ホストクラブ代表の投稿をめぐりSNSで指摘相次ぐ

「買収では?」

【映像】「認識不足…」ホストクラブ代表者が取材にコメント

 あるホストクラブ代表の投稿をめぐり、SNSで指摘が相次いだ。

 「投票証明書で割引をする」という主旨の内容に、投票の“例”として、東京選挙区の参政党・さや候補の名前が書かれた投票用紙のイラストをあわせて投稿。「この候補に投票したら割引」と言っているわけではないが、全体としてみると、割引を利用して特定候補への投票を呼びかけているのでは、という疑念が持たれたのだ。

 さや候補本人も、このポストに好意的なコメントを付けて投稿していたが、指摘を受けSNSで謝罪、当該の投稿を削除した。参政党も「候補者の認識不足により、公選法に抵触する可能性のある投稿へ、投票への感謝に対するコメントを行ってしまいました」などとしてSNSで謝罪した。

買収になる?弁護士の見解とは

弁護士の佐藤みのり氏

 投票の証明書による割引と、特定の候補者の名前を書いた投票用紙の見本をあわせて投稿すること、これは買収に当たるのか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターで弁護士の佐藤みのり氏は次のように述べる。

「当選させる目的で有権者に財産上の利益を約束したと言えるかどうかが問題になるが、今回は『特定の政党・候補者に投票したら割引する』ということではなくて、『誰であっても投票したら割引する』という投稿なので、これ自体は買収罪には当たらないと思う。ただ、見る人によっては、例として挙げられた党の名前と特定の候補者の名前を見て、『こうやって書けば割引してもらえるんだ』と誤解してしまう人も出てきてしまうかもしれないので、やはり書き方をもう少し工夫したほうがより良かった」

 ABEMAヒルズでは、投稿したホストクラブ代表者を取材。すでに投稿は削除し、警察にも自ら相談したという。今回の件については次のように話す。

「恥ずかしながら、認識しておりませんでした。認識不足による投稿、本当に申し訳ありません。法律のプロに相談してから投稿するべきでした。警察の方も本当に細かく難しい法律と仰っていました。選挙期間前に禁止行為一覧にしたものを目に届きやすいよう啓発してくださると、若年層世代にも分かりやすく、より選挙に参加しやすくなると思います」

 佐藤氏は「公職選挙法はわかりにくく、馴染みがないと思うが、有権者も無関係ではない」という。

「例えば今回問題となっている買収や、選挙の自由を侵害するという問題が起こったときには、有権者も規制の対象になる。だからこそ、ルールを知っておく必要があるので、総務省や選挙管理委員会が出している情報を見て理解することが大事」

さらに話題になったホストクラブ代表者の投稿

さらに話題になったホストクラブ代表者の投稿

 このホストクラブ代表者の投稿でもう1件話題になったのが、多数のキャストの前で1人のホストが「(ホストクラブ)全員で特定の政党に投票します」という主旨の発言をした動画。SNSでは、「従業員への圧力ではないか?」「上下関係の利用ではないか」という批判もあった。

 この件に関する代表者のコメントは次の通り。

「警察には選挙期間中の僕の全てのSNS投稿について、以下のように相談、確認をしました。キャストたちに圧力をかけたり、投票先を管理している事実は一切ありません」

「ホスト業界の現状だけでなく、現在の日本が抱える深刻な課題について考えるようになり、意見を交わす場を設けたことで、キャストたちが政治や社会問題に関心を持つようになったと実感しています」

「一緒に投票所まで行こうと思っていましたが、当日の投票所はキャストによって違いますし、実際にキャストたちが投票するかどうかについては私にはわかりません。今回の発信が、少しでも若い世代が政治に関心を持つきっかけになれば幸いです」

 では、この投稿のような状況に、法的な問題はあるのだろうか?

「一般の会社もそうだが、従業員に対して『特定の政党に投票しよう』という声をかけたり、依頼をしたりすることは実際ある。依頼をすること自体は選挙運動の一環で、選挙運動期間中に民間の会社や団体が行う分については法的には問題ない。ただ、それが強制的に、『絶対にこの党に投票しなきゃダメだ』と言い出すと問題になる」(佐藤みのり氏、以下同)

「投票の秘密は憲法で保障されているので、従業員は、投票した政党や候補者、投票に行ったかどうかを報告する必要はない」

(『ABEMAヒルズ』より)

買収になる?候補者名を表示し「投票で割引」 SNS投稿したホストクラブ代表に取材 弁護士の見解は