
キャンピングカーでSDGsに貢献する
地震、台風、大雨、大雪など、最近では季節や地域を問わず、さまざまな災害に見舞われることが多くなっています。自宅での日常生活が困難になった際にキャンピングカーがあると便利です。災害地の復旧や支援を目指す方々にとっても現地での活動拠点が必要で、そんな観点から「災害対応車」を製作したのが、熊本県で40年以上に渡って活動する老舗キャンピングメーカーのWHITE TOP(ホワイトトップ)です。有事の際の被災地で、本当に必要とされる機能は何か? 自身も熊本地震に見舞われた経験から生み出された災害対応車を紹介します。
被災者となった経験を活かして公共福祉に貢献を
キャンピングカーの需要が高まった背景には、レジャー用途以外に、日本全国でさまざまな災害が増えたことも影響している。災害で自宅で日常生活を送るのが困難になってしまった。そんなときに、車内で最低限の生活が確保できるキャンピングカーの存在というのは、とても心強いものだろう。
その一方で、被災地となった現地の復旧作業や支援作業に勤しむ方々は、地元だけではなく、日本全国から集まったボランティアの皆さんも多数いる。そんな方々にとっての活動拠点となる場所。それを「災害対応車」としてキャンピングカーで実現したのが、2024年11月16日〜17日に福岡県福岡市のマリンメッセ福岡で開催された福岡キャンピングカーショー2024に参加した熊本県のキャンピングメーカー「WHITE TOP」(ホワイトトップ)だ。
同社は2016年の熊本地震で被災した。その当事者となった時の経験をふまえ、キャンピングカーメーカーとして被災地を助ける側の支援はどうすればいいのか? 自分たちが望む住み慣れた町に住み続けることができるようにするため、災害復興するために、何が必要なのか? 自分達の経験値を活用して何ができるのか? その答えが、この災害対応車にある。
クラウドファンディングで実現した業務用途重視のキャンパー
災害対応車を製作するために、当初の開発製造資金をクラウドファンディングで確保している。このような資金集めをしたのは、災害時の復興支援や公共福祉への貢献を目的とするため、その意義を多くの人に知ってもらうことが必要だったからだ。このときに出資してくれた方々に対しての直接的なリターンは設定されていない。その代わりに、この災害対応車が実際に販売されたその利益が、各出資者に分配される。つまり、出資者は株主そのもの。この同社の考えに賛同する出資者が数多く集まったことで資金が確保できて、災害対応車が誕生したことになる。
大きな特徴は、資材を大量に積み込めることだ。そのため、ベース車はトラックであるいすゞ「エルフ」を選択。長い脚立や長尺のテーブルなどが収容可能とするために、4台のベッドはもちろん折り畳み式となる。また、不特定多数の人員が使用することを想定し、各ベッドサイドでの携帯電話の充電、鍵付きロッカー、電気式トイレなども設置。ソーラーとバッテリーによる2系統での電力システムも装備する。しかも、万が一の車両トラブルの際にはキャンピングカー専門店ではなく、自動車や電気関連会社でもメンテナンス、修理ができるようにと、配線設備を簡略化しているのも重要なポイントだ。資材運搬、移動オフィス、簡易宿泊所と、用途を明確化したのが、レジャー向けキャンピングカーと異なっている点だ。
能登半島地震に派遣され活躍
2024年1月に石川県で発生した能登半島地震の際には、この災害対策車が実際に被災地に派遣されている。石川県から要請を受けたJRVA(一般社団法人日本RV協会)が中心となり、ホワイトトップも所属するJRVA会員企業が集結。石川県珠洲市と輪島市にキャンピングカー60台以上が派遣され、被災地復興支援の宿泊施設として実働。現地で、災害対応車としての責務を果たしているのだ。
SDGsには17の目標が掲げられている。ホワイトトップがこの車両で目指したのは、この11番目の項目にあたる“住続けられるまちづくり”。大好きな地元の町で、ずっと暮らしていきたい。同社が熊本地震で被災者となった際に、そこに気づかされた。そのためには、地元が早く復興してほしい。40年以上に渡ってキャンピングカー製作を続けてきた企業は、どのような形で社会貢献できるか? その答えがここにある。レジャー用のキャンピングカーは、個人が所有し楽しむ車両だが、この災害対応車は、法人が所有して、有事の際にその地元地域を支援するために稼働することを想定して生まれてきたのだ。
The post first appeared on .
コメント