
ポルシェ「タイカン ターボGT」がラップレーコードを更新
2025年5月28日、ポルシェの新型EV「タイカン ターボGT」がアメリカ・ジョージア州のロード・アトランタ・サーキットにおいて、市販電気自動車としての最速ラップタイムを更新しました。プロドライバーのパトリック・ロング選手がステアリングを握り、タイムは1分27秒15を記録。従来の記録であるタイカン ターボSの1分33秒88を6.73秒短縮し、大幅な性能向上を証明しました。
最新技術と特別装備が支えた驚異のラップタイム
ポルシェは2025年型タイカン ターボGTによって、電気自動車の限界をさらに引き上げられた。舞台はアメリカ南部に位置する「ロード・アトランタ」。全長4.09kmのコースで、プロレーサーでありブランドアンバサダーも務めるパトリック・ロング氏がステアリングを握り、公式タイム1分27秒15を記録。2020年にタイカン ターボSが打ち立てた1分33秒88を大幅に更新した。
記録達成時は朝方の雨で一部の路面が濡れていて、決して理想的とはいえないコンディションだった。それでも、高度に最適化された車体制御と専用設計タイヤの効果で圧倒的なタイムを刻むことに成功した。
本記録に使用された車両は市販仕様の2025年型タイカン ターボGT。注目すべきは、初採用された複数の新技術だ。車両のピッチング、ロール、スクワット(加減速時の姿勢変化)を積極的に制御する「アクティブライド・サスペンション」は、油圧制御によって高い応答性を実現し、路面変化の大きいサーキットでも常に最適なグリップを確保。また「アタックモード」は瞬発的でスムースな加速を可能とし、従来のEVやレーシングカーにはない独自のパワーデリバリーを実現している。さらに、使用されたピレリ「Pゼロ・トロフェオRS NF0」タイヤは、タイカン ターボGT専用に設計・公認されたサマータイヤで、最大限のトラクション性能を発揮した。
また、軽量化と空力性能の向上を目的とした「ヴァイザッハ・パッケージ」も装着され、GTシルバーアクセント付きGTインテリア、パープルスカイのボディカラー、イルミネーテッド・ライトストリップなど、特別仕立ての装備が与えられている。
走行前にタイヤの空気圧は前後ともに2.6bar、バッテリー残量は97%、バッテリー温度は「トラック・エンデュランス・モード」によって制御され、開始時には20℃に設定された。2回のアタックが行われ、いずれも既存記録を上まわるタイムで、最速となったのは2回目の走行だった。
ロング氏は、「ステアリングのフィードバックや接地感は予想どおりだったが、サスペンションの制御力には驚かされた。限界に挑む走行でも不安なくグリップを維持できた」とコメント。また、スポーツPSM(ポルシェ・スタビリティ・マネジメント)設定での走行でもスムースな制御が働き、違和感のないドライビングフィールを保っていたという。
AMWノミカタ
ロードアトランタにおける市販車ラップタイムの最速記録は、シボレー コルベット C8 ZR1が今年2月に記録した1分22秒8だ。ガソリンエンジンを搭載するポルシェ911 GT2 RSも2019年に1分24秒88を記録し、当時は市販車最速と称されていた。
今回のタイカン ターボGTの1分27秒15というタイムは、これまでの記録であるタイカン ターボSの1分33秒88を6.73秒短縮し、EV最速を証明する結果となった。しかし、ガソリンエンジンを積むコルベット C8 ZR1とは依然として約4秒強の差が残る。
とはいえ、コルベット C8 ZR1の車重が1665kg、6.2Lエンジンで1064psを発揮する一方、タイカン ターボGTの車重は2220kgと、555kgものハンデを背負っている。EVの進化は日進月歩だ。ポルシェの技術革新と一切の妥協を許さない開発姿勢により、バッテリーの軽量化や熱マネジメントの改良が進めば、近い将来「ロードアトランタ最速」の称号を獲得する日が訪れるかもしれない。
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