大相撲幕内力士が知人と共に、都内のカラオケ店で女性へ性的暴行をし、現金を強奪した疑いで、7月14日までに逮捕されたと報じられています。

共同通信社などの報道によれば、飲食店で声をかけて誘い出した女性を、カラオケ店の個室で性的暴行のうえ、現金を奪った疑いが持たれているとされます。

性的暴行と金銭の強奪が同時に行われた今回の事件。「強盗・不同意性交罪」とはどのような罪なのでしょうか。量刑はどう判断されるのでしょうか。

●強盗と不同意性交を同一の機会に行った場合は重く処罰される

「強盗・不同意性交罪」は、刑法241条に規定されています。

「強盗の罪もしくはその未遂罪を犯した者が、第177条の罪(※不同意性交罪)もしくはその未遂罪をも犯したとき、または同条の罪もしくはその未遂罪を犯した者が強盗の罪もしくはその未遂罪をも犯したときは、無期または7年以上の拘禁刑に処する。」とされています。

この規定がなかった場合のことを考えてみます。

強盗だけを行った場合には5年以上の有期拘禁刑、不同意性交罪だけを行った場合にも5年以上の有期拘禁刑となります。

強盗・不同意性交罪の規定が無かったら、この2つの罪が併合罪(刑法45条前段)となり、最長でも30年までの有期拘禁刑となるはずです。(刑法12条1項、14条2項)

それに対し、強盗・不同意性交罪の規定では、無期の拘禁刑まで定められています。

無期懲役がある分、強盗・不同意性交罪の方がより重い刑を科すことができます。

●執行猶予がつかない可能性が非常に高い

執行猶予は、「3年以下の拘禁刑」の言い渡しを受けた場合などに限られます(刑法25条1項参照)。

強盗罪1つ、あるいは不同意性交罪1つの罪だけを犯した場合であっても、「5年以上の拘禁刑」と規定されていますから、そのままでは執行猶予をつけることができません。

ただし、いわゆる「情状酌量」などの事情があって刑が減軽された場合には、刑を半分にできる(=2年6カ月の言い渡しが可能、刑法66条、68条3号)ため、執行猶予をつけられる余地が出てきます。

しかし、実際に強盗罪や不同意性交罪で執行猶予がつくケースは少なく、基本的に実刑の可能性が高いといえます。

初犯の強盗罪で執行猶予がつくケースとは、被害者との示談が成立している場合や、金額の小さな万引きで取り返しを防ぐために暴行を行った場合などといわれています。

強盗・不同意性交罪の場合、法定刑が7年以上の拘禁刑となっているため、情状酌量があっても最低で「3年6カ月」になってしまい、執行猶予がつけられません。

今回の事件では詳細がわからないため一概には言えませんが、仮に強盗・不同意性交罪で有罪となった場合には、実刑となる可能性が非常に高いといえます。

元大相撲幕内力士がカラオケ店での「強盗・不同意性交」の疑いで逮捕 どんな罪なの