2026年前期のNHK連続テレビ小説「風、薫る」(NHK総合ほか)のW主演の1人に決まった上坂樹里が、20歳の誕生日である7月14日に、ファースト写真集「日日是好日(にちにちこれこうじつ)」(幻冬舎)を発売した。海に囲まれた自然豊かな長崎・五島列島で撮影し、「10代最後、今の自分にしかできない表現」という同写真集にはどんな彼女が収められているのか。夢だった朝ドラの主演をつかんだ今の心境などを、飾らない言葉で語ってもらった。

【写真】上坂樹里のキュートな笑顔の腹見せショット

■「毎日が素晴らしい」という禅の言葉

――ファースト写真集が発売されます。

カメラマンの神藤剛さんや撮影スタッフの皆さんと話し合いながら、ありのままの自分の姿を表現しようと思いました。10代最後の今の自分にしか表現できないものを収めていただいたので、そういうところを楽しんで見ていただけるとうれしいです。

――タイトル「日日是好日」はどういった意味の言葉でしょうか?

五島列島で出会った禅の言葉で、「毎日が素晴らしい日である」という意味です。もっと深く解釈していくと、「人生には良い日も悪い日もあって、その日にしか味わえない、感じられない出来事がある」という言葉なのだと分かりました。その気持ちをいつまでも大事にしたい。今の私を応援してくださっているファンの方々に届けたいと思って付けたタイトルです。

――ロケ地を五島列島に決めたのにはどんな理由がありますか?

20歳になる前に今まで行ったことのない土地に行って、自然を感じて、自分自身と向き合える時間を作りたいと思いました。とにかく全てが楽しくて、撮影ではあったんですけど、本当にプライベートで旅行に来ているような気持ちになれる時間でした。そのおかげもあって、ここに写っている自分は、そのとき、その場所にいたままの表情を切り取ってもらえたなって思います。

五島列島での撮影を通して自分の中にとってもいいエネルギーを吸収できたと思いますし、島は自然が広がっていて、どこに行っても空気がきれいで、人も温かく、ご飯も何を食べてもすごくおいしくて、もう帰りたくないと思うくらい最高の場所でした。

■写真集でしか見られない上坂樹里のありのままの表情

――お気に入りには、いろいろな表情の上坂さんが写っているページを挙げていただきました。

この写真集では他のお仕事では載ることがない表情をしている私がいて、中でもこのページにあるのは本当に素の表情。ありのままの上坂樹里だなっていうカットを集めています。きっと新鮮に映るので、ファンの方にはぜひ見ていただきたいページです。写真集全体としても、ページをめくるごとに一緒に旅をしているかのような気持ちになれると思うので、頭から最後のページまで、じっくり楽しんでもらいたいです。

――滞在中、印象的な出来事は何かありましたか?

船に乗って釣りをしたんですけど、自分で釣ったアジを漁師さんがその場でさばいてくれて、それが信じられないくらいおいしかったです。一番印象に残っているのって、そのアジのお刺し身です(笑)。それくらい、今まで食べたことがないと思うおいしさでした。

■10代最後は奇跡が連続した1年

――写真集は7月14日、20歳の誕生日に発売されます。10代最後はどんな年でしたか?

10代最後の年は想像していなかったくらいに周りの環境が大きく変化して、いろいろなものを吸収して自分も変われた一年でした。

――その中ではNHKの朝ドラ「風、薫る」の主演決定が大きいと思います。

役者になると決めてから、自分の一番の夢、目標として掲げていたものだったので、今自分に何が起きているのか理解が追いつかないほどうれしかったです。オーディションは自分としてはボロボロで、最終オーディションの後も悔しさばかりが残っていたので、まさか選ばれるとは思っていなかったです。

――情報解禁後、最初に報告したのは誰でしたか?

やっぱり父、母、家族ですね。家族も動揺から始まって、「決まったよ!」と連絡したら、「どういうこと?」みたいに困惑していました。「おめでとう」と言いたいけど、現実とは考えられなくて、向こうも何が起こっているのか分からないみたいな(笑)。その後、家に着いたときはだいぶ落ち着いてくれていて、そこで改めて「おめでとう」の言葉をもらいました。本当にうれしかったですね。

――ファースト写真集発売が決まったのと「風、薫る」主演決定はどちらが先でしたか?

写真集です。それから朝ドラのオーディションを受けて、主演のお知らせを頂きました。だから、10代最後は奇跡の連続だったなと思います。

■一つ一つの作品の世界観の中で生きられる役者に

――NHKの朝ドラとなれば注目も俄然集まります。俳優として、自分の強みはどんなところにあるか、この先どんな俳優になりたいか。イメージはお持ちですか?

自分の強みはまだ分からなくて、これから見つけることができたらいいなと思っています。この先のイメージでいうと、作品の世界観の中でしっかり生きられる役者になりたいです。作品には個々の世界観があるので、その作品一つ一つの中で、一人の人間として生きること。そんな役者さんに成長していきたいです。

――「風、薫る」の撮影までまだ期間があると思います。その時間をどんなふうに過ごそうと考えていますか?

撮影はまだですが、稽古は先日から始まりました。まずはそれを頑張りつつ、明治時代のことであったり、その時代の看護師さんのことであったりをより知っていこうと思っています。私の役には鈴木雅さんというモチーフになられた女性がいらっしゃるので、どんな方だったのかもちゃんと知っておきたいと思います。

――W主演で立つ見上愛さんの印象はいかがでしたか?

太陽みたいな方でした。見上さんがいらっしゃると周りがぱっと明るくなるような。緊張している私に話しかけてくださって、優しい雰囲気の方だなとも思いました。これからバディとなって作品に臨むので、見上さんのお力を借りしながら精いっぱい頑張っていきたいと思います。

■つかんだ夢の先にある次の目標

――1年半前にインタビューさせていただいたとき、「朝ドラが目指す頂点」とおっしゃっていました。その頂点に手が届いた今、先にはどんなものが見えていますか?

今は「風、薫る」も含めて、目の前にあるやるべきことに正面から向き合うことを大事にしたいです。そうすることでその先に何か新しく感じることだったり、目指すものが出てくるんじゃないのかと思います。そのときにまた、新しく見つけた目標としっかり向き合えたらいいなと思います。

◆取材・文=鈴木康道

20歳の誕生日に初写真集を発売した上坂樹里にインタビュー/撮影:鈴木康道