7月11日から7月13日までの全国映画動員ランキングが発表。公開2週目から前週を上回る観客動員&興行収入を記録してきた『国宝』(公開中)の“右肩上がり”がついにストップ。それでも引き続き2位以下を大きく突き放し、公開3週目の首位浮上から4週連続でその座を守り抜いた。一方で、日米同日公開を迎えたジェームズ・ガン監督の『スーパーマン』(公開中)は2位からのスタートに。

【写真を見る】“右肩上がり”が終わっても、まだまだ勢いの衰えない『国宝』。大旋風はどこまで続くのか

■元祖アメコミヒーロー“スーパーマン”が、装いも新たに降臨!

IMAXや4D、Dolby Cinema、ScreenXといったラージフォーマットを含む全国359館で公開を迎えた『スーパーマン』。初日から3日間の成績は、動員が22万5273人で興行収入が3億7288万6540円。この数字は、直近のDC作品であり最終興収11億6000万円を記録した『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(24)のオープニング成績との対比で動員・興収ともに約105%。『THE BATMANザ・バットマン-』(22)と比較すると動員が98%、興収が101%という成績だ。

DCコミックスのヒーローとしては“バットマン”と双璧をなし、世界的に圧倒的な知名度を誇る“スーパーマン”。これまで幾度となく映像化されており、現在まで続く2000年代以降のアメコミ映画ブームのなかでも『スーパーマン リターンズ』(06)、『マン・オブ・スティール(13)を皮切りにした“DCエクステンデッド・ユニバース”版と展開。今回の作品も、刷新された“DCユニバース”の第1弾を飾る作品となる。

その『マン・オブ・スティール』は日本公開初週末の土日2日間で動員21万人&興収2億6800万円となり、最終興収は10億円に届かず。また続編となった『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(16)は、同動員23万人&3億7000万円で、最終興収は18億円。同等のオープニングながら最終興収に大きな差ができたのは、2大ヒーローの激突という話題性や公開時期、その時点でのアメコミ映画ブームの盛り上がりなど様々な要因が考えられる。

もとより日本では、海外と比較してアメコミ映画がヒットしにくいことは言わずもがな。近年のDCタイトルに限れば(『ジョーカー』は例外として)、海外で大きく当たった作品が興収10億円をとりあえずは上回る傾向にある。それを一つの基準として、「ダークナイト」3部作のように監督の名前がフックになったり、『スーサイド・スクワッド』(16)のようにキャラクターへの注目が高まるなどすれば、もうひと回り上の興収をねらえるといったところであろう。

また、ガン監督がマーベルで手掛けた「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズの日本国内での興収は10〜13億円ほど。これらを勘案すると、北米で1億ドル超のオープニングをあげ、日本国内でも順調な滑りだしを見せている今回の『スーパーマン』は、少なくとも基準を超えることはできるはずだ。ネックがあるとすれば、マーベルも含めてアメコミ映画の勢いが完全に回復しきっていないこと。そしてなにより、日本では来週からあまりにも大きなタイトルが控えているということである。

■4週連続Vの『国宝』動員398万人&興収56億円を突破!

さてランキングに戻り、4週連続Vを飾った『国宝』の今週の成績を詳しくチェックしていこう。冒頭でも述べたように、ずっと続いていた“右肩上がり”がとうとう終わりを迎えてしまったのだが、週末3日間で動員40万5000人、興収6億200万円と、前週比90%超えの成績を維持している。

これで公開38日間の累計成績は、動員398万1798人、興収56億732万7700円。先週末の時点での累計興収が44億8322万円だったので、この1週間で11億2000万円ほど上乗せしている計算になる。つまり平日4日間でも5億円超の興収をあげており、最終興収57億3000万円だった『キングダム』(19)や昨年の夏に興収59億6000万円を記録した『ラストマイル』(24)を上回るのは時間の問題だろう。

3位から8位までは、順位こそ微妙に変動があるが顔ぶれは変わらず。公開6週目を迎えたディズニー実写版リロ&スティッチ』(公開中)は、週末3日間で動員12万4000人、興収1億6600万円と、前週比74%の成績で3位をキープ。累計成績は動員202万人&興収28億円を突破し、まだまだ順調。

前週まで2週連続で2位を守っていた映画『F1(R)/エフワン』(公開中)は、週末3日間で動員11万2000人、興収1億9800万円をあげて4位に。累計成績は動員78万人&興収13億円を突破。公開5週目を迎えた『ドールハウス』(公開中)は週末3日間で動員10万9000人、興収1億3900万円を記録し、累計成績では動員106万人&興収14億円を突破している。

また、公開8週目にして7位にランクインしている『ミッション:インポッシブルファイナル・レコニング』(公開中)は、週末3日間で動員4万9362人、興収7693万7620円を記録し、今年公開された洋画タイトルでは初となる興収50億円の大台に到達。シリーズ8作品中7作が興収50億円を突破するという快挙を達成した。

そして公開4週目で8位となった『フロントライン』(公開中)も観客動員100万人の大台を突破し、興収14億円を突破。トップテン内にいる既存タイトルが軒並み絶好調を維持するなかで、満を持して次週、2025年最大の目玉である『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(7月18日公開)を迎え撃つことになる。

以下は、1~10位までのランキング(7月11日7月13日)

1位『国宝』

2位『スーパーマン

3位『リロ&スティッチ

4位映画『F1(R)/エフワン』

5位『ドールハウス』

6位『ババンババンバンバンパイア

7位『ミッション:インポッシブルファイナル・レコニング』

8位『フロントライン

9位『パウ・パトロール パウ・パーティー in シアター 2025

10位『KING OF PRISM-Your Endless Call-み~んなきらめけ!プリズム☆ツアーズ

いよいよ今週末、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が全国452館という大規模で公開される。日本歴代興収ランキング1位となる興収404億3000万円を記録した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20)は、公開初日から3日間だけで動員342万人・興収46億円という破格の数字を叩きだした。今作がどんなスタートを切るのか、大いに注目しながら次週を待とう。

文/久保田 和馬

ジェームズ・ガン監督が放つ完全新作『スーパーマン』が2位に初登場!/[c] &TM DC[c]2025 WBEI