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 防災テックスタートアップの株式会社Specteeは7月7日に、2025年1月に取得した河川の「洪水予報業務」の許可をもとにした河川の水位予測の適応範囲を、全国(一部地域を除く)に拡大したことを発表。これにより、豪雨時には被害状況の迅速な把握が難しいとされている「中小河川」に関して、リアルタイムでの水位予測を提供するという。なお、本発表は、気象庁から取得している「洪水予報業務」の変更認可にあたるものとのこと。

 同社によると、企業庁の観測によれば「1時間降水量50ミリメートル以上の短時間強雨」の平均年間発生回数は直近10年間(2015年~24年)で、統計期間の最初の10年間(1976年~85年)の約1.5倍に増加しているという。局地的な豪雨に迅速かつ正確に対応するための情報提供がこれまで以上に重要となるとしている。

 Specteeでは2014年から、SNSや気象データ、道路・河川カメラなどの多様なデータとAIを活用して情報を解析し、迅速な情報提供を通じて災害対策を支援してきたという。2025年1月には、民間事業者として初めて、AIモデルを活用した洪水予報業務の許可を取得している。

 洪水予報業務の中でも同社では、水位計の設置数が少なさやハザードマップ整備の遅れから被害状況の把握および予測が難しいとされる「中小河川」に対応できるAIモデルの開発に注力してきたという。今回の変更認可により、全国(一部地域を除く)で、リアルタイムの河川水位予測を提供するとしている。

 同社では、過去の洪水時における水位と降水量のパターンをAIで解析し、常時取得している水位データと降水量の予報データなどをもとにして、水位の予測を実施。また、予測結果は、Specteeが提供するSNSなどのデータおよびリアルタイムに浸水の影響範囲を地図上に表示する「リアルタイム浸水推定」などと合わせて可視化し、ユーザーに通知するという。

 Specteeでは今後も、「“危機”を可視化する」をミッションとして、AIを活用しながら「レジリエンス社会の構築」に向けて尽力していくとしている。

Spectee、AIを活用した全国の河川水位予測を提供開始 中小河川まで対応し災害対応を支援