
「仕事に費やす時間は、1日の中で3分の1を占めます。仕事が幸せかどうかは、人生が幸せかどうかにつながります」 。そう語るのは、テテマーチの出口潤(でぐち・じゅん)氏だ。Zoomの「ワークハッピー(Work Happy)」という考えに共感し、日本第一号の「Zoomコミュニティリーダー」に就任している。
2025年に発足した、日本のユーザーコミュニティも、出口氏がきっかけで生まれている。“Zoom愛”あふれる出口氏に、就任の経緯や展望について話を聞いた。
出口氏の運命が変わったZoomのリアルイベント
テテマーチはSNSを軸としたマーケティング支援を手掛ける企業だ。主に、コンシューマ向けの商品やサービスを扱うメーカーに対して、公式SNSアカウントの運用支援やSNSを活用したキャンペーンの企画・実行、SNSの分析ツールを展開している。
出口氏とZoomが急接近し、そして、ユーザーコミュニティが誕生するきっかけとなったのは、2024年7月に開催されたリアルイベント「Zoom Experience Day Summer」への登壇である。
出口氏とZoomの出会いは、さらに時をさかのぼる。出口氏は、ある時、インサイドセールス部門から、「クラウドPBX(インターネット経由で電話機能を利用できるサービス)の通話が途切れる」という相談を受ける。「その時まで通話の先の営業トークスクリプトの改善に目をむけていましたが、そもそも、通信が安定しないと会話に集中できないと気づきました」(出口氏)
そして、通信品質の高さを決め手に、ZoomのクラウドPBX「Zoom Phone」を採用。加えて、営業データの活用が可能な「Zoom Revenue Accelerator」も導入し、セールスイネーブルメント(営業組織のパフォーマンス最大化)を推進していく。AIを用いた会話分析やコーチングの機能で、トップ営業のノウハウを「型化」して横展開。会話が一定の質でサマライズされるため、フィールドセールスも顧客の課題を仮説立てできるようになった。
結果、メンバーの営業活動の量は2倍に、架電からの商談化率も3倍以上にまで向上した。「通話品質が良くなって、会話の質が上がり、会話を分析して、営業の質も高める。ポジティブなサイクルに入った」と出口氏。こうした手ごたえを熱く語っていると、「イベントで話してみませんか」というオファーを受ける。こうして出口氏は、約1200名が登録したZoom Experience Day Summerの壇上に立った。
そして、これまでの成果を披露した後、モデレーターより「Zoomになにか要望はありますか?」と投げかけられる。出口氏は、「ノウハウを共有できる“ユーザーコミュニティ”があればぜひ参加したい」と回答。その発言から、Zoom社内でも「確かにコミュニティは大切だ」と盛り上がり、ユーザーコミュニティが誕生した。
「コミュニティとしてのあり方を体現する人」として就任
出口氏は、イベント登壇後も、積極的にZoomの情報発信を続ける。「自称・Zoomアンバサダーのような状態で、SNSで発信していました」(出口氏)
そしてある日、前触れもなくZoomからメッセージが届く。それは、「Zoom公認のコミュニティリーダーになりませんか」という内容だった。「シンプルにものすごく嬉しかったです。これで堂々と情報発信ができる。それに、自分が共感しているブランドから、手を差し伸べられることはめったいないです。有名なビジネスインフルエンサーもたくさんいる中で、日本人第一号。想いが伝わったのだな、見てもらっているのだなと身に沁みました」(出口氏)
Zoom側は、なぜ出口氏にコミュニティリーダーを依頼したのか。「出口さんのひと言ひと言から“Zoom愛”が伝わりますし、SNSの投稿に対するユーザーの反応も多かった。こんなにZoomを好きでいてくれる人を選ばないわけにはいかなった」。そう語るのは、Zoomのマーケティングスペシャリストである石原萌氏だ。
「営業担当者を中心に、安心してお願いができるような『信頼関係』を築けていたことも大きかったです。Zoomの『ワークハッピー』というカルチャーも共感してもらえている。同じ想いを持って一緒に活動してくれる仲間であり、『コミュニティとしてのあり方を体現する人』としてお願いしました」(石原氏)
社員からもプロダクトからもあふれ出る「ワークハッピー」
出口氏も「Zoomの魅力的なところ」だと語るワークハッピーというカルチャー。これは、「社員が働くことに喜びを感じ、最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を目指す」という考え方だ。
テテマーチでZoom Phoneを導入した時にも、Zoom営業の時本桃子氏と「フィーリングが合った」からこそ、プロダクトに興味を持てたという。他のZoom社員に会っても、誰もが楽しんで働いており、Zoomへの愛を感じた。「(Zoomでは)ワークハッピーのカルチャーが、ボトムアップでも、トップダウンでもが浸透している。上層部もメンバーもワークハッピーという言葉を掲げて、それぞれの立場で体現しているのがとても好きです」(出口氏)
もちろん、ワークハッピーという考え方にも強く共感している。「仕事は人生とは切っても切り離せない。『楽しく仕事をする』とうのは、『人生を楽しくする』こと」と力説する。
そして、このカルチャーはZoomのプロダクトにも表れているという。出口氏がワークハッピーを感じるのが、ストレスのないUI・UX、高い通信品質、そして「ワンプラットフォーム」であるところだ。「サービスを切り替えたりせずに、すべてがシームレスにこなせる。僕のようなマネージャーも、メンバーのデータを色々なところに見に行く必要がない。朝起きるとZoomを立ち上げ、外出先でも、Zoomでメールやカレンダーを見ています」と出口氏。
「成果が出ないと仕事している側も苦しいし、成果を上げるからこそワークハッピーになれる。そのためには、仕事のパフォーマンスを向上させる必要があり、それをワンプラットフォームで実現してくれるZoomを使わない理由がないです」(出口氏)
野望は「Zoomに代わって『ワークハッピー』を全国に届けること」
こうして社員やプロダクトが伝えてきた「ワークハッピー」を、顧客との交流を通じて広げていくのが、今後の出口氏のミッションとなる。「Zoomさんからだと伝えづらいことを、ユーザー側とサービス提供者のハブになって、“熱量を持って”発信していきたい」と出口氏。
出口氏が心に描いているのが「全国横断キャラバン」の実施だ。「リアルイベントはどうしても東京中心になりがちですが、Zoomユーザーは全国にいます。最初は小規模でもいいので、Zoomが好きな人たちに会いに行って直接その熱を感じ、こちらの熱も伝えて、その熱を大きくしていきたい。ゆくゆくは、大きなユーザー会を開催してZoomで中継したいですね」(出口氏)
出口氏にとってZoomは“人生に関わるプロダクト”だという。仕事をする上で重要な存在であるとともに、コミュニティリーダーに挑戦する機会も得られた。今後、ユーザーコミュニティが広がっていくことで、出口氏と同様、Zoomで人生が変わる人が増えていくかもしれない。

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