フジテレビは15日、サステナビリティ経営委員会(委員長=清水賢治社長)の第2回外部アドバイザリーボードを開催した。

外部アドバイザリーボードは、サステナビリティ経営の実効性を高めるため、定期的に外部有識者から助言・モニタリングを得るために設置したもの。今回はフジテレビ側から、7月10日付で実施した大幅な組織改編を踏まえ、新体制下で目指す企業文化の見直しや経営戦略の方向性を説明した上で、アドバイザーとの間で、サステナビリティ経営委員会の直下に今後立ち上げる予定の「人権」「人的資本経営」の各プロジェクトについて議論を行った。

各アドバイザーからは、以下のとおりコメントがあった。

○■大崎麻子氏

「7月にフジテレビが実施した抜本的な組織改編からは、本気度が感じられる。この新体制にどのように実効性を持たせ、持続可能な変化につなげていくかが問われている。まず必要なのは国際基準の学習だ。講義やワークショップなど、主体的かつ参加型での継続的な学びを推奨する。その土台があれば、社内外での対話やヒアリングで得られた情報も踏まえた的確な現状分析と、それに基づいた施策の策定と評価、さらには、多様なステークホルダーが納得できる情報開示が可能になる。ジェンダーは、有価証券報告書の人的資本情報の必須開示項目になっている事からもわかる通り、人権と人的資本にまたがる横断的なイシュー。国際基準に則した取り組みを行うことで、企業価値を向上させて欲しい。
組織風土の変化はKPIで捉えにくいため、変革のプロセス一つ一つの小さな変化をどう記録し、どう評価していくかという観点からの指標の設定も必要。どのような指標を設定するのかを専門家の知見も活用しながら、社内で参加型で検討していただきたい」
○■加藤茂博氏

「皆様ご指摘のように、人権はグローバルな基準に適合できる会社にしていくことが必要。人権ファーストを掲げる意味は、清水社長から社員へも『これまで最高のモノづくりをする人を引き上げてきたが、どんなに優秀でも人権で何か問題を起こしたらその瞬間に一発退場』と組織のルールが刷新されたと説明をすることが必要だ。また、人的資本戦略は、経営戦略を実現するために作るもの。『どんなモノづくりをし、誰に届けるためには、こんな人が必要だ』と、経営戦略とブランディングの具体像を描き、連携させることが重要だ。プロジェクトメンバーも経営の目指す方向を見据え一緒に具体策を描いてもらうことが望ましい。その上で、ヒューマン・キャピタル・アロケーションを行い、未来を創るために一番優秀な人を一番大事なところに配置し会社を変えていくことが必要だ」
○■佐藤暁子氏

「目指すべき国際的な人権のスタンダードとのギャップを認識し、それを埋めていくために何を実施しているかを示すことがいわゆるロードマップになる。継続的に一歩一歩確実に変化していることを伝えていくしかないだろう。『儲かるコンテンツ』とは何かを人権と人的資本の視点で一緒に考えてほしい。これまでのマジョリティにとって心地よい番組は、必ずしも人権ファーストではないということは往々にしてあったはずだ。一方で、
ドキュメンタリーやドラマですごく良いメッセージを出しているものがある。いま日本社会に足りてないものを伝えられるのが大きな力だと思う。どういう社会にしていきたいのか、そのためにどうコンテンツを生かしていきたいのかという未来志向で話をしてほしい」
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