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ディフェンダーの最上級モデル、オクタとは?

現在のランドローバーはブランド内にレンジローバー、ディスカバリー、そしてディフェンダーという3つのラインが存在している。今回上陸を果たした『オクタ』は、ディフェンダーの最上級モデルである。ちなみにオクタとはダイヤモンドの原石に見られる8面体形状のこと。強くて希少という意味らしい。

【画像】即完売の超人気車!ランドローバー・ディフェンダーの最上級モデル『オクタ』 全184枚

ベーシックかつ泥っぽさに存在意義があるディフェンダーなので『最上級』という表現に違和感を覚えていたのだけれど、試乗前の説明にあった「ダカールラリー用のベースモデル」という一言ですっきりと咀嚼することができた。例えるならばポルシェが911をベースにGT3RSを仕立てた感じなのだろう。

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今回上陸を果たしたランドローバー・ディフェンダーの最上級モデル『オクタ』。    神村聖

これまでのディフェンダー最強モデルは525psを発生する自社製の5LV8スーパーチャージドエンジンを搭載していたが、オクタの心臓はBMW製、最高出力635psの4.4LV8ツインターボ。型式はS68B44Bなので、つまり泣く子も黙るBMW M用ということになるが、ランドローバーではすでにレンジローバーSVやレンジローバー・スポーツSVに搭載されているユニットでもある。

ちなみにディフェンダー・オクタの今年の日本市場への割り当ては130台で、さらにエディションワンと呼ばれる初回限定車が90台用意されていたのだが、どちらも即完売してしまったのだとか。そんな人気ぶりを耳にすると、いよいよ最上級のディフェンダー何たるかが気になってくるではないか。

一見ノーマル、それでも漂うオーラ

シャラントグレイというマットなボディカラーが落ち着いたイメージだったので、最初は普通のディフェンダーとの差がよくわからなかった。だがよく見るとオクタはただならぬオーラを纏っている。

完璧にフィッティングされた前後オーバーフェンダーによってボディの幅が7cm広がっていることが最大の特徴だが、専用デザインの20インチホイールとオプションのオールテレイン、そして開口部が拡大されたフロントグリル周りも凄みの源泉になっているようだ。

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シャラントグレイというマットなボディカラーを纏い、ただならぬオーラを放つ。
    神村聖

室内も『オリジナルの雰囲気の延長線で凄みを出す』という手法でアップレートされており、専用のスポーツシートが備わっていた。

走りはじめて感じたのは、エンジンのレスポンスの良さがそのまま車速に反映されること。ディフェンダーという名前からは想像できないほどの快速ぶりなのだ。にもかかわらず縦横に大きな入力が入っても、ボディはフラットな姿勢を崩さない。車重2.5トン、最高出力600ps超えというスペックが信じられないほど。

巨漢らしからぬオクタの身のこなしを実現させている鍵は、ショックアブソーバーにある。『6Dダイナミックサスペンション』と呼ばれるシステムは、伸び縮みの電制バルブが付いた4本のダンパーを前後左右で油圧関連させ、さらに中央部にコントロールユニットがある。

ほぼアクティブに近い反応速度で減衰が変わり、スタビライザーの役目もこなすこの最新鋭の足まわりが、エンジンパワーと太いタイヤだけでは説明がつかないオクタの高い次元の走りを下支えしているのであった。

オフロードの速さに圧倒される

公道試乗後に用意されたオフロード試乗の方が、ディフェンダー・オクタのパフォーマンスをより深く体感することができた。オフロードコースは落差30cmほどの凸凹や轍が掘られた森の中を縫うレイアウトで、並みのクロスオーバーSUVでは車体下を打ってしまいそうだ。

ステアリング中央下に設けられたボタンで『オクタ・モード』を選択し、プロのラリードライバーが運転する前走車を追いかけていく。そのペースがどんどん上がっても、不思議と恐怖感はなかった。何しろフラットな姿勢のままオンザレールで走れるし、驚いたことにタイヤが路面から離れる感じが皆無なのだ。

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フロード試乗で、ディフェンダー・オクタのパフォーマンスをより深く体感。    神村聖

重量級のボディをほとんどグラつかせず、しかしまるで超軽量タイヤ&ホイールを履いているかの如き追従性を発揮する。先導を担当したドライバー氏曰く、「伸び側のストロークが非常に長く、しかも伸びも縮みとも速いのでこの走りができる」のだという。ダカール・ラリーへノーマル車に安全装備を追加した程度の仕様で出場するというのも納得がいく話だ。

超高性能SUVにしてラリーレイドスペシャルのようなディフェンダー・オクタ。だがこのクルマの真価は、ベーシックなディフェンダーの動的質感をそのまま全方位的に違和感なく拡大している点にある。見た目も、超絶なパフォーマンスと比べると控えめなもの。そこはイギリス車らしく、アンダーステートメントの精神が行き届いている。

ポルシェ911GT3RSがそうであるように、もし全てのパフォーマンスを使いこなせないとしても、大いに所有欲をくすぐられる1台なのであった。


【発売開始、即完売の人気車】見た目以上に走りが凄い!ランドローバー・ディフェンダー・オクタは極上のダイヤモンド