ガソスタも充電ステーションもイマイチ整備されないベトナムの主流はまだ2輪! 果たして普及するのはEVかエンジン車か?

この記事をまとめると

ハノイ中心部ではガソリンスタンドが少なく給油事情が見えにくい

■二輪が主力の交通手段で独自の免許制度や給油文化が存在する

■BEV普及が進むもICE車が主流で政府は今後の整備に苦心するだろう

独特さをもつベトナムの給油事情

 ベトナムの首都であるハノイの中心市街地を歩いていても、ガソリンスタンドを見かけることがなかった。二輪車も目立ち、四輪車も多く街なかを走っているのに、「どこで給油しているのかな?」という素朴な疑問が湧いた。とはいえ、いまどき東京都内でも都心部でガソリンスタンドを探すのは結構大変なことになってきているので、ハノイが特別というわけでもないのかもしれない。

 中心市街地から高架運行部分のみが開通している地下鉄に乗り、市街中心部の始発駅から郊外へ向け数駅先にある新市街地のような場所を歩いていて、初めてガソリンスタンドを発見した。敷地内には四輪車と二輪車の販売ディーラーが同居しているという、日本人から見れば変わった組み合わせでガソリンスタンドが営業していた。日本でもコーヒーチェーンや、大手コンビニエンスストアなどを併設しているガソリンスタンドはあるが、新車ディーラーとの併設は聞いたことがない。調べてみると、最近郵便局が併設されたガソリンスタンドが開業して話題となっているようである。

ベトナム・ハノイのガソリンスタンド事情

 ハノイを訪れたのは6月中旬、気温は暑くても30度を少々超える程度なのだが、とにかく湿度が高く、外で立っているだけでも汗があふれ出てきてしまう嫌な暑さであった。そんなハノイ市内を徒歩で移動していると、バイクタクシーが「乗っていかないか」と近寄ってくることが多い。ハノイ市内は歩道の整備が進んでおらず、歩道があっても二輪車や四輪車の駐車が多く歩きにくいこともあり、徒歩で移動するひとはあまり見かけず、比較的近距離でもバイクタクシーで移動しているようである。

二輪車も多くBEV普及との折り合いに課題か

 二輪車が市民の移動手段としてすっかり定着しているのだが、なんと50cc以下(電動なら5kWh以下)のバイクの運転は16歳以上ならば運転免許は不要とのこと。調べてみると、走っているバイクの多くは51~175cc未満となり、こちらは18歳以上で運転免許が必要となる。四輪車は普通免許ではいずれも3.5トン未満まで運転可能とし、普通四輪と普通四輪商用が用意されている。

ベトナム・ハノイのガソリンスタンド事情

 ガソリンスタンドに話を戻すと、ガソリンの種類としてはRON 95-Ⅴというハイエンドタイプ(ユーロ5排出基準以上)と、RON95-ハイオク)、E5 RON92-Ⅱ(レギュラー)の3種類が用意されている。訪れた時のレギュラーガソリン1リッターあたりの価格は1万9460ドン(約107円)であった。まだまだICE(内燃機関)が多く、バイクが生活必需品となっているが、ガソリン価格はけっして安いものではない。今年春先までは下落傾向にあったようだが、世界情勢も影響してか上昇傾向となったようだ。

 情報を探ると、セルフではなく店員さんに給油してもらう時には、リッター数で給油量を伝えるのではなく、「2万ドンぶん」などとして頼むのが一般的となっているようだ。

ベトナム・ハノイのガソリンスタンド事情

 また以前訪れたホーチミン市内でも見かけたのだが、二輪車専門となるガソリンスタンドハノイ市で見かけることができた。

 四輪車の普及が確実に進み、自国でもビンファストというBEVを生産しているメーカーを抱えるベトナムガソリンスタンド数がまだまだ十分整備されず、近年ではさまざまな理由から廃業も目立っているとのこと。現状ハノイあたりでは路線バス全車電動化といった計画があるが、全体ではBEV以外販売禁止といったような動きはないので、ガソリンスタンドと充電ステーションを同時に整備していくことになりそうだが、政府としてはそのバランス調整に苦労しそうである。

ガソスタも充電ステーションもイマイチ整備されないベトナムの主流はまだ2輪! 果たして普及するのはEVかエンジン車か?