カンヌ国際映画祭の監督週間で史上初の観客賞を受賞し、アカデミー賞国際長編映画賞のカナダ代表にも選出された「ユニバーサル・ランゲージ」の日本版予告編とポスタービジュアル、場面写真が一挙披露された。

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物語の舞台は、ペルシャ語フランス語公用語になった、"もしもの世界"のカナダ・ウィニペグ。七面鳥に、新調したメガネを奪われたと語る少年・オミッドは、学校の先生に黒板の字が読めるようになるまでは、授業を受けさせないと理不尽な待遇を受けてしまう。同情した同級生のネギンと姉のナズゴルは、凍った湖の中に眠る大金を取り出して、新しいメガネを買ってあげようと考えるが、思うようにいかない。そこに廃墟を観光スポットとして紹介する奇妙なツアーガイドのマスードや、仕事に嫌気が差して自暴自棄になったマシューも登場すると展開が一転していく……。

メガホンをとったのは、カナダ首相の座を巡る権力争いを皮肉と遊び心たっぷりに描いたブラック・コメディ「The 20th Century」がベルリントロントなど世界の映画祭で高く評価されたマシュー・ランキン。ランキン監督は「この映画の主要なテーマの一つは"人に優しくすること"」だと語り、映画は言語や文化、さらには自分と他人との境界も曖昧になって混沌とする町で起きる日常の風景を切り取った作品に仕上がっている。

日本版予告編は、ネギンとナズゴル姉妹のちょっとした冒険を映し出す。凍った湖の中に眠る大金を発見したネギンは、新調したメガネを七面鳥に奪われてしまった同級生に、氷の中のお金でメガネを買ってあげたいと姉のナズゴルに相談する。だが、子どもだけでは到底、氷の中からお金を取り出せそうにない。そこで白羽の矢が立ったのが、ナズゴルが花をあげた見知らぬおじさんのランキンだった。花を譲ったという恩着せがましい理由で、ランキンは渋々お金発掘作戦に協力することになる。

さらに映像は、イラン文化の影響を強く受けたウィニペグの美しい商店街のパノラマ風景と、80年代ファッションを楽しむ住人たちの姿を捉え、架空の町の輪郭を浮かび上がらせていく。その一方で、姉妹たちの冒険を通して、大人が抱える悩みも明らかになる。面倒ごとに巻き込まれたランキンは、「なぜ人に親切するのか」と、ツアーガイドのマスードに相談するが、彼は「我々はまるで2つの川が1つに合流するように、繋がっているからです」とランキンを諭す。

日本オリジナルのポスタービジュアルは、サークル上に配置されたウィニペグの住人たちの中心に、氷漬けになったお金が配置されている。その周囲に「この小さくて大きな世界で、私たちはみんな繋がっている。」というコピーが添えられており、作品の世界観を指し示すビジュアルに仕上がっている。

ユニバーサル・ランゲージ」は、8月29日からシネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開。

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