見られた。メンバーたちはくまなくアリーナを周回。10分にわたり、ファンと交流しながら楽曲を披露した。
■誕生日を祝福…ライブ中1度きりのMCパート
同公演は物語と世界観を重視したライブのため、MCのタイミングは1度のみとなった。
初日の7月12日には、同日に22歳の誕生日を迎えたリーダーの吉澤が自己紹介を終えるなり、ステージ上の灯りが落ちて「HAPPY BIRTHDAY」が流れるサプライズが施された。
愛犬・ルーチェとのツーショットが飾られたケーキからイチゴをひとつ取って頬張ると、見渡す限り吉澤のイメージカラーである紫の光に染まった客席に向かって駆け出し、センターステージで「楽しく生きる」と22歳の抱負を宣言した。
1万人の「おめでとう!」を浴びて記念撮影を終えた吉澤に、杢代が「こんな幸せな誕生日ないよ!」と祝福の言葉を送った。
また、22歳は“にゃんにゃんの歳”ということで「観測者のみんなと幸せな未来を築いて……いきたい、にゃん」と、猫の真似を披露する場面も見られた。
2日目の7月13日にはU-NEXTの配信も入っており、カメラの向こうのファンにも「盛り上がってる?」とメッセージを送った。
これまでイベントでは何度も立ってきた会場で「単独公演ができるのは感慨深い」と語った杢代は、沖縄での写真集撮影の際に桜木が寝坊したことを暴露。しかし小泉には「俺だったら普通に起こす」、桜木からは「これ和人が悪いでしょ」と責められ、逆に謝るはめになってしまう……という場面も。
また、7月16日(水)が長野の22歳の誕生日ということで、客席のペンライトは彼のカラーである青一色に。長野はセンターステージへと進み、青い光に囲まれて「HAPPY BIRTHDAY」の大合唱を浴びた。
「気持ちよすぎるわ!」と膝をつく長野に、吉澤から「22歳って、にゃんにゃんなんだよ」と指令が下ると、長野は戸惑いながらも「優しく生きる!」と22歳の抱負を語った。また、「優しい人間になり、自分に厳しくなる。そんな人間になりたい……にゃーん」と指で猫耳を作り、観客席からの歓声を呼んだ。
■ファンとより密着…“破”ブロック後半の様子
和やかな空気の中、“破”ブロックの後半戦が開幕した。
同ブロックでは、大胆な仕掛けと誠実なメッセージでファンとの距離を縮めていくことがコンセプトに掲げられた。
「マルチバース・アドベンチャー」では長野が「次はスタンドのみんなのところに行きます!」と宣言すると、ステージからスタンド端へと駆け上がって、スタンド客席の通路をトロッコでぐるり一周。
初日の曲中では、マーチング風の曲調に合わせて、長野が「7年目も一緒に冒険していきましょう!」と願いを語った。
さらに「みんなで作るぞ、愛ある空間!」と武藤が号令をかけての「Go to the Moon」では、7人が振るタオルに合わせてファンたちがペンライトを振り上げ大合唱。7人がタオルをそのまま観客席に投げ込む、というパフォーマンスも行われた。
サビのハイトーンボーカルが特徴の「多分、僕のソネット」でステージに戻ってからは、杢代が長野の頬にキスするなど、7人の和気あいあいとした様子が見られた。
吉澤が「もっと声出せるでしょ!」と伝えてからの「原因は君にもある。」では、再びファンとの大合唱が行われた。ステージに設置された無数のLEDには同グループの特徴である、哲学的かつ愛にあふれた歌詞が映し出され、杢代は「明らかに観測者、愛してるよ」と歌い替え。曲終わりには吉澤が「ずっと一緒だよ」とつぶやいた。
さらに、長野と武藤が向き合って歌声をぶつけ合いながら始まるロッカバラード「貴方らしく」では、メンバー同士で肩を組み、アイコンタクトを交わしながら、力強いボーカルで“らしく生きていこう”というメッセージを届けた。
曲中、思わず感極まって瞳を赤くした桜木が「みんな最高だぜ!」と声を振り絞る、ライブならではの場面も見られた。
雷雨の音と遠くに響く歌声に導かれた“破”ブロックの最後は、エレクトロックな「『誰も知らない歌』」だ。教会の荘厳な景色を映し出したLEDをバックに、スタンドマイクを握ってファンたちと声を合わせるステージからは、金銀吹雪が噴出。時を超えて存在し続ける音楽と、そこに込められた思いの尊さを、厚いユニゾンで歌い上げた。
■天使たちの絶望と怒りを描く…ライブテーマが爆発する“急”ブロック
7人が立ったステージが下がっていくと同時に、3つ目の映像が流れ、同公演は“急”のブロックへと突入した。
大きな白い羽根をつけた7人が、“天使たちは人間界で好奇の視線にさらされ、腫れ物扱いされたことで人々に失望。さまざまな世の不条理を目にして己の羽根をむしり取る”…というストーリーを展開。パイプオルガンの重厚かつ不穏な音色とともに、ダークな“ゲンジブ劇場”が開幕した。
背中に赤い傷痕を痛々しく残したまま、堕天使をイメージした黒衣となって倒れ伏していたセンターステージから起き上がり、今回のためにオーケストラリミックスされた「Mania」で絶望の淵に墜ちた末の激情と狂気を叩きつける7人。同曲がオープニング主題歌となったドラマ「シークレット同盟」(2024年、読売テレビ)に出演していた長野を筆頭に、噴き上がる白い羽根と真っ赤な照明の中でダンスを披露した。
そんな7人を天井から降下して囲ったLEDの鳥籠は、続く「Operation Ego」では抑圧から解放されようともがく7人を閉じ込める檻となり、同時に7人の感情を綴ったリリックを映し出すスクリーンとなる。
自由への強い希求を歌とダンスで表しながら、檻から解き放たれた7人が拳を突き出すと、大倉が「こんなカッコいい俺ら、滅多に見れねぇぞ!一生記憶に残るように…瞬きするんじゃねぇぞ!」と叫び、一転攻勢をコンセプトとした楽曲たちにつなげる。
「遊戯的反逆ノススメ」の高速ラップでカメラを挑発しながら、メインステージに向かって花道を渡り、武藤がレンズに向かって蹴りを繰り出せば、桜木がジャケットを片肌抜いで観客席から悲鳴を呼んだ。
頭上の半円形LEDには、「託された期待を背負い、どんなネガティブも振り切って進んでいくだけ」と書き綴られたリリックが映し出され、大倉は「おい、待ってろよ、東京ドーム!」と宣言。グループの決意と覚悟を示した楽曲の最後には、杢代が「ずっと一緒にいよう」と告げる場面も見られた。
続く「Paradox Re:Write」は、ジャズとエレクトロの要素が混ぜ込まれた一曲。切れ味鋭いラップを噴き上がるスパークラーの火花とファイヤーボールが彩る。背後の大型LEDには矛盾したモチーフの映像が映し出され、同公演のテーマが示唆された。
■MV再生数200万回の楽曲を披露、ライブクライマックス
2時間近くにわたるステージングに歓声があがり、7人がステージ下に飛び降りて姿を消すと、ここでライブ中に流れた3本の映像がモノクロで“急”“破”“序”と高速逆回転。最後に舌打ちする吉澤がアップになって始まったのは、公式YouTubeチャンネルでのMV再生数が200万回を突破したアルバムリード曲「因果応報アンチノミー」。
「ラスト楽しめよ!」と大倉が吠えると、世の常識や矛盾を笑い飛ばすリリックがLED上に次々現れ、手首を90度に曲げて顔を隠しながら腕を動かすタットダンスと舌打ちにファンからは大きな歓声が上がった。
客席に向かって桜木が“大好きだぜ!”と叫ぶと再び大歓声が沸き、吉澤の低音が曲を締めくくると銀テープが噴出。同楽曲のタイトルが大映しされた半円形のLEDが降下して7人の姿を隠し、ライブは幕を閉じる。
2日目にはここに加えて、“NEXT SCENE”と続けて文字が現れ、10月15日(水)に4thシングル「パラノイドランデブー」のリリースが予定されていることと、そのテーマが“逃避行”であることが告知された。
■「夢が叶うときを皆様に見せられたら」…ドーム公演を目指して
結成当初からの“夢”である東京ドーム公演に一歩ずつ近づき、今や“目標”と言えるところまでやってきた、原因は自分にある。の7人。
同公演の映像や衣装の制作に参加した杢代は、公演前の囲み取材で「ライブを見て、どう感じてもらってもすべてが正解。夢が叶うときを皆さまに見せられたら」と語り、ファンたちにその思いを伝えた。
■原因は自分にある。ワンマンライブ「ARENA LIVE 2025 序破急」
<出演者>
大倉空人、小泉光咲、桜木雅哉、長野凌大、武藤潤、杢代和人、吉澤要人
<セットリスト>
1.無限シニシズム
2.Museum:0
3.in the Fate
4.0to1 の幻想
5.嘘から始まる自称系
6.LLL
7.フィナーレ
8.蝋燭
9.夏の二等辺大三角形
10.方程式は恋模様
11.ギミギミラブ
シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
12.推論的に宇宙人
13.マルチバース・アドベンチャー
14.Go to the Moon
15.多分、僕のソネット
16.原因は君にもある。
17.貴方らしく
18.『誰も知らない歌』
19.Mania
21.遊戯的反逆ノススメ
22.Paradox Re:Write

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