
2025年も暑い季節がやってきた。日本気象協会によると7月の気温は北から西日本で平年より高く、9月の気温は全国的に平年より高いとのことで、今年の夏も猛暑となる見込みだ。
そんな外出するのも億劫になる暑い時期に便利なのが「Uber Eats」。自宅から一歩も外に出ることなく自分の食べたいフードが食べられるのはありがたいかぎりだ。
近年は近隣のスーパーマーケットや食料品店と連携して食料品や日用品を届けるサービス「Uber Eatsネットスーパー」も展開しており、Uberのサービスを利用できるシーンは今後ますます増加の一途をたどるだろう。
一方で、2024年の年末から2025年の年始にかけ、大幅な配達遅延やキャンセルが相次いだことは記憶に新しい。利便性に富む唯一無二のサービスとして利用され続けるためには、ユーザーが望んだモノが望んだタイミングで手元に届いていなければならない。
増え続ける需要を満たしながら、いかにしてこの課題と向き合うのか。Uber Eats Japanの代表 ゼネラルマネージャーの中川晋太郎氏に聞いてみた(※以下、カッコ内のすべてのコメントは中川氏)。
夏休みの期間中、Uberは子を持つ親の救世主になる!
――2025年の関東地方は梅雨の期間中も雨が少なく、7月だというのに猛暑日を記録するようなエリアも続出しています。正直、外に出たくないのでUber Eatsを利用したくなってしまうのですが、やはり7~9月の暑い時期はUber Eatsの利用者が増えるのでしょうか。
「夏は高温多湿な気候の影響で、外出や調理の負担を避けたいという需要が高まる傾向があります。特に35度を超えるような猛暑日には、近所の飲食店やコンビニに行くことすら避けたいと考える方が増え、結果としてフードデリバリーの利用が活発になります。また、お子様が夏休みに入り、親御さんがリモートワークを選択されるなど在宅の機会が増えることもあり、平日昼間の利用が広がる背景もあると考えられます」
――確かに夏休みに入ると、「子どものお昼ご飯をどうするか」という悩みに直面する親御さんも増えますよね。自分のランチは適当でいいけれど、成長盛りのお子さんたちにきちんとした食事を…となると、Uber Eatsを利用したくなるでしょうね。
「具体的な数値は公開しておりませんが、過去数年の傾向として、夏期は平均注文金額が増加する傾向があります。これは、自宅で過ごす時間の増加により、1回の注文で複数の商品をまとめて購入される傾向があるためと考えられます。2025年の夏も高まるお客さまのニーズに対応できるよう、準備を進めております」
――具体的に夏場はどのような商品が人気なのでしょうか。
「夏期には冷たい飲料やアイスクリーム、氷、冷やし中華、サラダボウルなどの『冷涼系メニュー』や果物の注文が大幅に伸びます。また、家庭内の調理負担を軽減する惣菜に冷凍食品、電子レンジで調理できる商品もネットスーパーでは人気です」
――冷たい飲料やアイスクリームとかはお子さんも喜びそうですね。
「そうですね。お子様の夏休み期間にあわせてご家庭での利用シーンが広がる可能性も考えられ、新規のお客さまが増える傾向にあります」
年末年始の配達遅延の原因とは
――夏休みや年末年始などのまとまった休みが取りやすい期間は、やはり需要がかなり伸びるということですね。そのニーズの高まり具合が想像以上であったため、2024年から2025年の年末年始にかけて配達遅延・キャンセルといったケースが集中的に起きてしまったのでしょうか。
「2024年の年末から2025年の年始にかけて1週間ほど、一部の地域・時間帯にてお客さまからいただいた注文需要が配達供給を大きく上回り、配達の大幅な遅延やキャンセルが発生していたことは事実です。影響を受けた皆さまには、ご不便をおかけしましたことを深くお詫び申し上げたいと思います。年末年始のピークシーズンを過ぎた段階で通常の状況に戻りました」
――具体的な原因はどこにあるとお考えでしょうか。
「原因は、年末年始に需要が非常に大きく伸び、供給とのバランスが崩れたことにあります。結果、システムの調整が間に合わずに今回の事態となってしまいました。我々もここまで需要が伸びると想定していなかったのが大きな反省点です」
――その後のゴールデンウイークはいかがだったのでしょうか。大型連休であるこの期間もユーザーの需要が伸びる期間だと思われますが……。
「ゴールデンウィークのピークでは同様のトラブルは起きておりません。この経験を踏まえまして、現在は繁忙期であろうとお客さまはいつも通りにサービスをご利用いただける状況になっておりますので、安心してお使いいただきたいと考えています」
需要増に対応するため、システムとソフト面で改善
――先ほど、需要と供給のバランスが崩れたのは「システムの調整」がうまくいかなかったとのお話がありましたが、これは配達パートナーの適切な人員配置に関連することという認識でよろしいでしょうか。
「そうですね。Uber Eatsではより迅速に需要がシステムに反映されるよう改善を進めております。また、2025年6月より新規に配達パートナーを始められる方を増やすための投資を開始しており、需要の増加に対応できる体制の構築を進めています」
――新規の配達パートナーを増やすことで、より多くの需要に対してフレキシブルに対応できる体制にしたということですね。
「それと並行して配達料の算出システムにもチューニングを施しました。基本的な考え方として、配送料の算出は『お届けにかかる時間』をベースに、そのときの需給バランスによる変動値が加味されます。配達パートナーさまがより多くの注文を受け効率的に稼ぐことができるように考慮しながら、注文者さまの体験をより良いものに保つよう調整しています」
――なるほど。ソフト面の充実度においても改善を図っているということですね。
「そうですね。配達料の改善も含め、Uber Eatsでは、配達パートナーの皆さまが安全かつ快適に活動できる環境づくりを重要な取り組みとして位置づけています。中でも夏期は、猛暑による体調リスクの増加に対応するため、水分補給支援や熱中症対策の強化を進めています」
――水分補給支援や熱中症対策の具体策として取り組んでいることはあるのでしょうか。
「2025年も、昨年に続き、コカ・コーラ ボトラーズジャパン様との協業により、Uber Eatsの『ダイヤモンド配達パートナー』の皆さまに対して、Coke ON対応自販機で使えるドリンクチケット20枚を無償で提供いたします。これは、夏の過酷な環境下でも配達パートナーさまがこまめに水分補給できるようにすることを目的とした取り組みで、昨年実施した際には、配達パートナーさまの大半から『満足』との回答を得るなど、非常に高い評価をいただきました」
デリバリーロボットの可能性とは
――システム面やソフト面で改善を進められていることはわかりました。それでも、日本は生産年齢人口が減り続けている超高齢社会である点を踏まえると、近い将来には供給面における遅配・キャンセルリスクが増大するとの懸念があります。この点についてはどのようにお考えでしょうか。
「そのような事態は、デリバリーロボットによって回避できると考えています。東京と大阪では既にデリバリーロボットによる配達を展開しており、お客さまにご好評いただいております。特に大阪では対応店舗も増え、ローソン様での対応も開始しました」
――もう実際にデリバリーロボットで配達を開始しているんですか…!
「ええ。2025年9月には、大阪・関西万博の会場内で、デリバリーロボットによるドリンク配達を展開する予定です。今後は、配送需要の高まる夏期を含めた繁忙期における人手不足対策の一助として、段階的に対象エリア・対応店舗の拡大を目指しています」
――オートメーションが広く普及している米国ではデリバリーロボットも一般的に使われているとは知っていましたが…。実践的な運用事例はまだ世界的にも珍しいのではないでしょうか。
「Uber Eatsがデリバリーロボットによる配達を開始したのは、米国に続いて日本が2番目でした。米国の次に日本を選んだのには大きく2つの理由があります。
1つ目は日本は Uber Eatsにとって世界的に非常に重要な国であることです。 Uber Eatsは日本で2016年にサービスを始め、いまは47都道府県に展開し、多くのお客さまにご利用いただいています。ビジネスはいまも拡大を続けており、今後も高い需要と継続した成長を見込んでいます。2つ目は、日本には優れたインフラがあることです。日本の歩道はよく整備されていて、デリバリーロボットの走行に適していると考えています」
デリバリーロボットで過疎地にもUberを!
――とはいえまだ試験的運用段階だと思います。次のフェーズや今後の展望としてはどのようにお考えでしょうか。
「デリバリーロボットの普及は、すぐに実現するものではありませんし、10年後も多くの配達パートナーの皆さんが Uber Eatsで配達されていると思います。一方で、社会問題として懸念されている人手不足を補完するものとして、配達のエコシステムにとって、またUber Eatsのビジネスにおいて、デリバリーロボットは今後ますます重要な部分を占めるようになると考えています」
――確かにロボットならば地方や過疎地など、配達パートナーの確保がしづらいエリアでも関係なく活躍してくれそうです。
「そうなんです。将来的には、配達パートナーが少ない、または全くいない過疎地などでも、デリバリーロボットを活用することで、Uber Eatsのサービスをその地域に住む方々や、店舗の方々にご活用いただける未来を目指していきます。
みなさまが『いつでも、どこでも、欲しいモノをすぐに届けてもらえる配達ネットワーク』をさらに良くしていくためにはどうしたらいいか――。それを考える中で、デリバリーロボットは人間の配達を補完する、一つのソリューションになりうると期待しています」
(MN ワーク&ライフ編集部)

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