2025年6月2日カナダアルバータ州で、不思議な光が目撃されたされた。嵐の中、突然まぶしい丸い光が現れて、しばらく漂った後消えていったという。

 映像が公開されると、これは「球電」現象ではないかという説が浮上。もし本当に球電だとすると、ここまではっきり捉えられたのは初めてということになる。

 その正体はいまだ不明だが、非常にレアで貴重な映像であるのは間違いないだろう。

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カナダで撮影された謎の光る球体

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 百聞は一見に如かず。まずはこの現象を報じるニュース映像から、謎の発光体を実際に見てもらおう。

‘Incredible video’ captured during Alberta storm could be rare ball lightning event: scientist

 この動画を撮影したのは、カナダアルバータ州エドモントン郊外に住むエド・パーディさんとメリンダ・パーディさんご夫妻だ。

 この日、付近は雷雨に襲われ、竜巻注意報も発令されていたという。 エドさんはいわゆる気象マニアで、雷や竜巻と聞いて、いてもたってもいられなくなった。

 そこで夫妻は午後7時ごろ、自宅にあるポーチで雷を眺めていたんだそうだ。すると落雷があった後、自宅から1kmほど離れた地点に、まぶしい光の玉が現れた。

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 エドさんはその時の様子を、次のように説明する。

雷の閃光が消えた直後、光の球がだんだん大きくなって、ものすごく明るく輝き出したんです。すぐに消えるだろうと思って見ていたんですが……全然消えなかったんです。

その様子をメリンダのスマートフォンで撮影しました。記録できたのは23秒ほどです

激しい落雷のあと、地上から6メートルほど上の空中に、まるで火の玉のような光の球が浮かんでいるのが見えました。

この光は、地面の上を水平に移動していました。信じられないほど明るかった。本当に明るかったんです。

そして最後には「ポンッ!」という小さな破裂音とともに、全体がふわっと崩れて消えていきました。あれが自宅の近くじゃなくて本当によかったですよ

球電あるいは落雷による送電線の発光か

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 この謎の光の正体は、いったい何だったのだろうか。映像を見た専門家らは、可能性として2つの仮説が考えられるとしている。

 仮説の一つはいわゆる「球電」現象、もう一つは「アーク放電」である。

 球電とは、主に雷雨時に発生する現象で、大気や送電線が落雷を受けて光を放つ現象のことだ。

 落雷の直後に発生している点、球状に光っている点、数秒間光りながら空中を漂っているように見える点などが、球電の特徴と一致しているように見える。

 ただしこの現象は謎に満ちていて、科学的にその存在が検証・証明されているわけではない。中には明確に否定する学者もいるくらいだ。

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 一方アーク放電とは、強風や落雷などにより、送電線が「アーク放電」を起こしたとする説だ。下の動画を見ると、今回の発光現象によく似てはいないだろうか。

Electric power lines arc and create “power flash” in high winds

 ただし、パーディさん夫妻によると、この場所の近くには送電線のようなものはないという。どちらにせよ非常に珍しい現象なのは間違いない。

 エドさんはこの現象を目撃したことを、「ラッキーだった」と語っている。

あれをすぐ近くで見ていたら、正直なところ近づきたいとは思わないですね。ものすごいエネルギーですから。とてつもないパワーですよ。

生きている間に、こんなものが見られるとは思ってもいませんでした

 今回の現象については、既にカナダのカルガリー大学などの研究者がパーディ夫妻と連絡を取っており、今後映像の分析を行うそうだ。

「本物」の球電とされる映像は非常にレア

 最近はCGやAIが発達し過ぎて、ネット上にある球電とされている映像も、実はフェイクだったというケースが多いらしい。

 信憑性があるように見える映像も、ドローンや鳥、なんならUFOなんじゃないかというものがほとんどのようだ。

 ここでいくつか「球電か?」とされる映像を紹介しておくので、真偽のほどはみんなが自分の眼で見て判断してほしい。

 下の映像は2021年7月に撮影されたものらしい。左側で落雷があった後、右側に丸い光が現れている。

 球電なのか、それともアーク放電で送電線が光っているのかは、映像からでははっきりしないが、どうやら後者の説が有力のようだ。

Ball Lightning Captured on Video

  アメリカのルイジアナ州ニューオーリンズで2012年に撮影された、激しい雷雨の中、空からゆっくりと降りてくる「球電」らしき光。

Ball Lightning – New Orleans – April 02, 2012

 下は京都で撮影されたもの。

【京都】球電現象【ボールライトニング】【Ball Lightning】【自然現象】【火の玉】【雷球】

 そしてこちらは総集編だ。こういった映像が本物だとすると、本当の球電現象は、映像としては意外と地味なものになるのかもしれない。

Mysterious Ball lightning

 ちなみに「球電では?」と話題になった下の映像は、制作した本人によってCGIであることが確認されている。クールでスペクタクルな映像なのは変わらないけど。

Шаравая маланка каля чыгуначных шляхоў [CGI]

References: Remarkable footage shows clear example of ball lightning in Alberta[https://www.unexplained-mysteries.com/news/388579/remarkable-footage-shows-clear-example-of-ball-lightning-in-alberta

本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者がより理解しやすいように情報を整理し、再構成しています。

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