満員電車の中で、近くの人のハンディファンに髪の毛が巻き込まれた──。SNSでは、こうしたトラブルに関する投稿が相次いでいます。

暑い日が続く中、電車内でハンディファン(携帯用扇風機)を使ってしまうという人は少なくありません。しかし、使い方を誤ると、思わぬ事故やトラブルにつながるおそれがあります。

東京メトロによると、こうしたトラブルについて、乗客から複数の「意見」が届いているといいます。

SNSでは「満員電車の中でハンディファンは使用禁止にしてほしい」という声も見られますが、実際にはどのようにトラブルを防げばいいのでしょうか。

●髪の毛巻き込まれた…「賠償請求できますか?」

「混んでる電車に乗ったら、後の人が使ってるハンディファンに髪の毛巻き込まれた」

満員電車で『痛いです!』って女性の声が聞こえた。見たら、別の女性の携帯用扇風機に髪の毛を巻き込まれていた」

満員電車女子高生ハンディファンに髪の毛巻き込まれた。まさかゼロ距離で真後ろで使っている人がいると思わなかった」

Xやスレッズには、こうした体験談が多数投稿されています。中には、「賠償請求できますか?」「使用中止にしてほしい」といった声も上がっています。

実際、2023年7月には、国民生活センターにも次のような相談が寄せられました。

満員電車ハンディファンを使っている人の近くにいたところ髪の毛が引っ張られた。ケガにつながらないよう注意喚起してほしい」

東京メトロ「使用制限は設けていません」

東京メトロの広報担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対して、次のように答えました。

ハンディファンについての使用制限は現在、特に設けていません」

とはいえ、利用者からは「髪の毛が巻き込まれた」「他人の風が不快だった」といったトラブルに関する意見が、この1年間で複数寄せられているといいます。

こうした状況を受けて、消費者庁は2024年6月、ハンディファンの使い方について、以下のように注意を呼びかけました。

「特に人が集まる場所での使用は、周囲への配慮が必要です。例えば、後ろを確認せずに携帯用扇風機の風を首の後ろに当てるといったように、周囲を確認せず携帯用扇風機を振り回すと、気付かぬうちに、周囲の人の髪やひも等の付いた衣服等を巻き込む可能性があるため危険です。必ず周囲を確認してから使用しましょう」

●「満員電車ハンディファン」は社会課題の縮図?

酷暑が続く中、ハンディファンを使いたくなる気持ちは理解できます。しかし、その背景には「猛暑の中で満員電車に乗らなければならない」という現実があることに目を向ける必要があるでしょう。

時間差通勤やリモートワークの普及、自転車やバスといった交通手段の活用など、混雑を減らすための取り組みが今こそ求められています。

ハンディファンをめぐるトラブルは、単なる「暑さ対策」の問題にとどまらず、都市の通勤環境そのものの改善を問いかける、現代社会の縮図とも言えるのかもしれません。

満員電車でハンディファン被害続出「髪の毛が巻き込まれた」、SNSでは"使用禁止"求める声も