
この記事をまとめると
■工事や点検の際などに行われる高速道路の車線規制
■規制を知らせる灯火類やパイロンなどが設置される
■規制帯は誰がどのようにつくっているのか解説
規制帯づくりは命がけの作業
高速道路は速く走ることができて信号もないから、じつにスムースかつ快適な移動を楽しむことができる。とくに長距離移動では、なくてはならない便利な存在だといっても過言ではないだろう。しかし、多くの車両が高速で通行する以上、道路の劣化や損傷などを避けることはできず、それに伴う工事、点検作業は不可欠なのである。
高速道路上で点検、メンテナンス工事、緊急工事などをするときには、全面通行止めになることもあるが、複数ある車線を一部規制する場合も多い。高速道路は制限速度が抑えられている区間もあるが、多くは80km/hや100km/hで走行が可能だ。近年では、110km/hや120km/hまで制限速度が伸びている区間もある。このようななかで、規制帯をつくるのはまさに命がけの作業といえよう。
なので、最近は規制帯を設置するにあたって、安全かつ便利な車両が開発されてきている。しかし、これらはすべての区間に配置されているわけではない。むしろ、現在でも手作業による規制帯づくりの方が多いとさえいわれているのだ。100km/hで通過する車両を横目に、事故なく安全に規制帯を作るのには、いったいどのような手順を踏むのであろうか。
じつは、工事などの規制が行われる付近の制限速度は概ね50km/hに制限される。これが守られていれば、作業の安全性はある程度高まるのだが、実際はなかなかそういうわけにはいかないのが現実だ。結局、作業員は100km/h程度の速度で走る車両の横で、規制帯を作らなければならないのである。
パイロンは手作業で並べられている
規制帯を作り出す前に、まず工事などの予告看板を設置する。これは看板を載せたトラックによって行うが、この車両の後方には大きな電光表示板が載せてある。看板設置作業を行う手前から、ハザードの点滅と看板の表示を行なって後続車に注意を促し、看板設置場所に至ると車両を路肩に停めて看板設置作業を行う。
規制地点に到達すると、車両は同様にして規制車線に停車する。場合によっては、規制地点手前から発煙筒を投下することもある。ここで注意が必要なのは、発煙筒が高速道路のつなぎ目に落下することだ。ここに使用されている樹脂は発火の危険があり、実際にここに落ちた発煙筒から大きな道路火災になった例があるという。
停車した車両を盾にして、その後方で規制帯を作る作業に入る。発電機を稼働させて(最近はバッテリー式も増えている)規制を知らせる灯火類を設置すると同時に、先行する資材搭載トラックから順次パイロンを規制車線内側に降ろしていくのだ。このとき、パイロンが一般車両の走行する車線に転がれば、大きな事故につながりかねない。作業員がもっとも緊張する瞬間である。
パイロンは規制開始地点から斜めに設置され、その後は車線境界線内側に沿って配置される。昼間は目立たないが、夜間ならパイロンが内側から光っていることを確認できるだろう。これは、パイロン内側に光源が入っているからだが、バッテリー&LEDランプ式のものだけではなく、発電機からリールコードで線を引いてひとつひとつ電球をつけているものも多い。
規制帯が完成すれば、盾になっていた車両をゆっくりと規制帯内に移動する。これで、おおむね規制帯が出来上がったわけだ。せっかく快適に走行している高速道路で、規制帯があると渋滞が起こるなどして不快に思うドライバーも少なくない。しかし、高速道路の安全性を担保するためには、点検・工事は不可欠なものといえる。せめて、規制帯付近に発せられる速度制限を遵守して、安全な作業ができるように心がけたいものだ。

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